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第7章 東の帝国マコラ編
⑥シュウの別行動
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「俺、別行動するから。あとはふたりで旅するなり、帰るなりしてよ」
シュウが突然そんな事を言った。
三人旅が楽しかったのに、いったいどこに行こうって言うの?
「え?今から!?なんでそうなるの?どこに行くの?帰りの野営、ひとりで大丈夫なの?で、いったいどこに行くんだよ!」
俺は納得が行かない。シュウをひとりでマコラに置いて帰るなんて。
用事があるなら俺も一緒に付き合えばいいし、なにも急いで帰る理由なんてないんだから。
「東の帝国マコラには、女郎蜘蛛の魔物がいるんだよ。アンティジェリア王国の大蜘蛛よりでかい。その蜘蛛の糸がどうしても欲しい。レノは蜘蛛が嫌いだろ?なんならキラービーの蜂蜜採取も予定してるけど?」
「あわわ・・嫌、だ・・」
俺はそっとカイルの後ろに隠れる。
カイルは、苦笑いして狼狽える俺を見ている。
「ついでに、米と大豆を探してくるよ。だから、別行動な?たぶん・・2週間くらいで戻るつもりだから、ナディアの事頼むよ。気をつけて帰れよ?ふたりとも」
何だか、納得が行かないけど虫は嫌いだし・・シュウはひとりで大丈夫なんだろうか。
心配だけど、職人シュウは素材集めも仕事のうちだって言ってるし。
「米や大豆は一緒に探したかったな・・無理しないでね?気をつけて帰って来てね!」
「大丈夫だよ。レノ、グリフォンの嘴と爪、あと尾も採取しよう!魔石、楽しみだな。先に回収に行っててくれる?」
「分かった!」
俺はグリフォンが絶命している場所へ歩く。
大きくて、迫力を感じる。
爪が鋭くて立派だ。シュウは、これで何を作るんだろう。
俺が素材集めに奮闘していた頃、カイルとシュウがふたりでこんな会話をしていたなんて俺は、全く気が付かなかった。
「シュウ、虫退治にこじつけて、俺に気を回してくれたのか?」
「いや?虫退治は本当だよ?でもまぁ、そう言わないとレノが俺に付いてくるだろうし?アンティジェリア王国へ帰るまで、3日以上掛かるんだから、二人きりでゆっくり過ごしたら?うまくいくといいな?これ、餞別だ。ふたりで呑めよ!」
酒の入ったビンが2本・・これで酔わせろと?はぁ・・俺はいい仲間を持ったものだな・・酒の力を借りないとレノを口説けないなんて、情けない。
「旅の資金はあるのか?火鼠の魔石は相当な価値がある。困れば売ればいい」
「分かった。まぁ、資金なんて適当に魔物討伐して稼ぐからさ。大丈夫だよ」
「そうか。シュウ、気をつけて行ってこいよ?」
魔物の素材採取は職人のサガ。作りたいものがあれば、探すだろうな。
シュウはランクも上位だ。無理しなければ、戦いに負けることはない。
それにアンティジェリア王国に大切な存在を見つけたんだ、無理はしないだろう。
シュウと俺たちは、東の帝国マコラの中心都市に向かう途中で別れる事にしたのだった。
シュウが突然そんな事を言った。
三人旅が楽しかったのに、いったいどこに行こうって言うの?
「え?今から!?なんでそうなるの?どこに行くの?帰りの野営、ひとりで大丈夫なの?で、いったいどこに行くんだよ!」
俺は納得が行かない。シュウをひとりでマコラに置いて帰るなんて。
用事があるなら俺も一緒に付き合えばいいし、なにも急いで帰る理由なんてないんだから。
「東の帝国マコラには、女郎蜘蛛の魔物がいるんだよ。アンティジェリア王国の大蜘蛛よりでかい。その蜘蛛の糸がどうしても欲しい。レノは蜘蛛が嫌いだろ?なんならキラービーの蜂蜜採取も予定してるけど?」
「あわわ・・嫌、だ・・」
俺はそっとカイルの後ろに隠れる。
カイルは、苦笑いして狼狽える俺を見ている。
「ついでに、米と大豆を探してくるよ。だから、別行動な?たぶん・・2週間くらいで戻るつもりだから、ナディアの事頼むよ。気をつけて帰れよ?ふたりとも」
何だか、納得が行かないけど虫は嫌いだし・・シュウはひとりで大丈夫なんだろうか。
心配だけど、職人シュウは素材集めも仕事のうちだって言ってるし。
「米や大豆は一緒に探したかったな・・無理しないでね?気をつけて帰って来てね!」
「大丈夫だよ。レノ、グリフォンの嘴と爪、あと尾も採取しよう!魔石、楽しみだな。先に回収に行っててくれる?」
「分かった!」
俺はグリフォンが絶命している場所へ歩く。
大きくて、迫力を感じる。
爪が鋭くて立派だ。シュウは、これで何を作るんだろう。
俺が素材集めに奮闘していた頃、カイルとシュウがふたりでこんな会話をしていたなんて俺は、全く気が付かなかった。
「シュウ、虫退治にこじつけて、俺に気を回してくれたのか?」
「いや?虫退治は本当だよ?でもまぁ、そう言わないとレノが俺に付いてくるだろうし?アンティジェリア王国へ帰るまで、3日以上掛かるんだから、二人きりでゆっくり過ごしたら?うまくいくといいな?これ、餞別だ。ふたりで呑めよ!」
酒の入ったビンが2本・・これで酔わせろと?はぁ・・俺はいい仲間を持ったものだな・・酒の力を借りないとレノを口説けないなんて、情けない。
「旅の資金はあるのか?火鼠の魔石は相当な価値がある。困れば売ればいい」
「分かった。まぁ、資金なんて適当に魔物討伐して稼ぐからさ。大丈夫だよ」
「そうか。シュウ、気をつけて行ってこいよ?」
魔物の素材採取は職人のサガ。作りたいものがあれば、探すだろうな。
シュウはランクも上位だ。無理しなければ、戦いに負けることはない。
それにアンティジェリア王国に大切な存在を見つけたんだ、無理はしないだろう。
シュウと俺たちは、東の帝国マコラの中心都市に向かう途中で別れる事にしたのだった。
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