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凛の話4

着信…

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龍ちゃんが、寝たのを確認して起き上がった。ベットから降りて歩き出す。私は、昔、セックスが全てだと思ってた時期があった。だけど、大人になり結婚をしたら、それは違う事に気づいた。セックスが無くてもいれる人を見つけるのが、結婚なのだと知った。いつまでも若いわけじゃない。体は、必ず老いていく。セックスをしながら死ぬなんて絶対に嫌だ!そう思ったのは、いつからだっけ?セックスなしでも、相手を好きでいれたら本物だって気づいてからは…。私は、龍ちゃんを愛してるのをハッキリと気づいた。これが、愛なんだって思った。体で繋がってるわけじゃない関係。お互いに、したい夜が合っても相手を思いやって我慢できる関係。それを知ってしまったら、もう他人とはこの関係を築けないのを知った。あの日、凛君にキスされた時…。違うと思った。若い頃なら、あのままの流れで凛君に抱かれたかもしれない。だけど、それは出来なかった。もう、セックスはセックスなだけで!好きの中心にある存在ではないから…。大人になっても、セックスが好きの中心にある人がいて…。友人でもレスは無理とか言っていた。でも、私は違う。抱きたいとか抱けないとか関係ない。私の中でのセックスの順位はもう最下位に近い。龍ちゃんとは、人間として繋がっていたい存在!だから、私は辛く悲しいだけのセックスなんかより龍ちゃんと一緒に笑い合ってご飯を食べるのが好き、手を繋いで歩くのが好き、優しいキスが好き、暖かいハグが好き…。私は、龍ちゃんとするセックス以外が全部好き…。セックスだけは、悲しくて辛くて嫌なの…。

私は、震えてるスマホを手に取った。拓夢からの着信で震えていたようだった。かけ直した。
拓夢が、何故か苦しんでる。

「拓夢」

女の人の声がして、スマホが落ちた音がする。彼女を、美沙と呼んでいて…。拓夢の声に緊張感が走ってるのを感じた。彼女の事を好きではないのを感じる。三回抱かれただけなのに…。何故か拓夢の気持ちがわかる。拓夢は、彼女を拒んでる。
電話が切れて、すぐにかけ直したけれど電源が入っていなかった。
メッセージを送ろうとしてやめた。もしかすると彼女なのかも知れない。セックスはいらないと言いながらも、拓夢との沼に沈んでいく感覚は大好きだった。頭の中に快楽だけが支配して、絶望をなくしてくれる感覚。それが私は、大好きだった。所詮、人間は動物なんだって思い知らされてそう思うと無力だって感じる。赤ちゃんが出来ない事や老いに、無駄に抗う必要はない気がしてくる。動物だって教えてくれる拓夢との関係を私はまだ手放せそうにない。
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