117 / 140
第8章 第二次琵琶湖決戦
-117- 私だけのDMD
しおりを挟む
「戻って来た……東京!」
都会の雑踏、並び立つビル群、そして猛暑!
どれもそこまで好きではないけど、帰って来たなぁ~って感じがする!
さて、まず向かうべきは……自宅?
いやいや、自宅はモエギのスタッフさんに任せているから長期間空けていても特に不安はない。
それに1人暮らしだし急いで帰っても待っている人はいない。
ならばやっぱり……マシンベース?
いえいえ、それも今回に限っては違う。
私の新型DMDの開発や組み立てはモエギの秘密ドックで行われているんだ!
ということで、新潟から東京まで送ってくれたヴァイオレット社のスタッフさんたちにお礼をした後、今度はモエギ・コンツェルンのスタッフさんたちの運転する車に乗り換える。
これから向かう秘密ドックは今となってはそこまで秘密じゃないけど、かつてはアイオロス・プロジェクトの中心となった場所で、そこでアイオロスとアイオロス・ゼロが組み上げられたらしい。
だから、アイオロス・ゼロの後継機でもある私の専用機を組み上げるならここしかないと育美さんは言っていた。
まあ、実際はそういう伝統的な理由より新型機に使う新素材の加工やパーツの製造にモエギ・コンツェルン全体を動かしているから、組み立てもモエギの施設でやった方が楽というのが大きい。
それと今回の機体の組み立てにはかつてアイオロスシリーズの開発に関わったメカニックさんたちも協力してくれているから、使い慣れたドックの方が作業効率が上がるというのもあるかも。
なんてったって、育美さんもアイオロスシリーズの開発に関わっているんだしね!
車に揺られること数十分。
都心からは少し離れたところにある小規模な研究施設に到着した。
ここは普段からいろんな研究に使われているけど、その内部には多くの社員が知らない秘密のドックがある……はず!
私、ここに来るのは初めてなんだよねぇ。
新潟に行く前は普通にマシンベースで新型を開発していたし、その段階では完璧な組み上げには至ってなかった。
いよいよ見ることが出来る……その姿を!
「育美さん、お久しぶりです!」
「蒔苗ちゃん! 帰って来たのね!」
育美さんが私をギューッと抱きしめる。
すべてを話してくれたあの日以来、スキンシップが激しくなっている気がする。
まあ、私としては大歓迎なんだけどね!
「新型機はもう組み上がってるんですよね?」
「うん! 武装はまだ取り付けてないけど、機体本体は完成してるわ!」
「見せてもらっていいですか?」
「そりゃもちろん!」
秘密ドックは地下にある。
エレベーターに乗り、秘密のコードを入力することでボタンの存在しない地下への道が開く。
「ようこそ、アイオロス・プロジェクト発祥の地へ」
育美さんに導かれて足を踏み入れたドックには1機のDMDが堂々と立っていた。
装甲はゼロよりも面積と厚みが増し重厚感がある。
機体カラーは白と萌葱色を継承しつつ、ところどころに黒いラインが入ることでより引き締まった印象になっている。
頭部には翼を思わせるようなアンテナ。
カメラアイはバイザー型から2つの目、ツインアイタイプになっている。
アイオロス・ゼロを騎士とするなら、この機体は王か将軍と言ったところかな!
スマートなスピードタイプだったアイオロスシリーズのイメージを覆すようなシルエットは、何も知らない人が見たら急な路線変更に見えるだろうなぁ。
でも、この機体の特徴を知っている私からすればこの変化は当然のものと思える。
「上手いこと新フレームを組み込めたみたいですね!」
「まあね! 異常なまでに頑丈な素材だったけどグラビティウイングと似ている点もあったし、骨自体はこれまでに討伐した2体の個体から入手後、研究が進められてたからね。加工にはそこまで手間取ることはなかったわ」
そう、この新型機のフレームには『黄金郷真球宮』で倒した竜種の骨が使われている!
あの個体は『SLIME』という柔らかそうなコードネームを与えられたけど、残した骨は異常に頑丈で、重力制御能力まで持ち合わせていた。
この特徴はヤタガラスの残した黒い翼グラビティウイングと酷似している。
なのでこれをフレームに使えれば、壊れにくい上に機体重量を気にする必要がない夢のDMDが完成する!
