205 / 278
205. ロンド~踊る命~ -22- ロカビリー ワンピース
しおりを挟む
.
男は青木家の斜め向かいの貸し駐車場の横に車を止め携帯電話を手にしていた。駐車場の管理会社の看板を見ながら電話をしている様子は、あたかも問い合わせでもしているように見える。
ぐるりと周囲を見回して、男は青木家と隣家をさりげなく眺めた。青木家の右隣は岸辺という表札があり、土地家屋もなかなか大きい。隣接しているが、岸辺の家建物はブロック塀で囲まれた敷地内の中央にあり、青木の家とは離れている。仮に青木家のなかで叫び声をあげても、聞こえる風ではない。
左隣は表札が外されたあとがあり、庭は手入れがされていない。空き家の可能性が高い。
さらに青木家の後ろは解体された家の瓦礫が積んであった。
━━━なかなか都合がいいな。
左隣が空き家かどうかは夜にまた来ればわかる。
男はあらかた周囲を確認し、かけてもいない携帯電話を耳に当てたまま、返事をしながら運転席のドアをあけた。
ほんの一瞬、男は青木家から目を離した。
男が顔を青木家に戻したその時、ポニーテールの髪の女が、まるで青木家の玄関から出てきたように、玄関前のスロープをパタパタと降りて、岸辺家の前を急ぎ足で駆けていった。
半袖の袖口が白の折り返しで、青みがかった緑のロカビリー調のワンピースを着ていた。
━━━━ポニーテール。写真の女だ。
『青木はいつもポニーテールよ。バカの一つ覚えみたいにね』
━━━━遊びにでも行くのか?にしても少し古くさい格好だな。昭和の女みたいだ。
男は単純にそう思った。
駆けていった女はあっという間に見えなくなった。
━━━━どっちにしろ居ることは居るな。今夜、ヤるか。夜に帰っていれば。
午後七時半、男は再び青木家の周辺に姿を現した。車ではなく、自転車でゆっくりと通り過ぎていった。
灯りがともされてるであろうこの時間帯は眠るには早い。灯りがあれば人はいる。なければ帰宅していない。青木家とその左隣に灯りはついていなかった。
男は夜の九時と十一時にも様子を見に通りすがった。
九時も青木家に灯りがつくことはなかった。帰宅はしてないらしい。まだ人通りがあったため、灯りの確認だけで終わった。
深夜十一時、灯りはついていない。人通りも途絶えた。
男は侵入して潜むことにした。いれば襲うし、いなければ帰ってくるまで潜んでりゃいい。
青木家の裏に回り勝手口か窓から入るつもりだったが、警備会社のシールが全てに貼っており、今夜の侵入は諦めた。
━━━━簡単にはいかねえか。在宅している時に玄関を開けさせるか。
男は青木家をあとにした。
翌朝━━━
朝食時に大塚医師が顔を見せ、検査の結果が今日わかると知らせてくれた。
「さっき報告があった。昼過ぎにはわかるそうだ」
大塚はそれだけ言うと去った。
貴之とみふゆが顔を見合わせた。
「なら、今日午後にでも退院できるじゃねえか!よーし、屋敷に連絡だ。迎えを呼ぶぞ!」
貴之が立ち上がり携帯電話を手にした。
「待って!お父さん、検査の結果はまだわかりません!」
みふゆが貴之の着物の袖を引っぱった。
胡蝶も「気が早いですわ。それにまだ食事中ですわよ」と貴之を窘めた。
「善は急げだ。なんでもねえから早くわかるんだろ?」
「でももしかしたら悪い兆候があるから早く知らせようと・・」
みふゆが不安げに言った。
「今回はそれは無いわね。結果が悪ければ真っ先に私の耳に届くもの」
「・・そうでしょうか・・・」
みふゆがうつむいた。
「あー・・、まあ、連絡は結果がわかってからでいいか」
貴之は携帯電話を懐に仕舞い、椅子に座り直して、みふゆの頭をそっと撫でた。
朝食を終えると、貴之は青木家に行く予定も繰り上げるかどうかをみふゆに尋ねた。
「もし今日退院するなら、青木家に行くのは明日の午後にするか?それとも予定通りのほうがいいか?」
「え?・・あ、」
「どうした?」
「なんだか緊張しちゃって・・」
