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第1章
ふくごの郷①陽と月の出会うところ
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「神之屋月衛?ああ、憶えているよゥ。島の神社の息子でね。…神社、あの、崖のとこの。今ホテルの。あれ、全部、神社の屋敷だったのよゥ。…だだっ広いにゃァだだっ広いが、蛇憑きの家じゃ言うて。女しか生まれないの。女ばっかり…そんなとこに生まれた長男だったからさァ。身体が弱いゆうて、もう、外にも出さん。薄暗ァい屋敷の中にね。毎日薬湯飲ませて、精が付くゆうたら何でも食べさせてねェ。毎日。…どうなったかねェ。あの子、どうなったか。島の誰も知らないよォ。…戦争の時分には、もう島にいなかったが。帰ってきたゆう話も聞かなかったしねェ」
(1968年8月3日、古老・中野ヨシ語る、神島調査)
どこまでも続く畳を憶えている。家の中は、いつも薄暗く、ひんやりとしていた。おおよそ、子どもを楽しませるものなんてなかったんじゃないだろうか。玩具も友達もなく、月衛は、日がな一日、家の書庫で古文書に読みふけって育った。
十二の歳に、大祭があった。跡継ぎである月衛を神にお披露目するだとかで、一族の女達は何日も前から張り切って支度していたものだ。
「――月衛。また、ここにいたのですか」
白い肌が暗がりに浮かび上がるような女だ。艶やかな黒髪を夜会巻きに結い上げ、細かな螺鈿細工の入った鼈甲の櫛を挿していた。贅をこらした煌びやかな着物は、わざわざ京都の老舗から取り寄せた逸品である。
「母様」
土蔵の窓辺で文書を読んでいた少年が、鬱陶しげに横髪を耳に掛ける。母親とそっくりの艶やかな黒髪、白い頬。冷ややかな眼差しまでよく似ている。
「今日は、大祭にお招きしたお客様がいらっしゃると言ったでしょう。応接間に来て、ご挨拶なさい」
月衛が従うことを疑いもしない様子で、母親は踵を返して書庫を出た。実際、食は細いが、毎日飲まされる苦い薬湯も素直に飲み、外へ出たいと駄々をこねることもない。物わかりのいい少年であった。
「…派手な櫛」
母親の後ろ姿に聞かせるように、月衛が呟く。そして、フーッとこれ見よがしに溜息をついて、文書を閉じた。
応接間は、畳間に絨毯を敷いて洋風にしつらえられている。背広姿の男が紅茶を啜る。獅子のような、暗赤色の髪。強く射貫くような眼差し。背広の上からでも分かる、精悍な体つき。月衛を従えた母親が襖を引くと、長椅子から立ち上がって一礼した。
「ヌエ殿。この度は、大祭にお招きいただき、光栄でございます。本来ならば、本家の恋河内が伺うところでございますが、都合が付かず、分家の私が名代として参りました」
――華族様だとか言ってたか。
月衛の深い藍色を帯びた瞳が、無遠慮に男を観察する。
「いいえ!穂村様においでいただけて、ほんに嬉しゅうございますわ。12年に一度の大祭でございますの」
――母様好みな男。
なるほど、着物も櫛も派手なわけだ。一際、高い声を出してはしゃぐ母親を、隣の椅子に腰掛けた月衛が冷たく見遣った。
月衛は父の顔を知らぬ。神之屋の家は女所帯で、代々、長女が婿を取って当主に充てていた。婿はたいてい短命で、月衛の父も早くに亡くなっている。女ばかりの家で贅沢奔放に育ったヌエは、不貞な本性を隠しもせず、息子の眼前で男を家に引き込むことも、しばしばあった。
「明日の大祭まで、お世話になります。こちらは、長男の烈生」
男とそっくりの髪色をした少年が、父の隣でピッと背筋を伸ばす。
「穂村烈生です!お世話になります!」
お辞儀と共に、闊達な声が響く。
「ほほ…元気な坊ちゃんだこと…。羨ましゅうございますわ。うちのは身体が弱くて」
陽射しのようだ、と月衛は思った。明るく、強く人を照らす。
「こちらが、うちの長男で。月衛と申しますの」
「…神之屋月衛です。よろしくお願いします」
最小限の挨拶をして頭を下げる。緩くまとめた長い黒髪が、はらりと肩を包んだ。烈生の利発な眼差しが、真っ直ぐに月衛を捉える。顔を上げた月衛と目が合うと、パッと笑った。
「父上!月衛君と遊んできてもいいですか!?」
歳の近い子供がいるとなると、もうウズウズして仕方がない。誠之輔は、きらきらと瞳を輝かせる息子を愛おしそうに眺めた。
「ああ。夕飯の頃までに戻っておいで。月衛君は身体が弱いそうだから、無理をさせないように」
構いませんか、と精悍な笑顔を向けられたヌエは、一も二もなく頷いた。好い男を前にして、子供がいては邪魔くさい。
「行こう!月衛君!」
烈生に手を引かれ、わけもわからないまま月衛も立ち上がった。
来る時に見た見事な池。鯉や鮒でもいるのではないか。大きな松の木も見えた。あの木に登って、遠くを見たい。月衛は相撲をとれるだろうか?烈生は、ワクワクと玄関へ向かう。
「あの、烈生君」
月衛の細い声に、烈生が振り向く。
「月衛は外に出ないように言われていて」
烈生が大きな鳶色の瞳を瞬かせた。
「じゃあ、家の中で遊ぼう!君、メンコはできるか!?」
小学校で流行っているのだ。
「めんこ…?」
「面白いぞ!…持ってないのか?」
ならば。
「剣玉はどうだ。勝負しよう!」
「けんだま…?」
ビー玉も双六もベー独楽もないと言う。要領を得ない月衛の様子に、烈生は困り果てた。
「君、普段は何して遊んでるんだ?」
問われた月衛が、軽く首を傾げた。
「文書を読んでいる…ずっと」
…もの凄く、つまらなそうだ。腕組みして天井を仰いだ烈生が、にぱっと笑って声を潜めた。
「こっそり、庭を探検しよう。子守のねえやに見つからないように」
忍者ごっこだ。少年雑誌で読む冒険小説みたいでワクワクする。その笑顔をしばらく眺めて、月衛がコクリと頷いた。庭なら屋敷の中だし、言い訳も利くのではないかと思ったのだ。何より、今まで感じたこともないほど胸が高鳴っていた。
外の陽射しに、月衛が目をすがめる。まだ残暑の残る時期で、温暖な島の地面を灼きつけるような太陽が照らしている。
「月衛君!池まで競走だ!」
烈生が弾けるように走り出す。
「え?ま…待って…」
つられるように、月衛も走り出した。白く灼ける光の中で、紅い髪が揺れている。子供らしい、活発な笑い声。半袖のシャツからのぞく腕も、半ズボンから伸びる脚も、健康そのものだ。
「烈生君…」
夢中で追いかける月衛が、白い手を伸ばす。息が上がる。ぐわんぐわんと、銅鑼を鳴らすような頭痛。脚がもつれる。ついに、ガクリとその場にへたり込んだ。
「月衛君!!」
倒れ込む音で気付いた烈生が駆け戻ってくる。
――父上に、無理をさせるなと言われたのに!
子供ながらに、自分の迂闊さを悔やんだ。
「月衛君――…」
おろおろと月衛の背中をさする。いったい、どうすればよいのか。腹が痛いわけでもなさそうだ。月衛の青ざめた顔を見ているうちに、虚弱な質の母親が、疲れすぎると熱を出すことを思い出した。ばあやのおフジは、そんな時にどうしていたか。
「月衛君、こっちへ!」
月衛を助け起こし、木陰へ連れていった。月衛が、息も絶え絶えに木の根元に寄りかかる。
「待っててくれ!今、水を汲んでくるから」
走る途中で見かけた井戸の方へ駆けていく。硬いポンプを、力を込めて押し、桶いっぱいに水を汲んだ。おフジは、手拭いを水に浸して母のおでこに乗せていた。手拭いはないが、ちょうどポッケにはハンカチーフが入っている。
「月衛君!」
ぜいぜいと荒い息の下から、呼ばれた方に目を向けた。烈生が桶を提げて走ってくる。陽射しの中で金色に輝いて――…月衛の目の前で石に蹴つまずいて、すっ転んだ。桶ごと。
「うわあぁぁぁ!ごめん!!月衛君!」
慌てて起き上がると、頭から井戸水をぶっかけられた月衛が、ずぶ濡れで目を丸くしている。
「ごめん!ハンカチーフを…」
ポッケから小さなハンカチーフを取り出して、黒髪を拭う。びしゃびしゃになったら絞って、また拭って。とても間に合いそうにない。
ふ…と月衛が笑い出した。
「いいよ。もう大丈夫だ。“落ちた”から」
「“落ちた”って?何が…」
怪訝そうな烈生の目の前で、藍色が微笑んでいる。月衛が猫のように伸びをした。本当に、具合が良くなったようだ。
「…なんでもない。元気になったって事だよ」
それでも。こんなにずぶ濡れでは、ねえやに叱られるのではないか。烈生は、申し訳なくて、どうしようかと考えを巡らせた。
「そうだ!月衛君、木に登ろう!」
パッと鳶色の瞳が輝く。
「は?え…?」
なぜ木に登るのか。登ってどうするのか。
「木の上だと風がよく当たるんだ。着物を乾かそう!」
言うなり、烈生は松の木に飛びついた。するすると幹を登り、目の高さほどの枝の上から手を伸ばす。
「月衛!」
木漏れ日の中で、眩しい金色が輝いている。白い手が、血色の良い手を握る。幹のこぶに足をかけて、ぐ…と力を込めてみた。一歩、また一歩。烈生に手を引かれて辿り着いた天辺の枝には、たしかに涼やかな風が吹き抜けていた。
「思った通りだ!海がよく見えるな!!」
烈生が、はるか水平線を見晴るかす。マドロス船の船長になった気分だ。
「海…」
月衛が呆然と呟く。塀の向こうなど見たこともなかった。“海”だって書物の中でしか知らない。まさか、自分の住む屋敷のすぐ側に、こんなに雄大にうねる“海”があるなんて。初めて見る本物の海は、晩夏の陽を受けてキラキラと輝いていた。
「烈生は、海の向こうから来たのか?」
月衛が、潮風に乱れる髪を押さえながら尋ねた。
「ああ!この島には、父上と船に乗ってきた!海の向こうの、本土から」
毎日、遙か遠い外国から船がやってくる港。数え切れない人々が往き来する駅。父と啜った蕎麦。沢山の子供が集まる学校。級友との体育の時間の楽しさ。友達と珍しい柄のビー玉を交換したこと。メンコに夢中になるうちに遅くなって、探しに来たおフジにこっぴどく叱られたこと。でもおフジの作る弁当は凄く美味しくて…。烈生が話す本土の話は、月衛には夢のような話ばかりだった。
「いいな…。月衛も、本土に行きたい」
烈生が鳶色の瞳をぱちくりさせる。
「次は、君の島の話を聞かせてくれ!学校は?どんな友達がいるんだ?」
無邪気に輝く瞳の中で、月衛が寂しげに頭を振った。
「知らないんだ。何も。家の外には出たことがない」
困った。玩具もない、学校もない、友達もいない暮らしなんて、烈生には想像もできない。
「じゃぁ、明日の大祭の話を聞かせてくれ。父上から君が主役と聞いた。楽しみだな!」
神社で祭。小さい頃に祝ってもらった七五三を思い出しながら問うた。
「そう良くもないよ。黄泉国への一里塚だ」
「よみのくに…?」
今度は、烈生が問い返す。お話に出てくる、死者の国。
「でも…君は大人になったら、この神社の神主になるんだろう?明日はそのお披露目だって」
真新しい着物を着て、赤飯を炊いて、御神酒を飲んで。烈生の七五三は、父も母も使用人達も嬉しそうに祝ってくれた。
「…君、“一年神主”って知ってるか?」
藍色が、ちろりと、烈生の健やかな頬を見遣る。
「うん、神様のお世話をする当番の氏子だろう?お供えをしたり、神社の掃除をしたり」
「現代はね。でも元々は、一年、身を清めてお世話した後、翌年の祭で神に捧げられる。生贄のことだよ。月衛もそうだ。この家の当主は、皆、短命でね」
月衛が、ふんと鼻で嗤った。この家の薄暗い廊下は、長く長く、黄泉国に繋がっている。
「まさか…この現代に…?」
烈生が呆然と呟いた。
「十二の大祭でお披露目。二十四の大祭で当主になる。そして、子を為したら三十に満たず、あの世行き」
まるで歌でも歌うように、月衛が数え上げた。書庫には代々の当主が記した記録が収められている。祭の司り方、その年の事件、日頃気付いたことなど。日記のようなものなのだが、その記録は、皆、二十代で途切れている。
「だって…神社だろう?神様がそんな非道なこと」
握る手は細くひんやりとしていて、本当に黄泉国へ行ってしまいそうな気がして。なんとか、出会ったばかりの友達を元気づけたかった。
「神社なんて、後付けで建てたものだよ。文書によれば、うちは神社を建てる前からずーっと、この島で蛇を祀ってきた。始まりは巫女のようなものだったのかもしれないが、そのうち忌み嫌われるようになってね。今では蛇憑きの家だなんて噂されている」
出入りの業者や、頻繁に入れ替わる使用人達の噂話。子供は意外なところで聞いているものだ。
烈生は、何も言えなくなって月衛の手を握りしめた。そっと見遣った白い頬が、お月様のようだと思った。
