7 / 34
7.初めての交流会 3日目
しおりを挟む
交流会3日目はテーブルやソファが適度な距離が置いてあってパーテーションなんかもある。
なんか気恥ずかしい感じだ。
俺は両手でキャストカードを持って待っていた。まず会ったら挨拶をして、昨日言えなかったことを伝えよう。それからお礼も言ってと頭でうるさくシミュレーションを繰り返した。
「透君、おはよう」
俺はハッと見上げると彼は今日も笑顔でこちらを見ていた。
心臓が跳ねた、笑顔を見ただけで体温が上がる。
「おはようございます」
つい目が合うのが怖くて深々と頭を下げて挨拶してしまった。ふっと笑い声が聞こえて顔を上げると彼が大きな手のひらを俺の方に出した、思わずそこに手を置いた。彼の目元が優しげに緩む。
そのまま手をつないで二人掛けのソファに座った。
「昨日、透君かっこよかったね。そのまま帰ってこなかったから寂しかったけど」
座ったのに彼は僕の手を握ったまま離そうとしない。手汗が気になる。
「ヒートのフェロモンを浴びちゃったので先生に戻らない方が良いって言われました」
近くに座る彼は森林浴みたいな水分を含んだ清々しい匂いがした。そうだ、出会った時も夏の夕方で花に水やりをしていた時だったな。
「昨日さ、何か言いかけてたよね」
握っていた手を彼の太ももにのせられた。硬い感触に恥ずかしくて赤くなる。
「あの、俺も…一月ぶりに会えて…うれ…うれしかったです」
彼を見上げると彼はこちらをじっと見ていた。
「俺は嫌われてるのかと思ってた。バイトの時も名前すら聞かれなかったし。キャストカードを贈ったけど来なかったらどうしようって…昨日だって見かけてもすぐに声を掛けられなくて。嬉しいって言ってもらえて俺も嬉しい」
嫌うなんてとんでもない、俺はぶんぶんと頭を振った。その誤解は解いておきたい。
「嫌われてるなんてないです。ただ、張ヶ谷さん…「いたる」至君いつもケーキ二つ買ってたからもしかしたら他に一緒に食べる人がいて…俺は男だけどオメガだって言ってなかったし。男同士でそう言う事って言わないものだから」
今どさくさに紛れて至君って呼んだぞ。
「嫌われてなくてよかった、二つ買ってたのは俺とばあちゃんにだよ、うちのばあちゃん甘いものが好きなんだ。あと、俺にそういう人はいないよ。いたらここに来ないからね?」
優しい声とは裏腹につないだ手を指を絡めるように握りなおされて逃げなくされた。
「張ヶ谷さ…「いたる」至君、すごかったってアルファの人を抑えたってすごいこと…なんですよね…なかなかできることじゃないって友達も言ってた、大学生だって俺には想像もできない大人だ」
言葉がつかえて恥ずかしい。ちゃんと考えてたのに何一つうまくいってない気がする。
「透君には大人に見えてんのか。俺はだいぶみっともないよ。アルバイト先で逢った時だって、あんなに話したのに君のこと何一つ聞けなかったし。昨日だって透君を守るためにいっぱいいっぱいだった」
困ったように眉を寄せて笑っている。俺は頬にまた熱がこもる。
「守って…俺を?ありがとうございます」
ペコリと頭を下げたまま膝を見つめていると。握られた手をぶんぶんと振られた。見上げると彼はニヤリと笑った。
「ありがとうって思ってくれるなら、お礼はさ…来月誕生日なんだ、祝ってよ」
俺はまじまじと彼を見た。彼は賢し気に笑っている。
だめだ、強引でこじつけだ、だけど俺はこの人が好きだ。どうしよう…怖い。でもそれ以上に、この人と仲良くなりたいと思った。繋がれている方の手がひどく熱かった。意を決して俺も握り返した。
「俺でよければ…」
口から言葉がこぼれた。彼を見たらひどくうれしそうな顔をしてくれた。またふわっと体温が上がる。それから、お互いの連絡先を交換して好きなものを教え合った。彼はイメージ通り緑色が好きだった。僕はオレンジ色が好きだと言うと、あぁって俺のスマホカバーを指した。確かにオレンジだった。
散会の合図まではあっという間だった。
立ち上がりまたねって手を振って別れた。座っていると気付かなかったけどやっぱり彼の背は大きかった。彼の「またね」が頭の中でリフレインする。
交流棟を出ようとしたところで、追いかけてきた至君が忘れてたって大きな声で俺を呼び止めた。
何事かと呼ばれるまま近づくと「写真、撮ろう?」とスマホを出した。