青木家には早く行きたい。しかし、屋敷に帰って本当にやっていけるのか、みふゆは急に気がかりになった。
「退院は予定通りの明日でもいいし、もっとあとでもかまわないのよ?」
胡蝶が優しくみふゆに声をかけた。
「うーん、・・急すぎるのもアレか・・・昨日の今日だしな・・・。疲れるかもな・・・」
貴之の勢いがしぼんだ。
「いえ、あの、今日でもいいんです。退院は嬉しいです」
みふゆは青木の家に早く行きたい気持ちは口にしなかった。自分の家はもう惣領のお屋敷なのだ。
「そうか・・?・・・そうだよな?!屋敷に帰ったらよ、舟遊びもしようぜ、な?満月に月見酒と洒落込むぞ!」
貴之のはしゃぎっぷりに、みふゆは顔がほころんで、「はい」と答えた。みふゆ本人より貴之のほうが喜び露わだ。
「おまえの部屋にする藤の間には仏壇を置くスペースもつくったからな」
機嫌良く話す貴之に、みふゆは「ありがとうございます」と笑顔で答えた。
「でも、他家のお仏壇を持ち込んでもいいものなんですか?惣領家のご先祖様達はどう思われるか・・」
「ははは、うちの先祖連中はそんな細けえ神経なんざ持ってねえさ。だいたいおまえが俺の娘になったことで、おまえの両親も惣領家の身内になったんだ」
貴之は笑い声をあげて言った。
「そう言ってもらえると嬉しいです」
そうだ。とても嬉しいことだ。
貴之の大らかさと気遣いが何よりも。
着々と準備は進んでいる。
嬉しいはずだ。嬉しいはずなのに。
物事が順調に進めば進むほど不安が頭をもたげる。
本当にいいのか、本当にこれでいいのか、と何度も何度も声とは思えぬ声に悩まされる。
みふゆは息苦しい気がして胸を二、三度さすった。得体の知れぬ不安で胸が押し潰されそうな感覚が起きた。
「どうしたの?」
胡蝶が気づいてみふゆに声をかけた。
「あ、なんでもないんです・・。ただ・・」
「ただ?」
「緊張するって、変ですよね。退院して帰れるんだからもっと嬉しいはずなのに」
「あなたにとっては、環境が大きな変化を遂げている真っ最中ですもの。入院も思ったより長くなってしまったし、戸惑って緊張するのは当たり前よ。でも大丈夫よ。みんな、あなたのそばにいるわ。あなたの力になれるわ。足だって以前よりずっと動きが良くなっているとリハビリの森永先生も言ってたわよ。着実に良い方向に向かってるって」
胡蝶がみふゆの気持ちに答えた。みふゆは少しだけ安心した表情を胡蝶に見せた。
「紅茶をいれましょうか。アッサムが好きだったわね」
胡蝶が病室内のキッチンに向かった。
みふゆは胡蝶の後ろ姿を眺めながら、言われた言葉をかみしめた。
『みんな、あなたのそばにいるわ』
もう独りじゃない。頼っていい家族ができたんだ。
なのに━━━━━━
叫び声がこだまする。
みふゆの内側に声を響かせている。
─── イクナ イクナ ソッチジャナイ イクナ イクナ イクナ イクナ イクナ イクナ イクナ
イ・ク・ナ ───
まるで警鐘を鳴らすみたいに。
昼食が終わり、午後一時━━━━
検査の結果に異常はなかった。
当初、退院に積極的だった貴之が、退院の予定を延ばそうと言いだした。
しかし、逆にみふゆは退院を強く希望し、結果を確認してすぐの退院となった。
男は青木家の斜め向かいの貸し駐車場の横に車を止め携帯電話を手にしていた。駐車場の管理会社の看板を見ながら電話をしている様子は、あたかも問い合わせでもしているように見える。
ぐるりと周囲を見回して、男は青木家と隣家をさりげなく眺めた。青木家の右隣は岸辺という表札があり、土地家屋もなかなか大きい。隣接しているが、岸辺の家建物はブロック塀で囲まれた敷地内の中央にあり、青木の家とは離れている。仮に青木家のなかで叫び声をあげても、聞こえる風ではない。
左隣は表札が外されたあとがあり、庭は手入れがされていない。空き家の可能性が高い。
さらに青木家の後ろは解体された家の瓦礫が積んであった。
━━━なかなか都合がいいな。
左隣が空き家かどうかは夜にまた来ればわかる。