貴賓席に父と並んで座る烈生の眼前で、錦の稚児装束が微かに衣擦れの音を立てた。揺らぐ篝火の中を、白粉を塗り紅を差した月衛が静かに歩いていく。その姿は、あまりに妖艶で美しく、人というより、いっそ精霊の類いに見えた。
「父上」
月衛の運命を聞いてしまった小さな胸が、不安でいっぱいになる。昨晩、父に月衛から聞いたことを話し、本土に連れて行こうと訴えた。誠之輔は闊達に笑って、月衛の冗談だと烈生を宥めた。この現代に、そんな話があるものかと。
誠之輔が、不安げな息子の肩をポンポンと叩いた。昨日、応接間で紹介された月衛は、妙にませた印象だった。まだ幼い烈生と違って、すでに青年期特有の愁いを抱えるようになっているのかもしれない。十代にはよくある思い込みだ、と誠之輔は理解していた。
月衛が宮の中へ入ると、一族の女達が扉を閉め、閂をかけた。張り上げる祈りの声が、一層、高くなっていく。祝詞とは違う、独特な節回しだ。古代語だろうか。歌詞もよく聴き取れない。拍子を取る鼓の音が段々に速くなっていく。熱狂の中、月衛は教えられた通りに礼を捧げ、米を噛み、菊の花を浸した御神酒と共に喉に流し込んだ。途端に、目の前が昏くなった。
後のことは憶えていない。気がつけば、白い布団に寝かされていた。目を覚ますとすぐに、身を清めるのだと風呂場に連れて行かれた。着物を脱がされ、自らの左腕を見て、戦慄が走った。白い肌に、蛇のようにうねる赤い痣。鏡を振り返れば、口角から両頬にかけても痣が伸びていた。あまりの禍々しさに身を震わせて涙を零す月衛を囲んで、女達はお目通りが上手くいった証だと喜んだ。
赤い痣も落ち着き、殆ど見えなくなった頃。部屋にヌエが来て、普段の着物に着替えて穂村様を見送るようにと命じた。
――烈生!!
初めての友達が、海の向こうへ帰ってしまう。一昨日、月衛を元気づけようと握ってくれた、温かな手。絶対に離したくない、離してはいけない。
「穂村様!!」
細い声を振り絞る。
「お待ちください!月衛も本土に行きたい!!学校に行きたい!!」
縋りつこうとした手を、ヌエの冷たい手が掴んで、引き戻す。
「あらあら。我儘はやめなさい。お前は身体が弱いのだから」
まただ。苦い薬湯も、脂ぎった食事も、この言葉で押し付けられてきた。柔く優しく月衛を縛る、女達の呪いだ。
――もう、たくさんだ!
月衛が、ヌエを突き飛ばして玄関を走り出た。
「誰か…誰か!月衛を捕まえて!!」
女中達が追ってくる。息が上がる。頭が痛い。白く灼きつく陽射しの中を、月衛は歯を食いしばって走った。門を飛び出て、塀に沿って走る。息を切らしてようやく屋敷の裏に回ると、眼前に碧く雄大な海が現れた。
「近づくな!!」
崖っぷちで振り向いて、追ってくる女達に吼える。
「危ない…こっちへ来なさい!月衛!」
女中達の後ろから、よちよちと高い草履を履いたヌエが出てきた。
「嫌だ!本土へ行く!!学校へ行く!!」
今まで、こんな大声を出したことがあっただろうか。烈生から聞いた、きらめくような世界。この海の向こうには、考えもつかなかった希望が開けている。
「馬鹿を…馬鹿をおっしゃいな!!お前は身体が弱いのよ!本土なんて、学校なんて、我儘を言うんじゃありません!!」
ヌエが、キィキィと甲高い声で叫ぶ。
「…月衛が二十四まで生きていないと、困るんだろう!?ならば、それまで好きにさせろ!!どうしても止めるなら、今、ここから飛んで死んでやる!!」
脅しではなかった。この家に閉じ込められて、屠られるまで、退屈を持て余しながら生きるなんてまっぴらだ。それくらいなら、このどこまでも続く海に散りたいと願った。
「…ヌエ殿」
誠之輔が進み出た。
「ここは、月衛君の希望を聞いてやってはどうだろう。子供は仲間が欲しいものだし、現代の子供なら、相応の教育が必要でしょう。我が家で預かりますゆえ」
烈生の話では、月衛は十二になるまで学校に行ったこともなければ、友達が出来たこともないという。いくら虚弱だとはいっても、家庭教師もつけずに家に閉じこもらせているのはいかがなものか。烈生とさして年も違わぬ月衛が必死に訴えるのを見て、さすがに不憫に思ったのだ。
「まぁ…穂村様がそうおっしゃるなら…。次の大祭までにきちんと帰してくださるなら」
さきほどまでのキィキィ声が嘘のような猫なで声に変わった。父についてきた烈生の顔が輝く。
「行こう!月衛!!」
差し出された健やかな手を、白い手が掴む。握り返す手は陽射しのように温かく、仔獅子のような紅髪が金色にきらめいていた。
(1968年8月3日、古老・中野ヨシ語る、神島調査)
どこまでも続く畳を憶えている。家の中は、いつも薄暗く、ひんやりとしていた。おおよそ、子どもを楽しませるものなんてなかったんじゃないだろうか。玩具も友達もなく、月衛は、日がな一日、家の書庫で古文書に読みふけって育った。
十二の歳に、大祭があった。跡継ぎである月衛を神にお披露目するだとかで、一族の女達は何日も前から張り切って支度していたものだ。
「――月衛。また、ここにいたのですか」
白い肌が暗がりに浮かび上がるような女だ。艶やかな黒髪を夜会巻きに結い上げ、細かな螺鈿細工の入った鼈甲の櫛を挿していた。贅をこらした煌びやかな着物は、わざわざ京都の老舗から取り寄せた逸品である。
「母様」
土蔵の窓辺で文書を読んでいた少年が、鬱陶しげに横髪を耳に掛ける。母親とそっくりの艶やかな黒髪、白い頬。冷ややかな眼差しまでよく似ている。
「今日は、大祭にお招きしたお客様がいらっしゃると言ったでしょう。応接間に来て、ご挨拶なさい」
月衛が従うことを疑いもしない様子で、母親は踵を返して書庫を出た。実際、食は細いが、毎日飲まされる苦い薬湯も素直に飲み、外へ出たいと駄々をこねることもない。物わかりのいい少年であった。
「…派手な櫛」
母親の後ろ姿に聞かせるように、月衛が呟く。そして、フーッとこれ見よがしに溜息をついて、文書を閉じた。
応接間は、畳間に絨毯を敷いて洋風にしつらえられている。背広姿の男が紅茶を啜る。獅子のような、暗赤色の髪。強く射貫くような眼差し。背広の上からでも分かる、精悍な体つき。月衛を従えた母親が襖を引くと、長椅子から立ち上がって一礼した。
「ヌエ殿。この度は、大祭にお招きいただき、光栄でございます。本来ならば、本家の恋河内が伺うところでございますが、都合が付かず、分家の私が名代として参りました」
――華族様だとか言ってたか。
月衛の深い藍色を帯びた瞳が、無遠慮に男を観察する。
「いいえ!穂村様においでいただけて、ほんに嬉しゅうございますわ。12年に一度の大祭でございますの」
――母様好みな男。
なるほど、着物も櫛も派手なわけだ。一際、高い声を出してはしゃぐ母親を、隣の椅子に腰掛けた月衛が冷たく見遣った。
月衛は父の顔を知らぬ。神之屋の家は女所帯で、代々、長女が婿を取って当主に充てていた。婿はたいてい短命で、月衛の父も早くに亡くなっている。女ばかりの家で贅沢奔放に育ったヌエは、不貞な本性を隠しもせず、息子の眼前で男を家に引き込むことも、しばしばあった。
「明日の大祭まで、お世話になります。こちらは、長男の烈生」
男とそっくりの髪色をした少年が、父の隣でピッと背筋を伸ばす。
「穂村烈生です!お世話になります!」
お辞儀と共に、闊達な声が響く。
「ほほ…元気な坊ちゃんだこと…。羨ましゅうございますわ。うちのは身体が弱くて」
陽射しのようだ、と月衛は思った。明るく、強く人を照らす。
「こちらが、うちの長男で。月衛と申しますの」
「…神之屋月衛です。よろしくお願いします」
最小限の挨拶をして頭を下げる。緩くまとめた長い黒髪が、はらりと肩を包んだ。烈生の利発な眼差しが、真っ直ぐに月衛を捉える。顔を上げた月衛と目が合うと、パッと笑った。
「父上!月衛君と遊んできてもいいですか!?」
歳の近い子供がいるとなると、もうウズウズして仕方がない。誠之輔は、きらきらと瞳を輝かせる息子を愛おしそうに眺めた。
「ああ。夕飯の頃までに戻っておいで。月衛君は身体が弱いそうだから、無理をさせないように」
構いませんか、と精悍な笑顔を向けられたヌエは、一も二もなく頷いた。好い男を前にして、子供がいては邪魔くさい。
「行こう!月衛君!」
烈生に手を引かれ、わけもわからないまま月衛も立ち上がった。