膝から崩れ落ちるかと思ったが踏ん張った。コクコクとうなずくと、俺の肩に手を置いて二人の写真を何枚か撮った。画角に入るため寄せあった体は近くてドキドキした。
向こうでヒナタが扉から顔半分だけ出してニヤついてたのは見ないふりをした。
なんか気恥ずかしい感じだ。
俺は両手でキャストカードを持って待っていた。まず会ったら挨拶をして、昨日言えなかったことを伝えよう。それからお礼も言ってと頭でうるさくシミュレーションを繰り返した。
「透君、おはよう」
俺はハッと見上げると彼は今日も笑顔でこちらを見ていた。
心臓が跳ねた、笑顔を見ただけで体温が上がる。
「おはようございます」
つい目が合うのが怖くて深々と頭を下げて挨拶してしまった。ふっと笑い声が聞こえて顔を上げると彼が大きな手のひらを俺の方に出した、思わずそこに手を置いた。彼の目元が優しげに緩む。
そのまま手をつないで二人掛けのソファに座った。
「昨日、透君かっこよかったね。そのまま帰ってこなかったから寂しかったけど」
座ったのに彼は僕の手を握ったまま離そうとしない。手汗が気になる。
「ヒートのフェロモンを浴びちゃったので先生に戻らない方が良いって言われました」
近くに座る彼は森林浴みたいな水分を含んだ清々しい匂いがした。そうだ、出会った時も夏の夕方で花に水やりをしていた時だったな。
「昨日さ、何か言いかけてたよね」
握っていた手を彼の太ももにのせられた。硬い感触に恥ずかしくて赤くなる。
「あの、俺も…一月ぶりに会えて…うれ…うれしかったです」
彼を見上げると彼はこちらをじっと見ていた。
「俺は嫌われてるのかと思ってた。バイトの時も名前すら聞かれなかったし。キャストカードを贈ったけど来なかったらどうしようって…昨日だって見かけてもすぐに声を掛けられなくて。嬉しいって言ってもらえて俺も嬉しい」
嫌うなんてとんでもない、俺はぶんぶんと頭を振った。その誤解は解いておきたい。
「嫌われてるなんてないです。ただ、張ヶ谷さん…「いたる」至君いつもケーキ二つ買ってたからもしかしたら他に一緒に食べる人がいて…俺は男だけどオメガだって言ってなかったし。男同士でそう言う事って言わないものだから」
今どさくさに紛れて至君って呼んだぞ。
「嫌われてなくてよかった、二つ買ってたのは俺とばあちゃんにだよ、うちのばあちゃん甘いものが好きなんだ。あと、俺にそういう人はいないよ。いたらここに来ないからね?」
優しい声とは裏腹につないだ手を指を絡めるように握りなおされて逃げなくされた。
「張ヶ谷さ…「いたる」至君、すごかったってアルファの人を抑えたってすごいこと…なんですよね…なかなかできることじゃないって友達も言ってた、大学生だって俺には想像もできない大人だ」
言葉がつかえて恥ずかしい。ちゃんと考えてたのに何一つうまくいってない気がする。
「透君には大人に見えてんのか。俺はだいぶみっともないよ。アルバイト先で逢った時だって、あんなに話したのに君のこと何一つ聞けなかったし。昨日だって透君を守るためにいっぱいいっぱいだった」
困ったように眉を寄せて笑っている。俺は頬にまた熱がこもる。
「守って…俺を?ありがとうございます」
ペコリと頭を下げたまま膝を見つめていると。握られた手をぶんぶんと振られた。見上げると彼はニヤリと笑った。
「ありがとうって思ってくれるなら、お礼はさ…来月誕生日なんだ、祝ってよ」
俺はまじまじと彼を見た。彼は賢し気に笑っている。
だめだ、強引でこじつけだ、だけど俺はこの人が好きだ。どうしよう…怖い。でもそれ以上に、この人と仲良くなりたいと思った。繋がれている方の手がひどく熱かった。意を決して俺も握り返した。
「俺でよければ…」
口から言葉がこぼれた。彼を見たらひどくうれしそうな顔をしてくれた。またふわっと体温が上がる。それから、お互いの連絡先を交換して好きなものを教え合った。彼はイメージ通り緑色が好きだった。僕はオレンジ色が好きだと言うと、あぁって俺のスマホカバーを指した。確かにオレンジだった。
散会の合図まではあっという間だった。
立ち上がりまたねって手を振って別れた。座っていると気付かなかったけどやっぱり彼の背は大きかった。彼の「またね」が頭の中でリフレインする。
交流棟を出ようとしたところで、追いかけてきた至君が忘れてたって大きな声で俺を呼び止めた。
何事かと呼ばれるまま近づくと「写真、撮ろう?」とスマホを出した。
膝から崩れ落ちるかと思ったが踏ん張った。コクコクとうなずくと、俺の肩に手を置いて二人の写真を何枚か撮った。画角に入るため寄せあった体は近くてドキドキした。
向こうでヒナタが扉から顔半分だけ出してニヤついてたのは見ないふりをした。
75
あなたにおすすめの小説
金の野獣と薔薇の番
むー
BL
結季には記憶と共に失った大切な約束があった。
❇︎❇︎❇︎❇︎❇︎
止むを得ない事情で全寮制の学園の高等部に編入した結季。
彼は事故により7歳より以前の記憶がない。
高校進学時の検査でオメガ因子が見つかるまでベータとして養父母に育てられた。
オメガと判明したがフェロモンが出ることも発情期が来ることはなかった。
ある日、編入先の学園で金髪金眼の皇貴と出逢う。
彼の纒う薔薇の香りに発情し、結季の中のオメガが開花する。
その薔薇の香りのフェロモンを纏う皇貴は、全ての性を魅了し学園の頂点に立つアルファだ。
来るもの拒まずで性に奔放だが、番は持つつもりはないと公言していた。
皇貴との出会いが、少しずつ結季のオメガとしての運命が動き出す……?
4/20 本編開始。
『至高のオメガとガラスの靴』と同じ世界の話です。
(『至高の〜』完結から4ヶ月後の設定です。)
※シリーズものになっていますが、どの物語から読んでも大丈夫です。
【至高のオメガとガラスの靴】
↓
【金の野獣と薔薇の番】←今ココ
↓
【魔法使いと眠れるオメガ】
僕の幸せは
春夏
BL
【完結しました】
【エールいただきました。ありがとうございます】
【たくさんの“いいね”ありがとうございます】
【たくさんの方々に読んでいただけて本当に嬉しいです。ありがとうございます!】
恋人に捨てられた悠の心情。
話は別れから始まります。全編が悠の視点です。
竜帝陛下の愛が重すぎて身代わりの落ちこぼれ薬師は今日も腰が砕けそうです 〜呪いを解いたら一生離さないと宣言されました〜
レイ
BL
「死ぬ覚悟はできています。でも、その前に……お口、あーんしてください」
魔力を持たない「無能」として実家で虐げられていた薬師のエリアン。
彼に下されたのは、触れるものすべてを焼き尽くす「死の竜帝」ヴァレリウスへの、身代わりの婚姻だった。
冬は寒いから
青埜澄
BL
誰かの一番になれなくても、そばにいたいと思ってしまう。
片想いのまま時間だけが過ぎていく冬。
そんな僕の前に現れたのは、誰よりも強引で、優しい人だった。
「二番目でもいいから、好きになって」
忘れたふりをしていた気持ちが、少しずつ溶けていく。
冬のラブストーリー。
『主な登場人物』
橋平司
九条冬馬
浜本浩二
※すみません、最初アップしていたものをもう一度加筆修正しアップしなおしました。大まかなストーリー、登場人物は変更ありません。
【完結】end roll.〜あなたの最期に、俺はいましたか〜
みやの
BL
ーー……俺は、本能に殺されたかった。
自分で選び、番になった恋人を事故で亡くしたオメガ・要。
残されたのは、抜け殻みたいな体と、二度と戻らない日々への悔いだけだった。
この世界には、生涯に一度だけ「本当の番」がいる――
そう信じられていても、要はもう「運命」なんて言葉を信じることができない。
亡くした番の記憶と、本能が求める現在のあいだで引き裂かれながら、
それでも生きてしまうΩの物語。
痛くて、残酷なラブストーリー。
番解除した僕等の末路【完結済・短編】
藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。
番になって数日後、「番解除」された事を悟った。
「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。
けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。
2026/02/14 累計30万P突破御礼バレンタインSS追加しました
2026/02/15 累計いいね♡7777突破御礼SS 19時に公開します。
様々な形での応援ありがとうございます!
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる