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失せ物 諦めずに探し続けよ
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翌朝、鈴夏の目が覚めると、隣に龍大はいなかった。時計は朝6時。いつも鈴夏が起きている時間より、1時間半近くも早い。
龍大がいない代わりに、ダイニングテーブルの上にメモ書きが残されていた。そこにはキャラクターもののキーホルダーがついた鍵と、ランチョンマットの上に置かれた朝食も添えられている。
「鍵返すのは急ぎじゃないので、都合つくときでいいです。パンはトースター使っていいです。よかったらスープもどうぞ。食べたあとの食器はそのままでお願いします」
という内容のメモ書きだった。鍵を返すときにまた会えるのが、鈴夏にとっては嬉しかった。朝食はここまできちんと用意してくれたのなら食べないと失礼かなと思い、鈴夏はトースターの網の上にパンを乗せた。トースターがチンと鳴ったら、今度はスープをレンジで温める。
――ランチョンマットまで……しっかりしてるなぁ。
鈴夏は普段あまり自炊をしないからこそ、働きながらもこうしてきちんと龍大が料理をしていることに感心する。カリっと焼かれたパンは半月型のカンパーニュ、スープはトマトスープで、玉ねぎやグリンピース、ほぐしたチキンが浮かんでいた。
少しとろっとしたスープを木製のスプーンで口に運ぶと、トマトの豊かな味わいが口に広がる。トマトの酸味はほとんどなく、塩味も控えめで飲みやすい。野菜の旨味や甘さも後から追いかけてきて、鈴夏も思わず声が出る。
「美味し……」
次にカンパーニュを口にした。表面はパリッと香ばしく、中はもっちりと弾力がある。おそらく昨日作られたカンパーニュだろうし、皿の上に置かれて数時間経っているのに、パサつきもそこまで感じない。しかも噛めば噛むほど小麦の甘みを感じてくるのだ。
そして、龍大の用意してくれた朝食を食べながら、昨日のことを思い出していた。
「もっとシたい」と言っていたのに最後までシなかったのは、本当に朝早いからという理由だけなのだろうか。鈴夏の方も、いろいろと早急すぎたのかもしれないと思った。でも、「鈴夏って呼んで」と言ったら、あんなにも激しく唇を奪ってくれた。あの感触が、鈴夏にとっては忘れられない。もっと龍大に近づきたい、知りたい、触れたい。その欲望が暴走しないように、鈴夏は自分自身で無理矢理自制した。
――焦っちゃダメ。焦っちゃダメ。とりあえず仕事行かなきゃ。
食器はそのままでいいとメモに書いてあったから、余計なことはせずに置いた。こういうときは、ちゃんと指示書きどおりにしておくのが鉄則だ。
鈴夏は肩まである髪を整えてクリップで留め、歯を磨いて顔を洗ったら、日焼け止めを塗って龍大の家を出る準備を整える。布団はどこにしまうかわからないので、とりあえず掛け布団をかけなおして半分に畳んでおいた。
「電気よし、忘れ物なし、スマホと財布持った」
こういうのは指差し確認がいちばん確実だ。鈴夏も建築現場に何度か行ったことがあり、現場監督にそれを教えてもらった。龍大の残してくれたメモの空いている場所に「朝食美味しかったです」と書いて、龍大の家を出る。そして、一旦自分の家へと戻り、バッグの中身だけ軽く入れ替えていつも通り出勤した。
龍大がいない代わりに、ダイニングテーブルの上にメモ書きが残されていた。そこにはキャラクターもののキーホルダーがついた鍵と、ランチョンマットの上に置かれた朝食も添えられている。
「鍵返すのは急ぎじゃないので、都合つくときでいいです。パンはトースター使っていいです。よかったらスープもどうぞ。食べたあとの食器はそのままでお願いします」
という内容のメモ書きだった。鍵を返すときにまた会えるのが、鈴夏にとっては嬉しかった。朝食はここまできちんと用意してくれたのなら食べないと失礼かなと思い、鈴夏はトースターの網の上にパンを乗せた。トースターがチンと鳴ったら、今度はスープをレンジで温める。
――ランチョンマットまで……しっかりしてるなぁ。
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少しとろっとしたスープを木製のスプーンで口に運ぶと、トマトの豊かな味わいが口に広がる。トマトの酸味はほとんどなく、塩味も控えめで飲みやすい。野菜の旨味や甘さも後から追いかけてきて、鈴夏も思わず声が出る。
「美味し……」
次にカンパーニュを口にした。表面はパリッと香ばしく、中はもっちりと弾力がある。おそらく昨日作られたカンパーニュだろうし、皿の上に置かれて数時間経っているのに、パサつきもそこまで感じない。しかも噛めば噛むほど小麦の甘みを感じてくるのだ。
そして、龍大の用意してくれた朝食を食べながら、昨日のことを思い出していた。
「もっとシたい」と言っていたのに最後までシなかったのは、本当に朝早いからという理由だけなのだろうか。鈴夏の方も、いろいろと早急すぎたのかもしれないと思った。でも、「鈴夏って呼んで」と言ったら、あんなにも激しく唇を奪ってくれた。あの感触が、鈴夏にとっては忘れられない。もっと龍大に近づきたい、知りたい、触れたい。その欲望が暴走しないように、鈴夏は自分自身で無理矢理自制した。
――焦っちゃダメ。焦っちゃダメ。とりあえず仕事行かなきゃ。
食器はそのままでいいとメモに書いてあったから、余計なことはせずに置いた。こういうときは、ちゃんと指示書きどおりにしておくのが鉄則だ。
鈴夏は肩まである髪を整えてクリップで留め、歯を磨いて顔を洗ったら、日焼け止めを塗って龍大の家を出る準備を整える。布団はどこにしまうかわからないので、とりあえず掛け布団をかけなおして半分に畳んでおいた。
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