男はあらかた周囲を確認し、かけてもいない携帯電話を耳に当てたまま、返事をしながら運転席のドアをあけた。
ほんの一瞬、男は青木家から目を離した。
男が顔を青木家に戻したその時、ポニーテールの髪の女が、まるで青木家の玄関から出てきたように、玄関前のスロープをパタパタと降りて、岸辺家の前を急ぎ足で駆けていった。
半袖の袖口が白の折り返しで、青みがかった緑のロカビリー調のワンピースを着ていた。
━━━━ポニーテール。写真の女だ。
『青木はいつもポニーテールよ。バカの一つ覚えみたいにね』
━━━━遊びにでも行くのか?にしても少し古くさい格好だな。昭和の女みたいだ。
男は単純にそう思った。
駆けていった女はあっという間に見えなくなった。
━━━━どっちにしろ居ることは居るな。今夜、ヤるか。夜に帰っていれば。
午後七時半、男は再び青木家の周辺に姿を現した。車ではなく、自転車でゆっくりと通り過ぎていった。
灯りがともされてるであろうこの時間帯は眠るには早い。灯りがあれば人はいる。なければ帰宅していない。青木家とその左隣に灯りはついていなかった。
男は夜の九時と十一時にも様子を見に通りすがった。
九時も青木家に灯りがつくことはなかった。帰宅はしてないらしい。まだ人通りがあったため、灯りの確認だけで終わった。
深夜十一時、灯りはついていない。人通りも途絶えた。
男は侵入して潜むことにした。いれば襲うし、いなければ帰ってくるまで潜んでりゃいい。
青木家の裏に回り勝手口か窓から入るつもりだったが、警備会社のシールが全てに貼っており、今夜の侵入は諦めた。
━━━━簡単にはいかねえか。在宅している時に玄関を開けさせるか。
男は青木家をあとにした。
翌朝━━━
朝食時に大塚医師が顔を見せ、検査の結果が今日わかると知らせてくれた。
「さっき報告があった。昼過ぎにはわかるそうだ」
大塚はそれだけ言うと去った。
貴之とみふゆが顔を見合わせた。
「なら、今日午後にでも退院できるじゃねえか!よーし、屋敷に連絡だ。迎えを呼ぶぞ!」
貴之が立ち上がり携帯電話を手にした。
「待って!お父さん、検査の結果はまだわかりません!」
みふゆが貴之の着物の袖を引っぱった。
胡蝶も「気が早いですわ。それにまだ食事中ですわよ」と貴之を窘めた。
「善は急げだ。なんでもねえから早くわかるんだろ?」
「でももしかしたら悪い兆候があるから早く知らせようと・・」
みふゆが不安げに言った。
「今回はそれは無いわね。結果が悪ければ真っ先に私の耳に届くもの」
「・・そうでしょうか・・・」
みふゆがうつむいた。
「あー・・、まあ、連絡は結果がわかってからでいいか」
貴之は携帯電話を懐に仕舞い、椅子に座り直して、みふゆの頭をそっと撫でた。
朝食を終えると、貴之は青木家に行く予定も繰り上げるかどうかをみふゆに尋ねた。
「もし今日退院するなら、青木家に行くのは明日の午後にするか?それとも予定通りのほうがいいか?」
「え?・・あ、」
「どうした?」
「なんだか緊張しちゃって・・」
青木家には早く行きたい。しかし、屋敷に帰って本当にやっていけるのか、みふゆは急に気がかりになった。
「退院は予定通りの明日でもいいし、もっとあとでもかまわないのよ?」
胡蝶が優しくみふゆに声をかけた。
「うーん、・・急すぎるのもアレか・・・昨日の今日だしな・・・。疲れるかもな・・・」
貴之の勢いがしぼんだ。
「いえ、あの、今日でもいいんです。退院は嬉しいです」
みふゆは青木の家に早く行きたい気持ちは口にしなかった。自分の家はもう惣領のお屋敷なのだ。
「そうか・・?・・・そうだよな?!屋敷に帰ったらよ、舟遊びもしようぜ、な?満月に月見酒と洒落込むぞ!」
貴之のはしゃぎっぷりに、みふゆは顔がほころんで、「はい」と答えた。みふゆ本人より貴之のほうが喜び露わだ。
「おまえの部屋にする藤の間には仏壇を置くスペースもつくったからな」
機嫌良く話す貴之に、みふゆは「ありがとうございます」と笑顔で答えた。
「でも、他家のお仏壇を持ち込んでもいいものなんですか?惣領家のご先祖様達はどう思われるか・・」
「ははは、うちの先祖連中はそんな細けえ神経なんざ持ってねえさ。だいたいおまえが俺の娘になったことで、おまえの両親も惣領家の身内になったんだ」
貴之は笑い声をあげて言った。
「そう言ってもらえると嬉しいです」
そうだ。とても嬉しいことだ。
貴之の大らかさと気遣いが何よりも。
着々と準備は進んでいる。
嬉しいはずだ。嬉しいはずなのに。
物事が順調に進めば進むほど不安が頭をもたげる。
本当にいいのか、本当にこれでいいのか、と何度も何度も声とは思えぬ声に悩まされる。
みふゆは息苦しい気がして胸を二、三度さすった。得体の知れぬ不安で胸が押し潰されそうな感覚が起きた。
「どうしたの?」
胡蝶が気づいてみふゆに声をかけた。
「あ、なんでもないんです・・。ただ・・」
「ただ?」
「緊張するって、変ですよね。退院して帰れるんだからもっと嬉しいはずなのに」
「あなたにとっては、環境が大きな変化を遂げている真っ最中ですもの。入院も思ったより長くなってしまったし、戸惑って緊張するのは当たり前よ。でも大丈夫よ。みんな、あなたのそばにいるわ。あなたの力になれるわ。足だって以前よりずっと動きが良くなっているとリハビリの森永先生も言ってたわよ。着実に良い方向に向かってるって」
胡蝶がみふゆの気持ちに答えた。みふゆは少しだけ安心した表情を胡蝶に見せた。
「紅茶をいれましょうか。アッサムが好きだったわね」
胡蝶が病室内のキッチンに向かった。
みふゆは胡蝶の後ろ姿を眺めながら、言われた言葉をかみしめた。
『みんな、あなたのそばにいるわ』
もう独りじゃない。頼っていい家族ができたんだ。
なのに━━━━━━
叫び声がこだまする。
みふゆの内側に声を響かせている。
─── イクナ イクナ ソッチジャナイ イクナ イクナ イクナ イクナ イクナ イクナ イクナ
イ・ク・ナ ───
まるで警鐘を鳴らすみたいに。
昼食が終わり、午後一時━━━━
検査の結果に異常はなかった。
当初、退院に積極的だった貴之が、退院の予定を延ばそうと言いだした。
しかし、逆にみふゆは退院を強く希望し、結果を確認してすぐの退院となった。
0
あなたにおすすめの小説
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
なぜ、私に関係あるのかしら?
シエル
ファンタジー
「初めまして、アシュフォード公爵家一女、セシリア・アシュフォードと申します」
彼女は、つい先日までこの国の王太子殿下の婚約者だった。
そして今日、このトレヴァント辺境伯家へと嫁いできた。
「…レオンハルト・トレヴァントだ」
非道にも自らの実妹を長年にわたり虐げ、婚約者以外の男との不適切な関係を理由に、王太子妃に不適格とされ、貴族学院の卒業式で婚約破棄を宣告された。
そして、新たな婚約者として、その妹が王太子本人から指名されたのだった。
「私は君と夫婦になるつもりはないし、辺境伯夫人として扱うこともない」
この判断によって、どうなるかなども考えずに…
※ 中世ヨーロッパ風の世界観です。
※ ご都合主義ですので、ご了承下さい、
※ 画像はAIにて作成しております
壊れていく音を聞きながら
夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。
妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪
何気ない日常のひと幕が、
思いもよらない“ひび”を生んでいく。
母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。
誰も気づきがないまま、
家族のかたちが静かに崩れていく――。
壊れていく音を聞きながら、
それでも誰かを思うことはできるのか。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
