銀河のかなたより

羽月蒔ノ零

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銀河のかなたよりⅡ

太陽系第4惑星

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「ふーむ。火星も非常に興味深い惑星だ」
「赤いねえ。どこまでも赤い」
「やっぱり、記録に残っている姿とはだいぶ異なっていますね」


――タスケテクダサイ。チキュウノキキ。チカラガヒツヨウデス。アナタガタ3メイノ――


「ん? なんだ今の?」
「またなにか聞こえた。あの喫茶店の時みたいに……」
「私も聞こえました。たしかあの時は、日本の時刻だってヒナタ君が言っていましたね」
「また地球の言葉なのだろうか? そうだ。翻訳機にかけてみよう。何て聞こえたか覚えてるかい?」
「いいえ、さすがにわからなかった……」
「私も、さすがに一回では……」

「ふーむ……。もう一度、同じメッセージが届くといいが……」


――タスケテクダサイ――


「む! 来たぞ! よし、翻訳だ。……あれ、忘れてしまった。マーリ、言えるかい?」
「はい。たしか、こんな感じだった気が……『タスケテクダサイ』」 
「お、翻訳できた。どれどれ」

『助けてください』

「なんだこりゃ? どこかに遭難している宇宙船でもいるんだろうか?」
「とにかくもう少し情報が必要ね。これだけじゃあ助けたくても助けられない」
「またメッセージが届くといいんですけど……」


――チキュウノキキ――


「あ、また来ました!」
「よし、今度は私にも言えるぞ。えっと、『チキュウノキキ』」

『地球の危機』

「……地球? メッセージの発信源は地球なのか? しかし一体どうやって……」


――チカラガヒツヨウデス――


『力が必要です』


――アナタガタ3メイノ――


『あなたがた3名の』


「やはりこのメッセージは、我々に向けてのもので間違いないようだ」


――ハイツラルカンシエルワタナベノオクジョウ――


『ハイツラルカンシエルワタナベの屋上』

「『ハイツラルカンシエルワタナベの屋上』……。ここに行けばよいのだろうか? よし、ヒナタがスマートフォンで使用していた『グルグル』みたいな名前の地図を参考にして作ったこの『地球地図』の出番だ。『ハイツラルカンシエルワタナベ』っと。お、無事に見つかった。ほお、ヒナタの家やリードセルワールドともまあまあ近いようだ! 早速目的地に設定しよう!」


――マッテイマス――


『待っています』


「地球の皆さん、待っててね!」
「必ず力になってみせます!」

「よし、では行こう! 目的地、『地球』! の、『ハイツラルカンシエルワタナベ』! の、『屋上』!」
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