魔法学園で入寮したはずがいきなり同居ってどういうこと!?

お茶漬けモンスター

文字の大きさ
1 / 6

1 魔法学園へようこそ

しおりを挟む
ある国のある森の奥。そこには一つの学園があった。
その学園の名は「アムザリオン魔法学園」王立の魔法使い養成学校だ。敷地は広大で、お城の様な風貌のこの学園には全国から魔法使いを目指す子供達が集ってくる。今日は新一年生の入学の日。学園はお迎えモード一色になっていた。

「ベル~まってよ!!」

「遅い遅い!おいてっちゃうよラルク!」

その頃学園の入口付近では新入生2人が焦った様子で入学式の受付へと急いでいた。

「ベルルカ・ツォーレン!」

「・・・とラルク・カガルです。二人受付お願いします。」

「ようこそ二人ともえーと、うん二人とも名前オッケー受付完了しました。あと10分で入学式がはじまってしまうので急いでくださいね。」

受付さんは時計と入口をちょいちょいと指さした。受付さんは見るからに怪しい雰囲気だ。片目が隠れる黒髪と魔法使いらしいとんがり帽子が拍車をかけて怪しげな風貌を作り出している。ベルルカは一瞬怖さを感じ、たじろいだが時間がないので受付さんを横目に入口へと急いだ。これが魔法学園・・・あれが魔法学園の職員さん。早くも学園の洗礼を受けたような気分だ。

会場に入るともうほとんどの人が座っていた。自由席なようなので2人は空いている後ろの席へ座る。するとすぐに学園長が出てきて挨拶を始めた。ショートの黒髪に占い師のようなベールを頭からかけてふわっとしたドレスを着た美しい出で立ちの女性だ。

「皆さんご入学おめでとうございます。本日は晴天で大変素晴らしいご入学日和と・・・」

ベルルカはいつも通りこのような挨拶は聞き流そうと思っていた。しかしー

「ん、あ・・・あ!!おばさんだ!」

ベルルカは思わず叫んでしまった。会場がざわつく。壇上では学園長がワナワナと震えていた。

「お・・ばさん?誰・・誰が言ったの誰よ。私のこと?そうよねそうだけど!」

会場が一気に冷え込む。比喩ではなく本当にだ。学園長であるユキノ・カガルの魔法は氷系。遂には雪まで降り始め、壇上前の生徒は凍りついた。これも物理的に。


「違う違う!そういう意味じゃないのにいい。」

「母さん・・・充分おばさんじゃないか。」

というのも、ユキノ・カガルはラルクの母親。ベルは小さい時から懇意にしてもらっていた。友達のお母さんを呼ぶときの名称としてベルはラルクの母親をおばさんと呼んでいたのだ。悪気など微塵もない。しかもラルクはサプライズとばかりに母が学園長に就任していた事をベルルカに伝えていなかった。

「おおっとそこまで!」

全体がてんやわんやの大騒ぎになっている中その一声で会場の冷気がピタリとおさまった。

「ユキノちゃん落ち着いて?彼女はそんな意味で言ったわけではないようだよ、それにほらめでたい日なのに凍てついてしまって台無しじゃないか。」

急に壇上へ現れたその青年はニコニコしながらユキノ学園長をなだめる。

「こんにちは皆さんぼくはこの学園の理事長のリオ・アムザリオンです。といっても今年からの新米なんですがね。よろしくお願いします。」

銀髪で隻眼の細身の青年はそれだけ言うと手をふって壇上裏へ引っ込んでしまった。会場では、理事長の挨拶にまたざわついた今回はそれプラス黄色い歓声のおまけつきだったけれど。式が終わると寮生は自分の部屋の確認に向かう。ベルは女子寮生なのでラルクとは一旦お別れだ。

「こちらは女子寮です。寮生の方はこちらで受付を!」

「ベルルカですベルルカ・ツォーレン」

「はい、ベルルカさんですね少々お待ちください・・・あれ?・・・んーと、やっぱり・・・ない。」

「なにか、問題が?」

「名前はあるのです、でも部屋の割り当てがないんです。そんなはずないのに、ちゃんと確認して・・・」

「どういうことですか?」

「えっと、つまり手違いでしょうかストレートに申しまして、あなたの部屋が用意されていません。」

「そ、そんな困ります。私どうしたら。」

ベルの家は学園からは大分離れたところにある。自宅からの通学なんてとても無理だ。

「なんとか、なりませんか。」

「本当に満室で、どうしようも。本当に申し訳ありません。少しお待ちください。」

寮の人は困った様子でどこかに連絡をとっていた。

「あれ、どうしたんです?」

そこに通りかかったのは門前で受付をしていたあの少し怪しい人だった。

「あ、さっきの怖い受付さん。」

「あ、ギリギリ組の子だ。」

そんな印象で残ってたか。ベルルカはなんだか複雑な気持ちになった。
受付さんは寮の人に何か話しかけているようだ。五分くらい話したあと。受付さんはこっちに向かってきた。

「えーとツォーレンさん。こっち。ついてきて。」

「ど、どこにですか。えっと。」

「いいからおいで」

ベルルカは言われるままに受付さんについていった。髪が黒く、片目が隠れるくらい長い。そしてとんがり帽子がいかにも魔導師らしい。ケープは職員用の物を身につけているようだ。年齢はよくわからなくて。不思議な人だ。警戒を怠らずにベルルカは少し距離をとって歩く。