まあ、そもそも新型機にはグラビティウイングを素材として作られた新型装甲『ブラックロウ・アーマー』が採用されていたから、機体重量を無視して重装甲と機動力を両立するというコンセプトは元からだったりする。
竜の骨を使用した『ドレーク・フレーム』はそのコンセプトをより強固にしてくれているんだ。
もっと早くに骨が手に入っていれば黒い翼を装甲にせずにそのまま残すことも出来ただろうけど……こればっかりは仕方ない。
機体に対して異質な存在感を放つカラスの翼が好きだったけど、どうしても背中との接続部分が脆いという弱点が残ってしまう。
翼が持つ頑丈さと重力制御能力を生かすには装甲として全身にまとうのが最適だった。
ということで黒い翼よ、さらば……!
機体に走る黒いラインが翼の力を受け継いだ証だ。
受け継いだ力といえば装甲だけでもう1つある。
装甲表面の独特な光沢は新しい対Dエナジーコーティングとなっている。
これは蟻の巣で遭遇したチョウ型の人型昆虫の装甲を解析して生み出された技術だ。
今までの対DエナジーコーティングはDエナジーによるダメージを軽減する程度の性能だったけど、新しいコーティングはDエナジーを弾いてしまう。
もちろん何発も受ければコーティングがはがれてしまうのは一緒だけど、その耐久性は圧倒的に上がっている。
物理的に硬い装甲にコーティングが合わされば大抵の攻撃は通用しない。
育美さん曰く、この機体は武器を持たず殴る蹴るだけで戦ってもほとんどのDMDとモンスターを倒してしまえるらしい。
そんな言葉を簡単に信じてしまいそうな雰囲気がこのDMDにはある!
とはいえ、慢心してはいけない。
この機体に期待されているのは殴り勝てるような雑魚の相手をすることではない。
人類の脅威……覚醒機械体や竜種を狩ることだ。
機体を守る鎧の次は敵を断つ武器を確認しないとね!
都会の雑踏、並び立つビル群、そして猛暑!
どれもそこまで好きではないけど、帰って来たなぁ~って感じがする!
さて、まず向かうべきは……自宅?
いやいや、自宅はモエギのスタッフさんに任せているから長期間空けていても特に不安はない。
それに1人暮らしだし急いで帰っても待っている人はいない。
ならばやっぱり……マシンベース?
いえいえ、それも今回に限っては違う。
私の新型DMDの開発や組み立てはモエギの秘密ドックで行われているんだ!
ということで、新潟から東京まで送ってくれたヴァイオレット社のスタッフさんたちにお礼をした後、今度はモエギ・コンツェルンのスタッフさんたちの運転する車に乗り換える。
これから向かう秘密ドックは今となってはそこまで秘密じゃないけど、かつてはアイオロス・プロジェクトの中心となった場所で、そこでアイオロスとアイオロス・ゼロが組み上げられたらしい。
だから、アイオロス・ゼロの後継機でもある私の専用機を組み上げるならここしかないと育美さんは言っていた。
まあ、実際はそういう伝統的な理由より新型機に使う新素材の加工やパーツの製造にモエギ・コンツェルン全体を動かしているから、組み立てもモエギの施設でやった方が楽というのが大きい。
それと今回の機体の組み立てにはかつてアイオロスシリーズの開発に関わったメカニックさんたちも協力してくれているから、使い慣れたドックの方が作業効率が上がるというのもあるかも。
なんてったって、育美さんもアイオロスシリーズの開発に関わっているんだしね!
車に揺られること数十分。
都心からは少し離れたところにある小規模な研究施設に到着した。
ここは普段からいろんな研究に使われているけど、その内部には多くの社員が知らない秘密のドックがある……はず!
私、ここに来るのは初めてなんだよねぇ。
新潟に行く前は普通にマシンベースで新型を開発していたし、その段階では完璧な組み上げには至ってなかった。
いよいよ見ることが出来る……その姿を!
「育美さん、お久しぶりです!」
「蒔苗ちゃん! 帰って来たのね!」
育美さんが私をギューッと抱きしめる。
すべてを話してくれたあの日以来、スキンシップが激しくなっている気がする。
まあ、私としては大歓迎なんだけどね!
「新型機はもう組み上がってるんですよね?」
「うん! 武装はまだ取り付けてないけど、機体本体は完成してるわ!」
「見せてもらっていいですか?」
「そりゃもちろん!」
秘密ドックは地下にある。
エレベーターに乗り、秘密のコードを入力することでボタンの存在しない地下への道が開く。
「ようこそ、アイオロス・プロジェクト発祥の地へ」
育美さんに導かれて足を踏み入れたドックには1機のDMDが堂々と立っていた。
装甲はゼロよりも面積と厚みが増し重厚感がある。
機体カラーは白と萌葱色を継承しつつ、ところどころに黒いラインが入ることでより引き締まった印象になっている。
頭部には翼を思わせるようなアンテナ。
カメラアイはバイザー型から2つの目、ツインアイタイプになっている。
アイオロス・ゼロを騎士とするなら、この機体は王か将軍と言ったところかな!
スマートなスピードタイプだったアイオロスシリーズのイメージを覆すようなシルエットは、何も知らない人が見たら急な路線変更に見えるだろうなぁ。
でも、この機体の特徴を知っている私からすればこの変化は当然のものと思える。
「上手いこと新フレームを組み込めたみたいですね!」
「まあね! 異常なまでに頑丈な素材だったけどグラビティウイングと似ている点もあったし、骨自体はこれまでに討伐した2体の個体から入手後、研究が進められてたからね。加工にはそこまで手間取ることはなかったわ」
そう、この新型機のフレームには『黄金郷真球宮』で倒した竜種の骨が使われている!
あの個体は『SLIME』という柔らかそうなコードネームを与えられたけど、残した骨は異常に頑丈で、重力制御能力まで持ち合わせていた。
この特徴はヤタガラスの残した黒い翼グラビティウイングと酷似している。
なのでこれをフレームに使えれば、壊れにくい上に機体重量を気にする必要がない夢のDMDが完成する!
まあ、そもそも新型機にはグラビティウイングを素材として作られた新型装甲『ブラックロウ・アーマー』が採用されていたから、機体重量を無視して重装甲と機動力を両立するというコンセプトは元からだったりする。
竜の骨を使用した『ドレーク・フレーム』はそのコンセプトをより強固にしてくれているんだ。
もっと早くに骨が手に入っていれば黒い翼を装甲にせずにそのまま残すことも出来ただろうけど……こればっかりは仕方ない。
機体に対して異質な存在感を放つカラスの翼が好きだったけど、どうしても背中との接続部分が脆いという弱点が残ってしまう。
翼が持つ頑丈さと重力制御能力を生かすには装甲として全身にまとうのが最適だった。
ということで黒い翼よ、さらば……!
機体に走る黒いラインが翼の力を受け継いだ証だ。
受け継いだ力といえば装甲だけでもう1つある。
装甲表面の独特な光沢は新しい対Dエナジーコーティングとなっている。
これは蟻の巣で遭遇したチョウ型の人型昆虫の装甲を解析して生み出された技術だ。
今までの対DエナジーコーティングはDエナジーによるダメージを軽減する程度の性能だったけど、新しいコーティングはDエナジーを弾いてしまう。
もちろん何発も受ければコーティングがはがれてしまうのは一緒だけど、その耐久性は圧倒的に上がっている。
物理的に硬い装甲にコーティングが合わされば大抵の攻撃は通用しない。
育美さん曰く、この機体は武器を持たず殴る蹴るだけで戦ってもほとんどのDMDとモンスターを倒してしまえるらしい。
そんな言葉を簡単に信じてしまいそうな雰囲気がこのDMDにはある!
とはいえ、慢心してはいけない。
この機体に期待されているのは殴り勝てるような雑魚の相手をすることではない。
人類の脅威……覚醒機械体や竜種を狩ることだ。
機体を守る鎧の次は敵を断つ武器を確認しないとね!
0
お気に入りに追加
45
あなたにおすすめの小説
【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?
異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
俺、結城ミサオは異世界帰りの元勇者。
異世界では強大な力を持った魔王を倒しもてはやされていたのに、こっちの世界に戻ったら平凡なコンビニバイト。
せっかく強くなったっていうのにこれじゃ宝の持ち腐れだ。
そう思っていたら突然目の前にダンジョンが現れた。
これは天啓か。
俺は一も二もなくダンジョンへと向かっていくのだった。
大好きな母と縁を切りました。
むう子
ファンタジー
7歳までは家族円満愛情たっぷりの幸せな家庭で育ったナーシャ。
領地争いで父が戦死。
それを聞いたお母様は寝込み支えてくれたカルノス・シャンドラに親子共々心を開き再婚。
けれど妹が生まれて義父からの虐待を受けることに。
毎日母を想い部屋に閉じこもるナーシャに2年後の政略結婚が決定した。
けれどこの婚約はとても酷いものだった。
そんな時、ナーシャの生まれる前に亡くなった父方のおばあさまと契約していた精霊と出会う。
そこで今までずっと近くに居てくれたメイドの裏切りを知り……
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
ハズれギフトの追放冒険者、ワケありハーレムと荷物を運んで国を取る! #ハズワケ!
寝る犬
ファンタジー
【第3回HJ小説大賞後期「ノベルアップ+」部門 最終選考作品】
「ハズワケ!」あらすじ。
ギフト名【運び屋】。
ハズレギフトの烙印を押された主人公は、最高位のパーティをクビになった。
その上悪い噂を流されて、ギルド全員から村八分にされてしまう。
しかし彼のギフトには、使い方次第で無限の可能性があった。
けが人を運んだり、モンスターをリュックに詰めたり、一夜で城を建てたりとやりたい放題。
仲間になったロリっ子、ねこみみ何でもありの可愛い女の子たちと一緒に、ギフトを活かして、デリバリーからモンスター討伐、はては他国との戦争、世界を救う冒険まで、様々な荷物を運ぶ旅が今始まる。
※ハーレムの女の子が合流するまで、マジメで自己肯定感の低い主人公の一人称はちょい暗めです。
※明るい女の子たちが重い空気を吹き飛ばしてゆく様をお楽しみください(笑)
※タイトルの画像は「東雲いづる」先生に描いていただきました。
私はお母様の奴隷じゃありません。「出てけ」とおっしゃるなら、望み通り出ていきます【完結】
小平ニコ
ファンタジー
主人公レベッカは、幼いころから母親に冷たく当たられ、家庭内の雑務を全て押し付けられてきた。
他の姉妹たちとは明らかに違う、奴隷のような扱いを受けても、いつか母親が自分を愛してくれると信じ、出来得る限りの努力を続けてきたレベッカだったが、16歳の誕生日に突然、公爵の館に奉公に行けと命じられる。
それは『家を出て行け』と言われているのと同じであり、レベッカはショックを受ける。しかし、奉公先の人々は皆優しく、主であるハーヴィン公爵はとても美しい人で、レベッカは彼にとても気に入られる。
友達もでき、忙しいながらも幸せな毎日を送るレベッカ。そんなある日のこと、妹のキャリーがいきなり公爵の館を訪れた。……キャリーは、レベッカに支払われた給料を回収しに来たのだ。
レベッカは、金銭に対する執着などなかったが、あまりにも身勝手で悪辣なキャリーに怒り、彼女を追い返す。それをきっかけに、公爵家の人々も巻き込む形で、レベッカと実家の姉妹たちは争うことになる。
そして、姉妹たちがそれぞれ悪行の報いを受けた後。
レベッカはとうとう、母親と直接対峙するのだった……
ダンジョン発生から20年。いきなり玄関の前でゴブリンに遭遇してフリーズ中←今ココ
高遠まもる
ファンタジー
カクヨム、なろうにも掲載中。
タイトルまんまの状況から始まる現代ファンタジーです。
ダンジョンが有る状況に慣れてしまった現代社会にある日、異変が……。
本編完結済み。
外伝、後日譚はカクヨムに載せていく予定です。
どうやら異世界ではないらしいが、魔法やレベルがある世界になったようだ
ボケ猫
ファンタジー
日々、異世界などの妄想をする、アラフォーのテツ。
ある日突然、この世界のシステムが、魔法やレベルのある世界へと変化。
夢にまで見たシステムに大喜びのテツ。
そんな中、アラフォーのおっさんがレベルを上げながら家族とともに新しい世界を生きていく。
そして、世界変化の一因であろう異世界人の転移者との出会い。
新しい世界で、新たな出会い、関係を構築していこうとする物語・・・のはず・・。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる