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三原歩夢の物語2
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「結城くん、僕の家に来ない?」
「…三原の家に?」
「うん、誰も…いないんだ」
恥じらいながら、チラチラと結城くんを見ると少し考えていた。
誰もいない家に呼ぶという事の意味は、いくら鈍感な人でも分かる。
僕の初めてを彼に全部捧げるつもりだ、キスもその先も…
結城くんが頷き、今度の休日は部活がないらしく家デートの約束をした。
そして、結城くんとの約束の日…僕はとんでもない事に顔を青くさせた。
なんでこの日を選んだのか、これじゃあ意味がなくなる。
両親は共働きだし、お兄ちゃんも友達と用事があると言っていたのに…
「歩夢、何してるんだ?」
「…な、何でもないよ」
なんでお兄ちゃんが家にいるの!?友達はどうしたの!?
まさか、家族の中で一番面倒な人が家にいるなんて。
お兄ちゃんに聞いてみると、友達に急に用事が出来たみたいで今日は家でのんびりするつもりらしい。
もう、しっかりしてよその友達!お兄ちゃんを引き止めてよ!
どうしよう、お兄ちゃんがいたら邪魔でしかない。
僕が座っているソファーの横に座ってニコニコしているお兄ちゃんから距離を取る。
お兄ちゃんにとりあえず結城くんという友達が遊びに来る事だけを伝えた。
いきなり知らない人が訪ねてきたらさらに面倒そうだから…
お兄ちゃんは僕に友達がいる事を喜んでいたが、内心では心配オーラが凄かった。
なにがそんなに心配なのか、もう子供じゃないよ!
僕の事はほっといてよ、お兄ちゃんはもう僕の物語の脇役程度にしかならないんだから!
お兄ちゃんが僕の大好きなイチゴで構ってきているから、とりあえずイチゴを食べていたら家のチャイムが聞こえた。
僕の王子様がお迎えにきたんだ!お兄ちゃんを押し退けて玄関に急いで向かった。
ドアを開けると、休日デートをした事がないから初めての結城くんの私服姿にドキドキした。
「い、いらっしゃい…結城くん」
「あぁ…三原…誰もいないんじゃないのか?」
結城くんは玄関を眺めながらそう言った。
お兄ちゃんの靴を見つけたからだろう、僕は「お兄ちゃんいるみたいだけど、空気だと思っていいからね!」と結城くんを引っ張って部屋に入れる。
お兄ちゃんは邪魔はするつもりがないのか、リビングから出てこなくて良かった。
でも、部屋の外で聞いているかもしれないから声は押さえとかないと…
僕の部屋に入り、結城くんは部屋中に溢れているぬいぐるみに驚いていた。
可愛いものが好きになったきっかけが母からもらったぬいぐるみで、今も自分のお小遣いや家族からのプレゼントで買ったぬいぐるみで溢れている。
似合っているからいいんだ、僕はお姫様だから…
ベッドで並んで座って、ドキドキと緊張する。
ちゃんと勉強したから大丈夫、僕は結城くんに全部捧げよう。
結城くんが僕の方を見て、すぐにベッドに押し倒された。
心臓の音が激しく高鳴り、瞳を閉じた。
「…三原」
「結城くん」
「………今日はやめよう」
「えっ!?」
いきなり結城くんがそんな事を言い、僕は目を開けるともう結城くんは覆い被さっていなかった。
やっぱり家の中に誰かがいると集中出来なかったのかな。
その日結局、気まずい空気のまま結城くんは帰ってしまった。
リビングに戻るとテレビを見ながらソファーでくつろいでいたお兄ちゃんがいた。
「もう友達帰ったのか?」と呑気に言うお兄ちゃんに腹が立ち、ソファーに置いていたクッションを投げつけた。
ビックリしても僕には絶対に怒らないお兄ちゃんは戸惑いながら僕を見ていたが、無視して部屋に戻った。
それから僕と結城くんは変わらず休み時間にしか会えない日々を送っていた。
誘おうとしても結城くんは部活だからと断られる。
出来ないと分かると余計にしたくなってくる!
そうだ、僕はお姫様なんだから一人を選ぶ必要ないんだ!
だって僕は皆のものだもん。
学校でカッコイイ人を見つけては誘惑してきた。
中には男だからと断る人もいた、僕が可愛すぎるからって釣り合わない理由を無理に考えなくていいのに…
まぁ、そんなヘタレに執着する気もないから次の人に行く。
「…三原の家に?」
「うん、誰も…いないんだ」
恥じらいながら、チラチラと結城くんを見ると少し考えていた。
誰もいない家に呼ぶという事の意味は、いくら鈍感な人でも分かる。
僕の初めてを彼に全部捧げるつもりだ、キスもその先も…
結城くんが頷き、今度の休日は部活がないらしく家デートの約束をした。
そして、結城くんとの約束の日…僕はとんでもない事に顔を青くさせた。
なんでこの日を選んだのか、これじゃあ意味がなくなる。
両親は共働きだし、お兄ちゃんも友達と用事があると言っていたのに…
「歩夢、何してるんだ?」
「…な、何でもないよ」
なんでお兄ちゃんが家にいるの!?友達はどうしたの!?
まさか、家族の中で一番面倒な人が家にいるなんて。
お兄ちゃんに聞いてみると、友達に急に用事が出来たみたいで今日は家でのんびりするつもりらしい。
もう、しっかりしてよその友達!お兄ちゃんを引き止めてよ!
どうしよう、お兄ちゃんがいたら邪魔でしかない。
僕が座っているソファーの横に座ってニコニコしているお兄ちゃんから距離を取る。
お兄ちゃんにとりあえず結城くんという友達が遊びに来る事だけを伝えた。
いきなり知らない人が訪ねてきたらさらに面倒そうだから…
お兄ちゃんは僕に友達がいる事を喜んでいたが、内心では心配オーラが凄かった。
なにがそんなに心配なのか、もう子供じゃないよ!
僕の事はほっといてよ、お兄ちゃんはもう僕の物語の脇役程度にしかならないんだから!
お兄ちゃんが僕の大好きなイチゴで構ってきているから、とりあえずイチゴを食べていたら家のチャイムが聞こえた。
僕の王子様がお迎えにきたんだ!お兄ちゃんを押し退けて玄関に急いで向かった。
ドアを開けると、休日デートをした事がないから初めての結城くんの私服姿にドキドキした。
「い、いらっしゃい…結城くん」
「あぁ…三原…誰もいないんじゃないのか?」
結城くんは玄関を眺めながらそう言った。
お兄ちゃんの靴を見つけたからだろう、僕は「お兄ちゃんいるみたいだけど、空気だと思っていいからね!」と結城くんを引っ張って部屋に入れる。
お兄ちゃんは邪魔はするつもりがないのか、リビングから出てこなくて良かった。
でも、部屋の外で聞いているかもしれないから声は押さえとかないと…
僕の部屋に入り、結城くんは部屋中に溢れているぬいぐるみに驚いていた。
可愛いものが好きになったきっかけが母からもらったぬいぐるみで、今も自分のお小遣いや家族からのプレゼントで買ったぬいぐるみで溢れている。
似合っているからいいんだ、僕はお姫様だから…
ベッドで並んで座って、ドキドキと緊張する。
ちゃんと勉強したから大丈夫、僕は結城くんに全部捧げよう。
結城くんが僕の方を見て、すぐにベッドに押し倒された。
心臓の音が激しく高鳴り、瞳を閉じた。
「…三原」
「結城くん」
「………今日はやめよう」
「えっ!?」
いきなり結城くんがそんな事を言い、僕は目を開けるともう結城くんは覆い被さっていなかった。
やっぱり家の中に誰かがいると集中出来なかったのかな。
その日結局、気まずい空気のまま結城くんは帰ってしまった。
リビングに戻るとテレビを見ながらソファーでくつろいでいたお兄ちゃんがいた。
「もう友達帰ったのか?」と呑気に言うお兄ちゃんに腹が立ち、ソファーに置いていたクッションを投げつけた。
ビックリしても僕には絶対に怒らないお兄ちゃんは戸惑いながら僕を見ていたが、無視して部屋に戻った。
それから僕と結城くんは変わらず休み時間にしか会えない日々を送っていた。
誘おうとしても結城くんは部活だからと断られる。
出来ないと分かると余計にしたくなってくる!
そうだ、僕はお姫様なんだから一人を選ぶ必要ないんだ!
だって僕は皆のものだもん。
学校でカッコイイ人を見つけては誘惑してきた。
中には男だからと断る人もいた、僕が可愛すぎるからって釣り合わない理由を無理に考えなくていいのに…
まぁ、そんなヘタレに執着する気もないから次の人に行く。
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