3 / 3
3.
しおりを挟む
.
「茶会が決まったら連絡します。迎えは俺が行きますから安心してください」
「は、はい・・」
安心できるか!と言ってやりたいが、『はい』と答えるしかない小市民はつらい。
若頭も組長先生も和服美女もニコニコと笑顔だ。
三人の笑顔がまるで地獄の底なし沼への手招きの笑顔に見える。
可憐な白きざざんかよ・・、おまえに魅せられてこの道を通ったばかりに・・
さざんかの、道は何処へと続く道?
底なし沼に近づく道よ━━━━━
「そうだわ、お昼を食べてらっしゃいな」
「い、いえ!そんなご迷惑・・!」
「なーに、こいつは料理を振る舞うのが趣味なんだ。遠慮せず食ってけ食ってけ」
え?もしや和服美女は組長先生の???
「では昼食ができるまで茶碗のコレクションをご覧頂きましょう」
若頭が立ち上がった。ほんと背ぇ高ぇなこのひと。
「そりゃあいい。俺が説明してやる」
組長先生も立ち上がった。
「いえ!あの・・!」
私は早く帰りたい!
「何か問題でも?」
氷点下の視線で再び脅しをかけてくる若頭。
背景に極寒のシベリアが見える。
なんか歌が聞こえてきた。
『シーベリアの冬は極寒のー氷点下~~~』
右手にピストル、左手に水道管持ってそう。
・・助けてくれ、イタリア。
「い、いえ、・・その・・す、すごく興味が・・あり・・・まぁ・・す・・」
屈する私は拳を握る。
「でしょうね。さあ、どうぞ」
勝ち誇る若頭の笑顔100%。
私は100%勇気で断りたかった━━━
━━━のに!
ある晴れた秋の日に、ヤクザ2人に挟まれ連れて行かれる女が一人。
そんな私の瞳にさざんかの清らかな白がまぶしく映る。
ため息混じりのあきらめに、我が人生が仄暗い裏道の色に染まりませんようにと、私は心から願うばかりだった。
end
「茶会が決まったら連絡します。迎えは俺が行きますから安心してください」
「は、はい・・」
安心できるか!と言ってやりたいが、『はい』と答えるしかない小市民はつらい。
若頭も組長先生も和服美女もニコニコと笑顔だ。
三人の笑顔がまるで地獄の底なし沼への手招きの笑顔に見える。
可憐な白きざざんかよ・・、おまえに魅せられてこの道を通ったばかりに・・
さざんかの、道は何処へと続く道?
底なし沼に近づく道よ━━━━━
「そうだわ、お昼を食べてらっしゃいな」
「い、いえ!そんなご迷惑・・!」
「なーに、こいつは料理を振る舞うのが趣味なんだ。遠慮せず食ってけ食ってけ」
え?もしや和服美女は組長先生の???
「では昼食ができるまで茶碗のコレクションをご覧頂きましょう」
若頭が立ち上がった。ほんと背ぇ高ぇなこのひと。
「そりゃあいい。俺が説明してやる」
組長先生も立ち上がった。
「いえ!あの・・!」
私は早く帰りたい!
「何か問題でも?」
氷点下の視線で再び脅しをかけてくる若頭。
背景に極寒のシベリアが見える。
なんか歌が聞こえてきた。
『シーベリアの冬は極寒のー氷点下~~~』
右手にピストル、左手に水道管持ってそう。
・・助けてくれ、イタリア。
「い、いえ、・・その・・す、すごく興味が・・あり・・・まぁ・・す・・」
屈する私は拳を握る。
「でしょうね。さあ、どうぞ」
勝ち誇る若頭の笑顔100%。
私は100%勇気で断りたかった━━━
━━━のに!
ある晴れた秋の日に、ヤクザ2人に挟まれ連れて行かれる女が一人。
そんな私の瞳にさざんかの清らかな白がまぶしく映る。
ため息混じりのあきらめに、我が人生が仄暗い裏道の色に染まりませんようにと、私は心から願うばかりだった。
end
0
お気に入りに追加
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説

ルドベキア群生~若頭と私1~
由宇ノ木
恋愛
好きだった風景がまたひとつ消えた。
意気消沈しながら歩いていると、車の運転席から声をかけられた。
誰かと思ってみていると、男性は車から降りてきて━━━━
過去に公開した作品を削除して、書き直したお話です。他のサイトにも公開しています。
※『繚乱ロンド』とは別作品です。
関連作品
花物語『カサブランカ・ダディ』
『コスモスゆれて~若頭と私 2 ~』

コスモスゆれて~若頭と私 2 ~
由宇ノ木
恋愛
『ルドベキア群生~若頭と私~』のその後。
*『繚乱ロンド』とは別作品です。
関連作品
『ルドベキア群生~若頭と私1~』
『さざんかの咲く道~若頭と私3~』
花物語の『カサブランカ・ダディ』
【外伝・完結】神獣の花嫁〜いざよいの契り〜
一茅苑呼
恋愛
こちらは『神獣の花嫁シリーズ』の外伝となります。
本編をご存じなくとも、こちら単体でもお読みいただけます。
☆☆☆☆☆
❖大神社の巫女 可依(かえ)23歳
夢占いが得意な最高位のかんなぎ
✕
❖萩原(はぎはら)尊臣(たかおみ)29歳
傲岸不遜な元国司、現萩原家当主
────あらすじ────
「まさかとは思うが、お前、俺に情けを交わして欲しいのか?」
「お戯れをっ」
───自分の夢占に間違いはない。
けれども、巫女の身でありながら殿御と夜を共にするなど、言語道断。
「わたくしは、巫女でいたいのです」
乞われても、正妻のある方のもとへ行けるはずもなく。
「……息災でな」
そして、来たるべくして訪れる別れ。
───これは、夫婦の契りが儚いものだった世のお話です。
※表紙絵はAIイラストです。
10 sweet wedding
国樹田 樹
恋愛
『十年後もお互い独身だったら、結婚しよう』 そんな、どこかのドラマで見た様な約束をした私達。 けれど十年後の今日、私は彼の妻になった。 ……そんな二人の、式後のお話。



ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる