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⌘1章 雲母の水底 《きららのみなぞこ》
9.花梨の宝石箱《エクラン》
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忙しい執務の中、乳母と銀星太子の部屋を日に何度も訪れる蛍石女皇帝の姿は、宮廷の人々を驚かせ、そして慄かせていた。
蛍石は、早くに迎えた正室との間に産まれた公主も、そのしばらく後に産まれた太子にも、そのような様子は見せなかったから。
本来、皇帝の子供達は、后妃とその実家の人間達によって宮廷で育成され、皇帝や他の兄弟姉妹達とは一定の距離感で育てられる。
しかし、この度はどうだ。
これでは女皇帝はお気に入りの総家令との間の子を愛情に任せて次の王にしかねない。
正室との間に公主が一人、二人の継室の間に一人の太子が存在するが、そもそも長子が王位に就くという慣習がなく、その時々の政治状況、皇帝からの愛情の濃淡が大いに作用するし、極端に言ってしまえば、望むならば奪い合え、という暗黙の了解がある。
総家令の妻が妊娠した直後に自分も妊娠し、更には総家令の妻を自分の太子の為に乳母に召し上げたのも、女皇帝の当て付けだろうと人々は噂しあった。
ギルド派のあの娘も、厄介な事に巻き込まれて気の毒な事だ。
母親が、ギルド長になる事を条件に娘を売ったのではないか。
いやいや、あの女皇帝と総家令の事だ、母親に役職を押し付けて口出しできなくしたのだろう。
ギルドの看板を背負わせたら、私人である自分や娘の文句なんか宮廷に言えるものか。
そのようなことを「皆様、今日はこんな風に言っておりました」と双子家令の山雀と日雀に口真似をさせながら、女皇帝は機嫌よくその話を聞いていた。
「ああ、愉快だ事。連中、私たちの事で頭がいっぱいよ」
嬉しそうな蛍石に、太子の乳母である残雪がため息をついた。
「宮廷の人って本当にこういうお話ばかりしてるのね」
「そりゃあそうだ。それもまた廷臣の仕事だもの。職務に忠実なんだよ」
五位鷺は蛍石が抱いていた春北斗を撫でた。
「じゃ、こんな様子を見たらまた噂になるわね」
残雪が笑った。
なぜ乳母が茶を飲んで焼き菓子を摘んでいて、女皇帝がせっせと乳母の娘に授乳しているのか。
「春北斗はお腹いっぱいね。五位鷺、そっち頂戴」
五位鷺が春北斗を受け取り、腕の中にいた銀星太子を蛍石に抱かせた。
春北斗は父親の腕から母親の膝の上に移動して、残雪が食べているフルーツケーキをじっと見つめている。
「まだ食えないぞ。今にも食いついてしまいそうだ」
五位鷺が楽しそうに言った。
「おチビさん、あなたは来年くらいになったらね。あら、でもコレ、ドライフルーツをお酒で漬けてあるから、しばらくはダメねぇ。…私ったら。まさか乳母なのにお乳が出ないなんてねえ」
最大の誤算であろう。
「いいのよ!だって私が水道のように出るんだから。二時間もするともう胸が苦しくって」
残雪は帝王切開分娩の予定のはずがだいぶ早く産気付き、難産の末に産んではみたものの母乳がさっぱり出なくて困っていた有様。
これは乳母の為の乳母を雇わねばならないのではと思ったが、蛍石は出産前から母乳が出ていて、出産後はふんだんに供給されていた。
おかげで、女皇帝が自分の子も乳母の子も自分の乳で養っているわけだ。
「銀はゆっくり飲むから寝てしまいそう。こんなに時間かかるものなのね。おっぱいなんてあげるのこの子達が初めてだから知らなかったもの」
言いながら、自分も眠たそうだ。
残雪は蛍石の口に、ケーキを突っ込んだ。
「食べてから寝て。栄養取らないと。そんなにおっぱい出してたら、痩せちゃうわ」
蛍石はもっと食べると口を開けた。
「いっぱい食べていっぱいおっぱい出すわ」
そのまましばらくして、女皇帝は授乳をしながら太子共々眠ってしまった。
残雪は山雀と日雀に手伝わせて母子をそっと寝かせて柔らかなブランケットをかけた。
大きなデイベッドは眠る母子をゆったりと包み込んでいた。
五位鷺が春北斗をあやしながら、その様子を眺めていた。
「ああ、どう表現していいかわからない。なんと幸せそうなんだ。雪、この女性にこんな穏やかな日が来たことを嬉しく思うよ。我々にもね」
彼女には、思い出したくもない酷く悲しい日々があったのだと五位鷺は小さくつぶやいた。
残雪は夫の近くに寄り添った。
どう表現したらいいか、と言われて、残雪は微笑んだ。
「幸せだと、覚えていましょう」
二人はそっと抱き合った。
残雪は静かにね、と言いながら隣の私室で新しいお茶を入れた。
「山雀ちゃんはパウンドケーキどうぞ。日雀ちゃんはチョコレートが好きでしょ」
同じ顔をした家令が嬉しそうに気取って茶を飲んでいた。
双子家令は、当初、女皇帝が異常に執着し兄弟子が連れて来た妻がどんなものかと警戒していたが、最近ではすっかりこの太子の乳母であり総家令夫人の近くに仕えるという職務が気に入っていた。
何より一般の習慣のように、ちゃんづけで呼んで貰えるのも嬉しい。
「お茶も出して頂けるし、お菓子も頂けるんだもの」
「逆だろ。お前達が入れろ」
「だって、お兄様、とっても難しいのよ」
「そうよ。自分だって出来ないくせに」
「双子ちゃんも、来年くらいには出来るようになるわよ」
双子にお茶を入れさせてみたらあまりの手際の悪さと味のまずさに残雪が驚いて、結局自分が入れている。
「家令ってなんでも出来るのに、お茶葉にお湯を入れるのが難しいなんておかしいわね」
そう言う残雪に双子が恥ずかしそうに微笑んだ。
母と叔母が双子のせいか、この山雀と日雀の双子家令がそばにいてくれるのは安心感があった。
彼女達は、自分より少し年下なのだが表情や言動が年齢より少し幼いのは、蛍石と共通していた。
早くから大人達の中で育った場合、大人びてしまう場合と、幼さをなかなか手放せない場合がある。
蛍石もこの双子家令も幼い頃から苦労したのだろうと、残雪は少し悲しくなった。
「お兄様、宝石箱のお話はどうなったの」
「宝石箱だけじゃないわ。その前だって」
五位鷺が頷いた。
最近、残雪の花梨の木で出来た見事な宝石箱が壊されていたのだ。
中には残雪が女皇帝から賜った見事な真珠の首飾りがしまってあった。
首飾りは無事だったが、箱だけが無残に砕かれていた。
また残雪が宮廷に上がって間も無くの頃、実家が誂えた高価な家具のいくつかも破壊されたのだ。
正室か継室付き女官の仕業だろうと双子家令は訴えた。
しかし、証拠が無い。
残雪がこの事は蛍石には言わないように、大事にしてくれるなと頼み、女皇帝の耳には入っていない。
十一が自分に告げたように、確かに、この宮廷において蛍石と五位鷺の立場は難しいと実感した。
残雪はその後すぐに実家に連絡して家具も宝石箱も全く同じものをすぐに用意して、まるで何も無かったかのように同じように部屋に置いておいた。
ギルドの実行力と豊かさに、手を下した人間達は絶句した事だろう。
仮にも宮廷に持参出来るほどの調度品と、皇帝が用意させた宝石箱なのだ。
決してそう簡単に手に入れられるものではない。
「犯人は必ず見に戻って来たはずよ。誰も居ない頃見計らってコソコソね。きっと驚いたでしょうね」
「その話を聞いたいずこかのお后妃様は面白くない事でしょうね」
双子が楽しそうに笑った。
「何にしても、お前達、用心しろよ」
五位鷺がそう言うと、妹弟子達は頷いた。
蛍石は、早くに迎えた正室との間に産まれた公主も、そのしばらく後に産まれた太子にも、そのような様子は見せなかったから。
本来、皇帝の子供達は、后妃とその実家の人間達によって宮廷で育成され、皇帝や他の兄弟姉妹達とは一定の距離感で育てられる。
しかし、この度はどうだ。
これでは女皇帝はお気に入りの総家令との間の子を愛情に任せて次の王にしかねない。
正室との間に公主が一人、二人の継室の間に一人の太子が存在するが、そもそも長子が王位に就くという慣習がなく、その時々の政治状況、皇帝からの愛情の濃淡が大いに作用するし、極端に言ってしまえば、望むならば奪い合え、という暗黙の了解がある。
総家令の妻が妊娠した直後に自分も妊娠し、更には総家令の妻を自分の太子の為に乳母に召し上げたのも、女皇帝の当て付けだろうと人々は噂しあった。
ギルド派のあの娘も、厄介な事に巻き込まれて気の毒な事だ。
母親が、ギルド長になる事を条件に娘を売ったのではないか。
いやいや、あの女皇帝と総家令の事だ、母親に役職を押し付けて口出しできなくしたのだろう。
ギルドの看板を背負わせたら、私人である自分や娘の文句なんか宮廷に言えるものか。
そのようなことを「皆様、今日はこんな風に言っておりました」と双子家令の山雀と日雀に口真似をさせながら、女皇帝は機嫌よくその話を聞いていた。
「ああ、愉快だ事。連中、私たちの事で頭がいっぱいよ」
嬉しそうな蛍石に、太子の乳母である残雪がため息をついた。
「宮廷の人って本当にこういうお話ばかりしてるのね」
「そりゃあそうだ。それもまた廷臣の仕事だもの。職務に忠実なんだよ」
五位鷺は蛍石が抱いていた春北斗を撫でた。
「じゃ、こんな様子を見たらまた噂になるわね」
残雪が笑った。
なぜ乳母が茶を飲んで焼き菓子を摘んでいて、女皇帝がせっせと乳母の娘に授乳しているのか。
「春北斗はお腹いっぱいね。五位鷺、そっち頂戴」
五位鷺が春北斗を受け取り、腕の中にいた銀星太子を蛍石に抱かせた。
春北斗は父親の腕から母親の膝の上に移動して、残雪が食べているフルーツケーキをじっと見つめている。
「まだ食えないぞ。今にも食いついてしまいそうだ」
五位鷺が楽しそうに言った。
「おチビさん、あなたは来年くらいになったらね。あら、でもコレ、ドライフルーツをお酒で漬けてあるから、しばらくはダメねぇ。…私ったら。まさか乳母なのにお乳が出ないなんてねえ」
最大の誤算であろう。
「いいのよ!だって私が水道のように出るんだから。二時間もするともう胸が苦しくって」
残雪は帝王切開分娩の予定のはずがだいぶ早く産気付き、難産の末に産んではみたものの母乳がさっぱり出なくて困っていた有様。
これは乳母の為の乳母を雇わねばならないのではと思ったが、蛍石は出産前から母乳が出ていて、出産後はふんだんに供給されていた。
おかげで、女皇帝が自分の子も乳母の子も自分の乳で養っているわけだ。
「銀はゆっくり飲むから寝てしまいそう。こんなに時間かかるものなのね。おっぱいなんてあげるのこの子達が初めてだから知らなかったもの」
言いながら、自分も眠たそうだ。
残雪は蛍石の口に、ケーキを突っ込んだ。
「食べてから寝て。栄養取らないと。そんなにおっぱい出してたら、痩せちゃうわ」
蛍石はもっと食べると口を開けた。
「いっぱい食べていっぱいおっぱい出すわ」
そのまましばらくして、女皇帝は授乳をしながら太子共々眠ってしまった。
残雪は山雀と日雀に手伝わせて母子をそっと寝かせて柔らかなブランケットをかけた。
大きなデイベッドは眠る母子をゆったりと包み込んでいた。
五位鷺が春北斗をあやしながら、その様子を眺めていた。
「ああ、どう表現していいかわからない。なんと幸せそうなんだ。雪、この女性にこんな穏やかな日が来たことを嬉しく思うよ。我々にもね」
彼女には、思い出したくもない酷く悲しい日々があったのだと五位鷺は小さくつぶやいた。
残雪は夫の近くに寄り添った。
どう表現したらいいか、と言われて、残雪は微笑んだ。
「幸せだと、覚えていましょう」
二人はそっと抱き合った。
残雪は静かにね、と言いながら隣の私室で新しいお茶を入れた。
「山雀ちゃんはパウンドケーキどうぞ。日雀ちゃんはチョコレートが好きでしょ」
同じ顔をした家令が嬉しそうに気取って茶を飲んでいた。
双子家令は、当初、女皇帝が異常に執着し兄弟子が連れて来た妻がどんなものかと警戒していたが、最近ではすっかりこの太子の乳母であり総家令夫人の近くに仕えるという職務が気に入っていた。
何より一般の習慣のように、ちゃんづけで呼んで貰えるのも嬉しい。
「お茶も出して頂けるし、お菓子も頂けるんだもの」
「逆だろ。お前達が入れろ」
「だって、お兄様、とっても難しいのよ」
「そうよ。自分だって出来ないくせに」
「双子ちゃんも、来年くらいには出来るようになるわよ」
双子にお茶を入れさせてみたらあまりの手際の悪さと味のまずさに残雪が驚いて、結局自分が入れている。
「家令ってなんでも出来るのに、お茶葉にお湯を入れるのが難しいなんておかしいわね」
そう言う残雪に双子が恥ずかしそうに微笑んだ。
母と叔母が双子のせいか、この山雀と日雀の双子家令がそばにいてくれるのは安心感があった。
彼女達は、自分より少し年下なのだが表情や言動が年齢より少し幼いのは、蛍石と共通していた。
早くから大人達の中で育った場合、大人びてしまう場合と、幼さをなかなか手放せない場合がある。
蛍石もこの双子家令も幼い頃から苦労したのだろうと、残雪は少し悲しくなった。
「お兄様、宝石箱のお話はどうなったの」
「宝石箱だけじゃないわ。その前だって」
五位鷺が頷いた。
最近、残雪の花梨の木で出来た見事な宝石箱が壊されていたのだ。
中には残雪が女皇帝から賜った見事な真珠の首飾りがしまってあった。
首飾りは無事だったが、箱だけが無残に砕かれていた。
また残雪が宮廷に上がって間も無くの頃、実家が誂えた高価な家具のいくつかも破壊されたのだ。
正室か継室付き女官の仕業だろうと双子家令は訴えた。
しかし、証拠が無い。
残雪がこの事は蛍石には言わないように、大事にしてくれるなと頼み、女皇帝の耳には入っていない。
十一が自分に告げたように、確かに、この宮廷において蛍石と五位鷺の立場は難しいと実感した。
残雪はその後すぐに実家に連絡して家具も宝石箱も全く同じものをすぐに用意して、まるで何も無かったかのように同じように部屋に置いておいた。
ギルドの実行力と豊かさに、手を下した人間達は絶句した事だろう。
仮にも宮廷に持参出来るほどの調度品と、皇帝が用意させた宝石箱なのだ。
決してそう簡単に手に入れられるものではない。
「犯人は必ず見に戻って来たはずよ。誰も居ない頃見計らってコソコソね。きっと驚いたでしょうね」
「その話を聞いたいずこかのお后妃様は面白くない事でしょうね」
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