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76.恨みを買う
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「久しぶりだな」
「……はい、ツルギさん。相変わらず部隊長をされているんですね」
「あぁ、つまり、状況を一年も打破できていないということだがな」
「そ、そんな風に言ったつもりではなくてですね……」
「でもまぁ一年もご苦労様だ、珈琲でも飲むか?ギルド娘ブレンドだ」
「いただきます」
カエデは緊張のあまり、舌を火傷した。
「熱っ!」
「淹れたてだからな」
カエデはツルギと談話室にいる、ノアオルタに帰ってきたのだ。一年もいないと懐かしく感じるものだ。
「私の活動報告書は見ていただいたと思います、ええと、ほとんど成果がないです」
「そんなもんだろ、だが……」
珈琲を一口飲んだ後、ストレージから報告書を取り出す。
「一つ、手掛かりを見つけたな」
「……」
『亜人の森に接触、人間に友好的……彼らは創造主マルエルという言葉を口にしていた』
「これのどこが?」
「いいか、俺はPEを何人も見たことがある」
驚いた、何を言い出すかと思ったら、突然の告白、やはり歴戦の勇者は格が違うというやつだ。
ノコノコとオトメに加勢し任務から帰ってきた私に人権は無いと思うのだが、どうして私にそんなカミングアウトをするのだろう?罵られると思ってたのに。
「そ、それは凄いことですね」
「その上での推測、俺は彼らに固有能力が与えられていると思っている。帰ってきたばかりのオトメとキリカの報告書、スイセンドウから再生湖まで、大体の旅のことも分かった、カエデの銃弾を食らいそうになったとか。まぁいい……特筆すべきこととしてはやはりPEとの戦闘だ。相手の名前をヒエン、NO.S5だ。彼女の固有能力は再生する剣『青の宝剣』それとD9によって命名された『青の剣閃』これは大体のものを切断する。あとはPEっぽく戦闘能力が高い……くらいだろうな」
「……はぁ。(アレ?なんでキリカがPEの能力を持っているのですか?)」
自分ですらPEの戦闘はオトメしか経験がない、なんならPEよりクリアマグナの方が強かったような。
「俺が見てきたPEも固有の能力を持っていた、だから、勘なのだが……その亜人の森はPEによって作られたと考えている」
「はい!?」
突飛押もなく、ツルギの表情は変わらなかった。
この塵のような手掛かりを本気にしているのか?
「PEの一人は消えた、こちらも一歩前進したということだ」
「……お役に立てたなら、喜べます」
「それと……ノウェという人間を知っているか?」
「……いえ」
「そうか。今度会ったら首を落としておいてくれ」
「ん?は、はい」
まだ暖かい珈琲を飲んで、ツルギは続けた。
「ところでカエデ、怒っているか?」
「何をです?」
「迅雷のことについてだ」
この時のツルギは自信が少し、なくなったように感じた。
「オトメはしょうがないことだったと言っているが、結局あれは俺の殺人だ。今回の経緯を聞く限りつくづく実感した」
私は胸を張って答えようと思う。
「いいえ、あれはECFとして、味方を守る者として正しいものでした。なので、私は怒ってなどいません」
「そうか、そう言ってもらえると次の正義への心構えもしやすいというものだ」
少し表情が楽になったようだ。
私もツルギさんには笑っていてほしい。
「それと、カエデは今後任務を続けるのか?」
「いえ、特に何も……」
「なら、キリカの護衛を任せたい」
どうしてキリカなのだろうか、こういう時はオトメなのでは?
