俺の弟が一番かわいい

ー結月ー

文字の大きさ
上 下
14 / 81

三原歩夢の物語

しおりを挟む
『歩夢視点』

僕は生まれた時から皆に愛されるお姫様なんだ。

両親も兄も僕を可愛がってくれて、友達も多い。

男なのにお姫様なんてと思う人もいるが、僕は全く気にしない。

だって僕はこんなに愛されているんだから!!

だからいつしか女の子より僕が可愛いって気付いて、僕の恋愛対象は僕をお姫様にしてくれる王子様になった。

かっこいい容姿の男の子なら惚れやすいんだ。

僕は愛されるべきだから、皆も分かってくれるよね。

お兄ちゃんもかっこよくて、僕の事を溺愛しているし僕は兄弟でも一時は一歳違いのお兄ちゃんに恋をしていた時があった。

でもある日、僕はお兄ちゃんと一緒にお風呂に入った時…身体を密着させたり必要以上に喘いでみたりアピールした事があった。

気持ちいい事は好きだから兄弟とかそんな事はどうでもよくて、お兄ちゃんを誘惑した。

そしてお兄ちゃんから発せられた言葉は「歩夢は甘えん坊だなぁ、よし!兄ちゃんが背中洗ってやる!」だった。

背中なんて頼んでないのに、お兄ちゃんははりきっていた。

そこで僕に恋愛感情がないんだと分かった、小学6年生にして初恋は玉砕した。

お兄ちゃんだって可愛い僕の前だとオオカミさんになると思ってたのに、お兄ちゃんのヘタレ。

お兄ちゃんは僕にべったりで勘違いされる行動ばかり取っていて、内心イライラしながらも僕を一番お姫様扱いしてくれるから表向きは仲良し兄弟を演じていた。

そんな僕は中学二年生の頃、お兄ちゃん以外で好きな人が出来た。

サッカー部のエースで女の子に大人気の結城ゆうきくん。

爽やかなスポーツマンの彼に、僕のトキメキは止まらなかった。

可愛い女の子に告白されても誰とも付き合わない彼に興味を惹かれた。

僕の理想の王子様は彼なんだ。

僕の頭の中にはオリジナルの物語がある。

僕がお姫様なのは当たり前、後は王子様や騎士が必要だ。

お兄ちゃんは僕の騎士になった気らしいが、恋愛対象にならないお兄ちゃんは僕の馬で十分だろう。

その物語ではかっこいい王子様と騎士は僕を奪い合って争うんだけど、僕は二人が好きだから二人と結ばれるんだ。

王子様は必ずお姫様に恋をする、それは物語の絶対だ。

女の子が結城くんに近付くと周りはいい顔をしないが、僕は男の子だから結城くんに近付いても嫉妬されないし不思議ではない。

そこだけは男で良かったと思っている。

見事に結城くんを校舎裏に呼び出す事に成功した。

同じクラスだからとても簡単だった。

「…珍しいな、俺…お前と話した事あったっけ」

「う、ん…あのね」

僕はもじもじと手を合わせて、ウブな感じで恥じらい上目遣いで見つめる。

結城くんはやっぱりかっこいい、惚れ惚れしちゃうな。

クールな顔がまたいい、あっちの方はやっぱり激しいのかな。

僕はまだ誰にも捧げてはいないが、いつかのために弄った事がある。

すっかり後ろの虜になった僕は、自慰は後ろでしかやらなくなっちゃった。

本物をガツガツ突っ込みたい、結城くんって体育の着替えの時いい身体だったからきっとアッチも…

「それで、話って?」

「あっ、えっと…僕とお付き合いしてもらえませんか?」

エッチな妄想に夢中で、ウブな感じを忘れかけていて慌てて気を引き締める。

結城くんはノーマルだろうけど、僕の可愛さの前では関係ないんだ!

驚いて固まる結城くんは「どっかに行きたいとか、そういうんじゃないよな?」と聞いてきた。

罰ゲームでもボケでもないよ、結城くんの大きいのがほしい…僕を愛して王子様!

少し考えていたが、僕の方を見た。

「…分かった」

「えっ…」

「お前と付き合う」

どんな可愛い女の子の告白も断っていたのに、僕の告白を受けてくれた。

やっぱり僕の魅力は皆を魅了するんだね!

こうして僕はこの日初めての彼氏が出来た。

今なら鬱陶しかったお兄ちゃんにも優しく出来る気がする。

昔僕を虐められていたからお兄ちゃんは僕に対して過保護なほど心配らしい。

僕の目が変だから、でも僕に夢中な結城くんなら何でも僕の事を受け入れてくれるよね。

ただお兄ちゃんに彼氏が出来たなんて知られてはいけない、絶対反対するんだもん…僕に恋愛感情がないくせに…

いつか結城くんに僕の全てを見てほしい、僕の身体の隅々を…

結城くんは部活で、部活に入っていない僕と帰る時間が合わなくて…休日も結城くんは部活だ。

サッカーをしている結城くんはキラキラしているし、僕の彼氏だって優越感は楽しい。

結城くんに声援を向けている女の子達に自慢したい気持ちを我慢する。

結城くんと居られるのは休み時間の僅かな時間だけだ。

なんかもっとくっついていたいのにな、と思って…僕は決意した。

結城くんを家に呼ぼう!そして僕達は…

妄想でにやけていて、周りに変な顔をされてしまった。

短い休み時間の時、人気のない階段に座りながら僕は勇気を出して結城くんに言ってみた。
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

私の事を調べないで!

さつき
BL
生徒会の副会長としての姿と 桜華の白龍としての姿をもつ 咲夜 バレないように過ごすが 転校生が来てから騒がしくなり みんなが私の事を調べだして… 表紙イラストは みそかさんの「みそかのメーカー2」で作成してお借りしています↓ https://picrew.me/image_maker/625951

不良高校に転校したら溺愛されて思ってたのと違う

らる
BL
幸せな家庭ですくすくと育ち普通の高校に通い楽しく毎日を過ごしている七瀬透。 唯一普通じゃない所は人たらしなふわふわ天然男子である。 そんな透は本で見た不良に憧れ、勢いで日本一と言われる不良学園に転校。 いったいどうなる!? [強くて怖い生徒会長]×[天然ふわふわボーイ]固定です。 ※更新頻度遅め。一日一話を目標にしてます。 ※誤字脱字は見つけ次第時間のある時修正します。それまではご了承ください。

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。 そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

真面目系委員長の同室は王道転校生⁉~王道受けの横で適度に巻き込まれて行きます~

シキ
BL
全寮制学園モノBL。 倉科誠は真面目で平凡な目立たない学級委員長だった。そう、だった。季節外れの王道転入生が来るまでは……。 倉科の通う私立藤咲学園は山奥に位置する全寮制男子高校だ。外界と隔絶されたそこでは美形生徒が信奉され、親衛隊が作られ、生徒会には俺様会長やクール系副会長が在籍する王道学園と呼ぶに相応しいであろう場所。そんな学園に一人の転入生がやってくる。破天荒な美少年の彼を中心に巻き起こる騒動に同室・同クラスな委員長も巻き込まれていき……? 真面目で平凡()な学級委員長が王道転入生くんに巻き込まれ何だかんだ総受けする青春系ラブストーリー。 一部固定CP(副会長×王道転入生)もいつつ、基本は主人公総受けです。 こちらは個人サイトで数年前に連載していて、途中だったお話です。 今度こそ完走させてあげたいと思いたってこちらで加筆修正して再連載させていただいています。 当時の企画で書いた番外編なども掲載させていただきますが、生暖かく見守ってください。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

王道学園なのに、王道じゃない!!

主食は、blです。
BL
今作品の主人公、レイは6歳の時に自身の前世が、陰キャの腐男子だったことを思い出す。 レイは、自身のいる世界が前世、ハマりにハマっていた『転校生は愛され優等生.ᐟ‪‪.ᐟ』の世界だと気付き、腐男子として、美形×転校生のBのLを見て楽しもうと思っていたが…

ザ・兄貴っ!

BL
俺の兄貴は自分のことを平凡だと思ってやがる。…が、俺は言い切れる!兄貴は… 平凡という皮を被った非凡であることを!! 実際、ぎゃぎゃあ五月蝿く喚く転校生に付き纏われてる兄貴は端から見れば、脇役になるのだろう…… が、実は違う。 顔も性格も容姿も運動能力も平凡並だと思い込んでいる兄貴… けど、その正体は――‥。

処理中です...