「ついた、ここだよ。」

連れてこられたのは学園敷地内の森の少し奥にあるログハウスだ。雰囲気があって素敵な木の家。

「君はここに住むんだよ。ベルルカ・ツォーレンさん。」

「ここって?」

「ここは僕の家。」

「え、い、一緒に住むって、こと?」

「まあ、そうなるよね。寮が開くまでここにいてくれる?他に場所がなくてね。」

「用意してくれるのは嬉しいけど。私悪いけどあなたのことよく知らないし。不安です。」

「まあ、そうだよねえ。その警戒はもっともなことだね。・・・ふむ、自己紹介をしたほうがよさそうだ。でも、先に中に入ってくれないかな。君の信用を得るために僕は君に色々極秘事項を話さねばならないから。」

ベルは少し警戒心を保ちながらもログハウスの中へ入った。

「わあ、きれい!すごい!」

ログハウスの中はアンティークや美術品が飾られていて、とてもベルルカ好みだった。

「これ、どこで集めたんですか!?」

「ん?馴染みの店があってね。良ければ今度教えるよ。」

「ありがとうございます!・・・って突然すみません。」

「いいよ。褒められて嬉しいしね。さて、本題なんだけど、君にはここの2階の部屋の一つを使ってもらおうと思う。備え付けの家具は自由に使っていいよ。注意事項としてはまあ平等性を保つため君は自宅から通っていることにしてくれ。」

確かに職員の人の家に住んでいるとなると色々まずいだろう。

「あなたはここの先生なんですか?」

「僕は学園の色々な雑用をこなす用務員っていったところだね。普段は。」

「なるほどそれで受付を。ん?普段は?」

「そうだよ。ここからが僕の秘密。隠すほどでもないかもね・・・でもそのほうが何かと便利で。」

そこまでいうと受付さん、いや用務員さんは被っていた帽子を2回ほどトントンと叩いた。すると目にかかっていた髪が整い髪色が変化する。ついでに被っていた帽子をとると。

「あ、さっきの・・・確か、理事長!」

「正解!僕はねたまに理事長、普段は用務員、そんなところなんだな。」

「まどろっこしいことを・・・」

ベルルカはぼそりとつぶやいた。用務員兼理事長は少し戸惑いながらえーと、とつぶやき言葉に詰まる。

しばしの沈黙があって理事長が口を開いた。

「もっと驚くかとおもったんだけどなあ。」

「困惑と疲れとでも言いましょうか、なんせギリギリで入って入学式では冷え込んで寮では部屋がないと言われ、ここに来て・・・こんな感じですから。」

「そっか、そうだよね。えっと明日は休みだしゆっくり部屋で休んでね。」

「部屋・・・」

ベルルカはジトっとした目で用務員さんを見つめる。

「うっ、そんな目で見ないでよ。僕は曲がりなりにも理事長なんだから信じてくれていいと思うんだけど。」

理事長と分かったとはいえやはり用務員さんの時の怪しい雰囲気が未だベルルカを躊躇させる。

「大丈夫です・・・信じます。寮が見つかるまでの間、お世話になりますね。」

「あはは、まだ警戒してる目だね。まあ、その内慣れてくれたらいいよ。それと僕のことはリオでいい、家にいる間はね。」

信用してない訳じゃない、でもお世話になることにはなんとなく素直になれないのだ。
しかし、今日はゆっくり休もう、明日考えればいいよね。とベルは警戒心より疲れを癒すことを優先した。

「じゃあ部屋に案内しよう。」

「はい。お願いします。」


ベルルカはしばらくお世話になる自分の部屋へ案内され、荷物を少し解くなり眠気に負けてベットで深々と寝てしまった。


こうしてベルルカの入学1日目は過ぎ去ったのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

あんなにわかりやすく魅了にかかってる人初めて見た

しがついつか
恋愛
ミクシー・ラヴィ―が学園に入学してからたった一か月で、彼女の周囲には常に男子生徒が侍るようになっていた。 学年問わず、多くの男子生徒が彼女の虜となっていた。 彼女の周りを男子生徒が侍ることも、女子生徒達が冷ややかな目で遠巻きに見ていることも、最近では日常の風景となっていた。 そんな中、ナンシーの恋人であるレオナルドが、2か月の短期留学を終えて帰ってきた。

側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、孤独な陛下を癒したら、執着されて離してくれません!

花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」 婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。 追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。 しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。 夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。 けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。 「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」 フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。 しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!? 「離縁する気か?  許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」 凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。 孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス! ※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。 【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結保証】

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。 だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。 しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。 王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。 そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。 地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。 ⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。

【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……

buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。 みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……

死に物狂いで支えた公爵家から捨てられたので、回帰後は全財産を盗んで消えてあげます 〜今さら「戻れ」と言われても、私は隣国の皇太子妃ですので〜

しょくぱん
恋愛
「お前のような無能、我が公爵家の恥だ!」 公爵家の長女エルゼは、放蕩者の父や無能な弟に代わり、寝る間も惜しんで領地経営と外交を支えてきた。しかし家族は彼女の功績を奪った挙句、政治犯の濡れ衣を着せて彼女を処刑した。 死の間際、エルゼは誓う。 「もし次があるのなら――二度と、あいつらのために働かない」 目覚めると、そこは処刑の二年前。 再び「仕事」を押し付けようとする厚顔無恥な家族に対し、エルゼは優雅に微笑んだ。 「ええ、承知いたしました。ただし、これからは**『代金』**をいただきますわ」 隠し金庫の鍵、領地の権利書、優秀な人材、そして莫大な隠し資産――。 エルゼは公爵家のすべてを自分名義に書き換え、着々と「もぬけの殻」にしていく。 そんな彼女の前に、隣国の冷徹な皇太子シオンが現れ、驚くべき提案を持ちかけてきて……? 「君のような恐ろしい女性を、独り占めしたくなった」 資産を奪い尽くして亡命した令嬢と、彼女を溺愛する皇太子。 一方、すべてを失った公爵家が泣きついてくるが、もう遅い。 あなたの家の金庫も、土地も、働く人間も――すべて私のものですから。

処理中です...