「あいつは腕はあるがそれ以外がダメだ。特に射撃。頼めるか?俺の隊に所属になるが……記名はされない。それでもよければ」
「……はい、ツルギさんの命とあれば、特に問うておくこともありません」
「ありがとう感謝する……なぁ久しぶりに」
「?」
「戦闘訓練でもするか?」
本当はしたくて言い出せなかったことをツルギさんの口から言ってもらえて、私は嬉しかった。
一年の成果、見せる時だ、見ていてくれ師匠。
ーーーーーー
会議室の一室を借りてツルギ隊のみで会議。
追加でカエデとエイルがいる。
「新しいメンバーだ、カエデはECFの秘密隊員、エイルはオトメが引掛けてきた」
「ツルギさん、言い方!」
「エイルは作戦にまだ参加はできない、なぜって?仕事場が主にスギ博士の下になるからだ。だが、本人希望で本隊に書類上所属している。だから十分な訓練を積んだのち……弾避けにでもなってもらう。カエデは言うまでもない、いつも通りだ。メンバーにすら数えん。以上」
「了解ツルギ隊長、私はどんなに扱いがひどくて動じません」
「アリエさんがそれなら、私も」
「あんたら良くわからないこと言ってるけど、ようは関係者増えるけど、メンバーの表示8人は変わらないってことでしょ」
「なるほどサイケン」
「なるほどサイケン」
「なるサイケン」
「なるほどサイケン」
「おい!お前ら雑!キリカに至っては『なる』までしか言ってない!」
サイケンが一人で暴れているのをエイルは笑っていた、それを見て、僕はエイルを連れてきてよかったと思えた。
人ひとりの人生を背負った僕が後悔しなくてよかった、いまでも崩れそうなメンタルは仲間が支えてくれている、ありがとう。
「そして、オトメ、キリカ、カエデ、エイル、君たちにはここ数か月でのECFの進捗を確認してもらう。まずスイセンドウ攻略において、犠牲者は数人出たが、ライブの撤退にて終了。管理者達の情報は得られなかった。その後、オトメの転移、おかげで地図を広げることができたとスギ博士がよろこんでいた。そして……その約一ヵ月間でECFはノアオルタのある荒野から東へ侵攻した。部隊を幾つかに分けた調査のようなものだ。そのうち一つの分隊がライブと思われる集団に接触、拘束されてしまった」
「なんだって……ツルギさん!」
先ほどの和を吹き飛ばし、僕は焦燥だった。
「メンバーの中にはギンジが含まれる、アイツ、隊員をできるだけ逃がすために体張りやがって……」
「ギンジさんが?あんな強い人がなんで?」
「拘束されたのは、合計三名、ギンジ、フラノ、クルアッコ。三人目のネームセンスはなんだ……場所はここから東に確認された渓谷群にある、我々はその様相から『プリズン』と呼ぶことにした。人を収容できるようだ、施設にしては結構大きい、まるで刑務所のようだと名づけられた。そして明日、本隊のみで打って出る。キリカとカエデは別行動だ」
「え明日!……どうしてキリカとカエデは別なんですか?」
「ギンジが拘束されたということは、相当に高級な拘束具を用意しているのだろう、もしもしを考えてだ、俺も深いことを考えていない」
ざっくりしてんなぁ。
「今日集めたのはこのことを報告するためだった、各員、準備にかかれ」
ーーーーーー
廊下でエイルにECFについて訊いてみた。
「な、なぁエイル、ほんとにECFに入ってよかったのか?その、最終目標が……」
「世界破壊でしたっけ?まぁ半信半疑ですよ。ちょっと怖いですけど」
雑な苦笑いをされた。少し後悔したかもしれない。
「それでもですね、スギ博士とのお話が結構面白いですし、ここにいたらいつかミルザンドに行ける!って聞いて、かつてないほどテンション上がってるんです」
「そ、そっか。ちょっと安心した……」
「じゃあ明日頑張ってください!」
「うん。また」
後悔はすこし軽くなった。
ーーーーーー
その後、ルーム210にて僕は愚痴を言っていた。
「どうして明日なんだ?もっと準備期間が欲しいよ」
「それはしょうがないんじゃい、元々の日程に順次してるからな、突然オトメの救出作戦が決行されたというのが大きいな」
「なるほど……」
あっさり納得してしまった。
しかし、つづけて出撃とは隊員に負荷がかかるのではと思う。
「オトメ、ボクが思うに、先にツルギ隊だけが出撃なのは偵察も兼ねてるんだと思う。先遣隊もあったけど、やっぱり腕のある人間が行くべきだから……あと勇気」