来る時に見た見事な池。鯉や鮒でもいるのではないか。大きな松の木も見えた。あの木に登って、遠くを見たい。月衛は相撲をとれるだろうか?烈生は、ワクワクと玄関へ向かう。
「あの、烈生君」
月衛の細い声に、烈生が振り向く。
「月衛は外に出ないように言われていて」
烈生が大きな鳶色の瞳を瞬かせた。
「じゃあ、家の中で遊ぼう!君、メンコはできるか!?」
小学校で流行っているのだ。
「めんこ…?」
「面白いぞ!…持ってないのか?」
ならば。
「剣玉はどうだ。勝負しよう!」
「けんだま…?」
ビー玉も双六もベー独楽もないと言う。要領を得ない月衛の様子に、烈生は困り果てた。
「君、普段は何して遊んでるんだ?」
問われた月衛が、軽く首を傾げた。
「文書を読んでいる…ずっと」
…もの凄く、つまらなそうだ。腕組みして天井を仰いだ烈生が、にぱっと笑って声を潜めた。
「こっそり、庭を探検しよう。子守のねえやに見つからないように」
忍者ごっこだ。少年雑誌で読む冒険小説みたいでワクワクする。その笑顔をしばらく眺めて、月衛がコクリと頷いた。庭なら屋敷の中だし、言い訳も利くのではないかと思ったのだ。何より、今まで感じたこともないほど胸が高鳴っていた。
外の陽射しに、月衛が目をすがめる。まだ残暑の残る時期で、温暖な島の地面を灼きつけるような太陽が照らしている。
「月衛君!池まで競走だ!」
烈生が弾けるように走り出す。
「え?ま…待って…」
つられるように、月衛も走り出した。白く灼ける光の中で、紅い髪が揺れている。子供らしい、活発な笑い声。半袖のシャツからのぞく腕も、半ズボンから伸びる脚も、健康そのものだ。
「烈生君…」
夢中で追いかける月衛が、白い手を伸ばす。息が上がる。ぐわんぐわんと、銅鑼を鳴らすような頭痛。脚がもつれる。ついに、ガクリとその場にへたり込んだ。
「月衛君!!」
倒れ込む音で気付いた烈生が駆け戻ってくる。
――父上に、無理をさせるなと言われたのに!
子供ながらに、自分の迂闊さを悔やんだ。
「月衛君――…」
おろおろと月衛の背中をさする。いったい、どうすればよいのか。腹が痛いわけでもなさそうだ。月衛の青ざめた顔を見ているうちに、虚弱な質の母親が、疲れすぎると熱を出すことを思い出した。ばあやのおフジは、そんな時にどうしていたか。
「月衛君、こっちへ!」
月衛を助け起こし、木陰へ連れていった。月衛が、息も絶え絶えに木の根元に寄りかかる。
「待っててくれ!今、水を汲んでくるから」
走る途中で見かけた井戸の方へ駆けていく。硬いポンプを、力を込めて押し、桶いっぱいに水を汲んだ。おフジは、手拭いを水に浸して母のおでこに乗せていた。手拭いはないが、ちょうどポッケにはハンカチーフが入っている。
「月衛君!」
ぜいぜいと荒い息の下から、呼ばれた方に目を向けた。烈生が桶を提げて走ってくる。陽射しの中で金色に輝いて――…月衛の目の前で石に蹴つまずいて、すっ転んだ。桶ごと。
「うわあぁぁぁ!ごめん!!月衛君!」
慌てて起き上がると、頭から井戸水をぶっかけられた月衛が、ずぶ濡れで目を丸くしている。
「ごめん!ハンカチーフを…」
ポッケから小さなハンカチーフを取り出して、黒髪を拭う。びしゃびしゃになったら絞って、また拭って。とても間に合いそうにない。
ふ…と月衛が笑い出した。
「いいよ。もう大丈夫だ。“落ちた”から」
「“落ちた”って?何が…」
怪訝そうな烈生の目の前で、藍色が微笑んでいる。月衛が猫のように伸びをした。本当に、具合が良くなったようだ。
「…なんでもない。元気になったって事だよ」
それでも。こんなにずぶ濡れでは、ねえやに叱られるのではないか。烈生は、申し訳なくて、どうしようかと考えを巡らせた。
「そうだ!月衛君、木に登ろう!」
パッと鳶色の瞳が輝く。
「は?え…?」
なぜ木に登るのか。登ってどうするのか。
「木の上だと風がよく当たるんだ。着物を乾かそう!」
言うなり、烈生は松の木に飛びついた。するすると幹を登り、目の高さほどの枝の上から手を伸ばす。
「月衛!」
木漏れ日の中で、眩しい金色が輝いている。白い手が、血色の良い手を握る。幹のこぶに足をかけて、ぐ…と力を込めてみた。一歩、また一歩。烈生に手を引かれて辿り着いた天辺の枝には、たしかに涼やかな風が吹き抜けていた。
「思った通りだ!海がよく見えるな!!」
烈生が、はるか水平線を見晴るかす。マドロス船の船長になった気分だ。
「海…」
月衛が呆然と呟く。塀の向こうなど見たこともなかった。“海”だって書物の中でしか知らない。まさか、自分の住む屋敷のすぐ側に、こんなに雄大にうねる“海”があるなんて。初めて見る本物の海は、晩夏の陽を受けてキラキラと輝いていた。
「烈生は、海の向こうから来たのか?」
月衛が、潮風に乱れる髪を押さえながら尋ねた。
「ああ!この島には、父上と船に乗ってきた!海の向こうの、本土から」
毎日、遙か遠い外国から船がやってくる港。数え切れない人々が往き来する駅。父と啜った蕎麦。沢山の子供が集まる学校。級友との体育の時間の楽しさ。友達と珍しい柄のビー玉を交換したこと。メンコに夢中になるうちに遅くなって、探しに来たおフジにこっぴどく叱られたこと。でもおフジの作る弁当は凄く美味しくて…。烈生が話す本土の話は、月衛には夢のような話ばかりだった。
「いいな…。月衛も、本土に行きたい」
烈生が鳶色の瞳をぱちくりさせる。
「次は、君の島の話を聞かせてくれ!学校は?どんな友達がいるんだ?」
無邪気に輝く瞳の中で、月衛が寂しげに頭を振った。
「知らないんだ。何も。家の外には出たことがない」
困った。玩具もない、学校もない、友達もいない暮らしなんて、烈生には想像もできない。
「じゃぁ、明日の大祭の話を聞かせてくれ。父上から君が主役と聞いた。楽しみだな!」
神社で祭。小さい頃に祝ってもらった七五三を思い出しながら問うた。
「そう良くもないよ。黄泉国への一里塚だ」
「よみのくに…?」
今度は、烈生が問い返す。お話に出てくる、死者の国。
「でも…君は大人になったら、この神社の神主になるんだろう?明日はそのお披露目だって」
真新しい着物を着て、赤飯を炊いて、御神酒を飲んで。烈生の七五三は、父も母も使用人達も嬉しそうに祝ってくれた。
「…君、“一年神主”って知ってるか?」
藍色が、ちろりと、烈生の健やかな頬を見遣る。
「うん、神様のお世話をする当番の氏子だろう?お供えをしたり、神社の掃除をしたり」
「現代はね。でも元々は、一年、身を清めてお世話した後、翌年の祭で神に捧げられる。生贄のことだよ。月衛もそうだ。この家の当主は、皆、短命でね」
月衛が、ふんと鼻で嗤った。この家の薄暗い廊下は、長く長く、黄泉国に繋がっている。
「まさか…この現代に…?」
烈生が呆然と呟いた。
「十二の大祭でお披露目。二十四の大祭で当主になる。そして、子を為したら三十に満たず、あの世行き」
まるで歌でも歌うように、月衛が数え上げた。書庫には代々の当主が記した記録が収められている。祭の司り方、その年の事件、日頃気付いたことなど。日記のようなものなのだが、その記録は、皆、二十代で途切れている。
「だって…神社だろう?神様がそんな非道なこと」
握る手は細くひんやりとしていて、本当に黄泉国へ行ってしまいそうな気がして。なんとか、出会ったばかりの友達を元気づけたかった。
「神社なんて、後付けで建てたものだよ。文書によれば、うちは神社を建てる前からずーっと、この島で蛇を祀ってきた。始まりは巫女のようなものだったのかもしれないが、そのうち忌み嫌われるようになってね。今では蛇憑きの家だなんて噂されている」
出入りの業者や、頻繁に入れ替わる使用人達の噂話。子供は意外なところで聞いているものだ。
烈生は、何も言えなくなって月衛の手を握りしめた。そっと見遣った白い頬が、お月様のようだと思った。
貴賓席に父と並んで座る烈生の眼前で、錦の稚児装束が微かに衣擦れの音を立てた。揺らぐ篝火の中を、白粉を塗り紅を差した月衛が静かに歩いていく。その姿は、あまりに妖艶で美しく、人というより、いっそ精霊の類いに見えた。
「父上」
月衛の運命を聞いてしまった小さな胸が、不安でいっぱいになる。昨晩、父に月衛から聞いたことを話し、本土に連れて行こうと訴えた。誠之輔は闊達に笑って、月衛の冗談だと烈生を宥めた。この現代に、そんな話があるものかと。
誠之輔が、不安げな息子の肩をポンポンと叩いた。昨日、応接間で紹介された月衛は、妙にませた印象だった。まだ幼い烈生と違って、すでに青年期特有の愁いを抱えるようになっているのかもしれない。十代にはよくある思い込みだ、と誠之輔は理解していた。
月衛が宮の中へ入ると、一族の女達が扉を閉め、閂をかけた。張り上げる祈りの声が、一層、高くなっていく。祝詞とは違う、独特な節回しだ。古代語だろうか。歌詞もよく聴き取れない。拍子を取る鼓の音が段々に速くなっていく。熱狂の中、月衛は教えられた通りに礼を捧げ、米を噛み、菊の花を浸した御神酒と共に喉に流し込んだ。途端に、目の前が昏くなった。
後のことは憶えていない。気がつけば、白い布団に寝かされていた。目を覚ますとすぐに、身を清めるのだと風呂場に連れて行かれた。着物を脱がされ、自らの左腕を見て、戦慄が走った。白い肌に、蛇のようにうねる赤い痣。鏡を振り返れば、口角から両頬にかけても痣が伸びていた。あまりの禍々しさに身を震わせて涙を零す月衛を囲んで、女達はお目通りが上手くいった証だと喜んだ。
赤い痣も落ち着き、殆ど見えなくなった頃。部屋にヌエが来て、普段の着物に着替えて穂村様を見送るようにと命じた。
――烈生!!
初めての友達が、海の向こうへ帰ってしまう。一昨日、月衛を元気づけようと握ってくれた、温かな手。絶対に離したくない、離してはいけない。
「穂村様!!」
細い声を振り絞る。
「お待ちください!月衛も本土に行きたい!!学校に行きたい!!」
縋りつこうとした手を、ヌエの冷たい手が掴んで、引き戻す。
「あらあら。我儘はやめなさい。お前は身体が弱いのだから」
まただ。苦い薬湯も、脂ぎった食事も、この言葉で押し付けられてきた。柔く優しく月衛を縛る、女達の呪いだ。
――もう、たくさんだ!
月衛が、ヌエを突き飛ばして玄関を走り出た。
「誰か…誰か!月衛を捕まえて!!」
女中達が追ってくる。息が上がる。頭が痛い。白く灼きつく陽射しの中を、月衛は歯を食いしばって走った。門を飛び出て、塀に沿って走る。息を切らしてようやく屋敷の裏に回ると、眼前に碧く雄大な海が現れた。
「近づくな!!」
崖っぷちで振り向いて、追ってくる女達に吼える。
「危ない…こっちへ来なさい!月衛!」
女中達の後ろから、よちよちと高い草履を履いたヌエが出てきた。
「嫌だ!本土へ行く!!学校へ行く!!」
今まで、こんな大声を出したことがあっただろうか。烈生から聞いた、きらめくような世界。この海の向こうには、考えもつかなかった希望が開けている。
「馬鹿を…馬鹿をおっしゃいな!!お前は身体が弱いのよ!本土なんて、学校なんて、我儘を言うんじゃありません!!」
ヌエが、キィキィと甲高い声で叫ぶ。
「…月衛が二十四まで生きていないと、困るんだろう!?ならば、それまで好きにさせろ!!どうしても止めるなら、今、ここから飛んで死んでやる!!」
脅しではなかった。この家に閉じ込められて、屠られるまで、退屈を持て余しながら生きるなんてまっぴらだ。それくらいなら、このどこまでも続く海に散りたいと願った。
「…ヌエ殿」
誠之輔が進み出た。
「ここは、月衛君の希望を聞いてやってはどうだろう。子供は仲間が欲しいものだし、現代の子供なら、相応の教育が必要でしょう。我が家で預かりますゆえ」
烈生の話では、月衛は十二になるまで学校に行ったこともなければ、友達が出来たこともないという。いくら虚弱だとはいっても、家庭教師もつけずに家に閉じこもらせているのはいかがなものか。烈生とさして年も違わぬ月衛が必死に訴えるのを見て、さすがに不憫に思ったのだ。
「まぁ…穂村様がそうおっしゃるなら…。次の大祭までにきちんと帰してくださるなら」
さきほどまでのキィキィ声が嘘のような猫なで声に変わった。父についてきた烈生の顔が輝く。
「行こう!月衛!!」
差し出された健やかな手を、白い手が掴む。握り返す手は陽射しのように温かく、仔獅子のような紅髪が金色にきらめいていた。
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