「僕ら以外にもECFは強い人多いとおもうんだけど……」
「俺もそう思う、だが、だからこそ最強のツルギさんでなければいけなかったのだろう。そんな死ねと言われるような先遣隊になれて俺は嬉しいよ」
「サイケン、本気で言っているのか?僕を捜索しに来てくれた時の疲れも残ってるだろうに」
サイケンは布団を被って向こうを向いた。
「お前だってそうだろ?俺らは休み休みやってきたが、お前はずっと旅だったんだろ?変わんねぇよ」
「そ、そうかな、ありがとう……」
「それよりも、シロカミの子供たち、結構かわいいな」
クリアを発見出来なかったことを言うと思ったが、予想外だった。
シロカミの子供たちは、空いている大部屋を利用して保護している。
全員が環境に慣れたわけではないが、ECFと仲良くしている子供も多い。
僕もキリカと見に行った、とても綺麗な光景だった。
こんな輝かしい子供たちがシロカミといって殺される、その慣習を避けて、ここで生きているという事実に感激した。
今ならクリアのしたかったことがしっかり理解できた気がした。
でも、彼女は僕と違って人間への憎悪を知っていた、だから僕と分かり合えなかった。
それだけだ、それだけだ。
いずれ彼らに話さなければならない『僕が君たちの王を殺したんだよ』と。
その時彼らは僕を殺したいと思うだろうか?
楽園の破壊者として、あるいは憎悪の対象として。
負は連鎖するのか。
僕は僕のキリカを助けるという言い訳を信じてほしいわけではない。
ただ、知ったうえで殺されたいだけなんだ。
そしてその時になったらこう言うんだ。
「お前らを助けたのは僕だ。お前らの命があるのは僕のおかげだ」
傲慢過ぎてわらけてくる。
それより明日に集中しないと。
「ギンジさん、死んでなかったら、きっと助け出す」
「……寝ろよー、ベッドメイキング忘れてないよなー」
「ご、ごめんカワセミ、寝るよ」
また思い出した、ツルギさんの正義という言葉。
今回も自分の正義を定めておかなければいけない。
今回は……ライブを殺してでもギンジさん達を救う。
「……はい、ツルギさん。相変わらず部隊長をされているんですね」
「あぁ、つまり、状況を一年も打破できていないということだがな」
「そ、そんな風に言ったつもりではなくてですね……」
「でもまぁ一年もご苦労様だ、珈琲でも飲むか?ギルド娘ブレンドだ」
「いただきます」
カエデは緊張のあまり、舌を火傷した。
「熱っ!」
「淹れたてだからな」
カエデはツルギと談話室にいる、ノアオルタに帰ってきたのだ。一年もいないと懐かしく感じるものだ。
「私の活動報告書は見ていただいたと思います、ええと、ほとんど成果がないです」
「そんなもんだろ、だが……」
珈琲を一口飲んだ後、ストレージから報告書を取り出す。
「一つ、手掛かりを見つけたな」
「……」
『亜人の森に接触、人間に友好的……彼らは創造主マルエルという言葉を口にしていた』
「これのどこが?」
「いいか、俺はPEを何人も見たことがある」
驚いた、何を言い出すかと思ったら、突然の告白、やはり歴戦の勇者は格が違うというやつだ。
ノコノコとオトメに加勢し任務から帰ってきた私に人権は無いと思うのだが、どうして私にそんなカミングアウトをするのだろう?罵られると思ってたのに。
「そ、それは凄いことですね」
「その上での推測、俺は彼らに固有能力が与えられていると思っている。帰ってきたばかりのオトメとキリカの報告書、スイセンドウから再生湖まで、大体の旅のことも分かった、カエデの銃弾を食らいそうになったとか。まぁいい……特筆すべきこととしてはやはりPEとの戦闘だ。相手の名前をヒエン、NO.S5だ。彼女の固有能力は再生する剣『青の宝剣』それとD9によって命名された『青の剣閃』これは大体のものを切断する。あとはPEっぽく戦闘能力が高い……くらいだろうな」
「……はぁ。(アレ?なんでキリカがPEの能力を持っているのですか?)」
自分ですらPEの戦闘はオトメしか経験がない、なんならPEよりクリアマグナの方が強かったような。
「俺が見てきたPEも固有の能力を持っていた、だから、勘なのだが……その亜人の森はPEによって作られたと考えている」
「はい!?」
突飛押もなく、ツルギの表情は変わらなかった。
この塵のような手掛かりを本気にしているのか?
「PEの一人は消えた、こちらも一歩前進したということだ」
「……お役に立てたなら、喜べます」
「それと……ノウェという人間を知っているか?」
「……いえ」
「そうか。今度会ったら首を落としておいてくれ」
「ん?は、はい」
まだ暖かい珈琲を飲んで、ツルギは続けた。
「ところでカエデ、怒っているか?」
「何をです?」
「迅雷のことについてだ」
この時のツルギは自信が少し、なくなったように感じた。
「オトメはしょうがないことだったと言っているが、結局あれは俺の殺人だ。今回の経緯を聞く限りつくづく実感した」
私は胸を張って答えようと思う。
「いいえ、あれはECFとして、味方を守る者として正しいものでした。なので、私は怒ってなどいません」
「そうか、そう言ってもらえると次の正義への心構えもしやすいというものだ」
少し表情が楽になったようだ。
私もツルギさんには笑っていてほしい。
「それと、カエデは今後任務を続けるのか?」
「いえ、特に何も……」
「なら、キリカの護衛を任せたい」
どうしてキリカなのだろうか、こういう時はオトメなのでは?
「あいつは腕はあるがそれ以外がダメだ。特に射撃。頼めるか?俺の隊に所属になるが……記名はされない。それでもよければ」
「……はい、ツルギさんの命とあれば、特に問うておくこともありません」
「ありがとう感謝する……なぁ久しぶりに」
「?」
「戦闘訓練でもするか?」
本当はしたくて言い出せなかったことをツルギさんの口から言ってもらえて、私は嬉しかった。
一年の成果、見せる時だ、見ていてくれ師匠。
ーーーーーー
会議室の一室を借りてツルギ隊のみで会議。
追加でカエデとエイルがいる。
「新しいメンバーだ、カエデはECFの秘密隊員、エイルはオトメが引掛けてきた」
「ツルギさん、言い方!」
「エイルは作戦にまだ参加はできない、なぜって?仕事場が主にスギ博士の下になるからだ。だが、本人希望で本隊に書類上所属している。だから十分な訓練を積んだのち……弾避けにでもなってもらう。カエデは言うまでもない、いつも通りだ。メンバーにすら数えん。以上」
「了解ツルギ隊長、私はどんなに扱いがひどくて動じません」
「アリエさんがそれなら、私も」
「あんたら良くわからないこと言ってるけど、ようは関係者増えるけど、メンバーの表示8人は変わらないってことでしょ」
「なるほどサイケン」
「なるほどサイケン」
「なるサイケン」
「なるほどサイケン」
「おい!お前ら雑!キリカに至っては『なる』までしか言ってない!」
サイケンが一人で暴れているのをエイルは笑っていた、それを見て、僕はエイルを連れてきてよかったと思えた。
人ひとりの人生を背負った僕が後悔しなくてよかった、いまでも崩れそうなメンタルは仲間が支えてくれている、ありがとう。
「そして、オトメ、キリカ、カエデ、エイル、君たちにはここ数か月でのECFの進捗を確認してもらう。まずスイセンドウ攻略において、犠牲者は数人出たが、ライブの撤退にて終了。管理者達の情報は得られなかった。その後、オトメの転移、おかげで地図を広げることができたとスギ博士がよろこんでいた。そして……その約一ヵ月間でECFはノアオルタのある荒野から東へ侵攻した。部隊を幾つかに分けた調査のようなものだ。そのうち一つの分隊がライブと思われる集団に接触、拘束されてしまった」
「なんだって……ツルギさん!」
先ほどの和を吹き飛ばし、僕は焦燥だった。
「メンバーの中にはギンジが含まれる、アイツ、隊員をできるだけ逃がすために体張りやがって……」
「ギンジさんが?あんな強い人がなんで?」
「拘束されたのは、合計三名、ギンジ、フラノ、クルアッコ。三人目のネームセンスはなんだ……場所はここから東に確認された渓谷群にある、我々はその様相から『プリズン』と呼ぶことにした。人を収容できるようだ、施設にしては結構大きい、まるで刑務所のようだと名づけられた。そして明日、本隊のみで打って出る。キリカとカエデは別行動だ」
「え明日!……どうしてキリカとカエデは別なんですか?」
「ギンジが拘束されたということは、相当に高級な拘束具を用意しているのだろう、もしもしを考えてだ、俺も深いことを考えていない」
ざっくりしてんなぁ。
「今日集めたのはこのことを報告するためだった、各員、準備にかかれ」
ーーーーーー
廊下でエイルにECFについて訊いてみた。
「な、なぁエイル、ほんとにECFに入ってよかったのか?その、最終目標が……」
「世界破壊でしたっけ?まぁ半信半疑ですよ。ちょっと怖いですけど」
雑な苦笑いをされた。少し後悔したかもしれない。
「それでもですね、スギ博士とのお話が結構面白いですし、ここにいたらいつかミルザンドに行ける!って聞いて、かつてないほどテンション上がってるんです」
「そ、そっか。ちょっと安心した……」
「じゃあ明日頑張ってください!」
「うん。また」
後悔はすこし軽くなった。
ーーーーーー
その後、ルーム210にて僕は愚痴を言っていた。
「どうして明日なんだ?もっと準備期間が欲しいよ」
「それはしょうがないんじゃい、元々の日程に順次してるからな、突然オトメの救出作戦が決行されたというのが大きいな」
「なるほど……」
あっさり納得してしまった。
しかし、つづけて出撃とは隊員に負荷がかかるのではと思う。
「オトメ、ボクが思うに、先にツルギ隊だけが出撃なのは偵察も兼ねてるんだと思う。先遣隊もあったけど、やっぱり腕のある人間が行くべきだから……あと勇気」
「僕ら以外にもECFは強い人多いとおもうんだけど……」
「俺もそう思う、だが、だからこそ最強のツルギさんでなければいけなかったのだろう。そんな死ねと言われるような先遣隊になれて俺は嬉しいよ」
「サイケン、本気で言っているのか?僕を捜索しに来てくれた時の疲れも残ってるだろうに」
サイケンは布団を被って向こうを向いた。
「お前だってそうだろ?俺らは休み休みやってきたが、お前はずっと旅だったんだろ?変わんねぇよ」
「そ、そうかな、ありがとう……」
「それよりも、シロカミの子供たち、結構かわいいな」
クリアを発見出来なかったことを言うと思ったが、予想外だった。
シロカミの子供たちは、空いている大部屋を利用して保護している。
全員が環境に慣れたわけではないが、ECFと仲良くしている子供も多い。
僕もキリカと見に行った、とても綺麗な光景だった。
こんな輝かしい子供たちがシロカミといって殺される、その慣習を避けて、ここで生きているという事実に感激した。
今ならクリアのしたかったことがしっかり理解できた気がした。
でも、彼女は僕と違って人間への憎悪を知っていた、だから僕と分かり合えなかった。
それだけだ、それだけだ。
いずれ彼らに話さなければならない『僕が君たちの王を殺したんだよ』と。
その時彼らは僕を殺したいと思うだろうか?
楽園の破壊者として、あるいは憎悪の対象として。
負は連鎖するのか。
僕は僕のキリカを助けるという言い訳を信じてほしいわけではない。
ただ、知ったうえで殺されたいだけなんだ。
そしてその時になったらこう言うんだ。
「お前らを助けたのは僕だ。お前らの命があるのは僕のおかげだ」
傲慢過ぎてわらけてくる。
それより明日に集中しないと。
「ギンジさん、死んでなかったら、きっと助け出す」
「……寝ろよー、ベッドメイキング忘れてないよなー」
「ご、ごめんカワセミ、寝るよ」
また思い出した、ツルギさんの正義という言葉。
今回も自分の正義を定めておかなければいけない。
今回は……ライブを殺してでもギンジさん達を救う。
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