上 下
118 / 140
第8章 第二次琵琶湖決戦

-118- 最終防衛ラインたる機体

しおりを挟む
 新型機には内蔵武器が1つある。
 胸に輝くエメラルドのような六角形の宝石は、女王アリ型の人型昆虫が持っていた赤い宝石を解析し、性能を強化しつつ複製したものだ。
 扱えるエナジー量が大幅に上昇し、より出力の高いエナジー射撃を行える。
 色に関しては複製する過程で機体カラーに合わせた変更を行った形だ。
 もちろん、放つエナジーも鮮やかな緑色になっている!

 そして、この武器は胸に入っている新型ジェネレーターに直結した武器になっている。
 新型ジェネレーターにはなんとダンジョンコアの欠片が内蔵されている。
 元々ダンジョンコアは莫大なエナジーを秘めていると言われていたけど、これまでそれを引き出して利用する技術は確立されていなかった。

 しかし、今回手に入れた『黄金郷真球宮』のダンジョンコアは今まで回収されてきたコアよりも秘めているエナジーが大きく、何ならあふれ出る寸前……らしい。
 技術的な話はよくわからないけど、他のコアよりも秘めているエナジーが膨大ゆえに、それを引っ張り出すのが容易になっていたらしい。

 こうしてコアからエナジーを引き出す新型ジェネレーター『コア・ジェネレーター』は誕生した。
 秘められているエナジーは半永久的に使える量とされている。
 そのため、新型機は従来のDMDのような濃縮Dエナジーの補給を必要としない。

 でも、一気に大量のエナジーを引き出せるわけじゃない。
 内蔵されているエナジータンクをいっぱいにするだけのエナジーを引き出すのにも、それなりの時間を要する。
 つまり、エナジータンクがすぐに空っぽになるような考えなしの戦い方は出来ない。
 タンクのエナジーが完全に尽きれば、またコア・ジェネレーターがエナジーを生み出してくれるのを待たなければならない。

 とはいえ、戦闘中でもエナジーが生み出され続けるというのはすごい!
 上手くバランスを考えて戦えば、戦闘継続能力は爆発的に上昇する!
 これぞまさに革命的な発明だ!

「さて、武装を1つ1つ装備していくわね」

 ドックのロボットアームが稼働し、新型機に武器を持たせていく。
 まず右手に装備されたのは黒い槍『オーガランスロッド』!
 フルブラックオーガランスは素材となるブラックオーガの角が足りず細身の槍になっていたけど、今回の槍は太さを取り戻している。

 でも、太さが戻った理由は素材が増えただけじゃない。
 この槍の中にはある装置が内蔵されているんだ。
 その名は『脳波分配装置』!

 機体本体に搭載されている脳波受信装置から脳波を分けてもらい、槍に流し込むための装置となっている。
 これにより感情が高ぶっていない状態でもある程度のオーラを発生させることが出来る!
 ただし、本気の時のオーラに比べると力不足ではある。

 でも、槍の周りに微量のオーラをまとわせて回転させることで、ドリルのような貫通力を生み出せることはテストでも証明済みだ。
 使い方次第で微量のオーラでも火力を底上げすることが出来る。
 ちなみにオーガランスロッドの『ロッド』は、まるで魔法のような存在であるオーラを自在に扱うことから『魔法の杖』をイメージしてつけてたりする。

 続いて左腕に装備されたのは、腕を覆う籠手こてのような武器『ドラゴン・ヘッド』だ。
 その名の通り竜の頭部を模した形になっているこの武器は、ジュエリーボックスの流れを汲む複合可変兵器で用途に合わせてその形を変える。

 内部は機体本体と同じくドラゴンの骨で構成されており、外部も対Dエナジーコーティングが施されている。
 これにより物理的な盾としても扱えるし、変形する都合上脆くなりがちな部分もカバー出来ている。

 機能としてはジュエリーボックスの流れを受け継ぎ剣・銃・盾の3モードを持っている。
 ドラゴン・ヘッド自体に小型のコア・ジェネレーターが内蔵されているので、すべてのモードの出力が従来の兵器より段違いに高い。

 超高出力Dエナジーブレードを展開する竜の牙『ドラゴン・ファング』。
 超高出力Dエナジーシールドを展開する竜の鱗『ドラゴン・スケイル』。
 超高出力かつ超高圧縮のDエナジーを放つ竜の息吹『ドラゴン・ブレス』。

 竜には竜をぶつけるんだと言わんばかりのネーミングだけど、実際これらは正面から竜種にぶつけても通用するくらいの高性能を目指している。
 その証拠にドラゴン・ヘッドにも脳波分配装置が内蔵されているから、物理的な盾とDエナジーの盾に加えてオーラの盾まで使うことが出来る。
 結果として、この武器1つで並のDMDを生産するよりもお金がかかってるらしいけど……こればっかりはケチるわけにもいかない。

 このDMDは人類の最終防衛ラインたる機体だと言われている。
 今現在確認されている中で最も高いダンジョン・レベルは100で、その100のダンジョンを抹消出来るのは私しかいない。
 そんな私が使う機体を半端にしてはいけないと、みんな知恵とお金を出し合って最高のDMDを作ってくれたんだ。
 流石の私もプレッシャー感じちゃうけど、同時にこんなすごい機体を使えるんだというワクワク感もある。
 このワクワク感……大事にしないとね。

 さて、この両手の装備が新型機の主力武器になる。
 これだけで十分戦えそうな気がするけど、深層ダンジョンの戦いは厳しくて長い。
 それをより円滑に潜り抜けていくためのサブ武器たちも忘れてはならない存在だ。

 背中や腰に装備されていくサブ武器たちを眺めつつ私は思った。
 これだけの武器、使いこなせるのかな?
 ……いや、使いこなしてみせる!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

底辺エンジニア、転生したら敵国側だった上に隠しボスのご令嬢にロックオンされる。~モブ×悪女のドール戦記~

阿澄飛鳥
SF
俺ことグレン・ハワードは転生者だ。 転生した先は俺がやっていたゲームの世界。 前世では機械エンジニアをやっていたので、こっちでも祝福の【情報解析】を駆使してゴーレムの技師をやっているモブである。 だがある日、工房に忍び込んできた女――セレスティアを問い詰めたところ、そいつはなんとゲームの隠しボスだった……! そんなとき、街が魔獣に襲撃される。 迫りくる魔獣、吹き飛ばされるゴーレム、絶体絶命のとき、俺は何とかセレスティアを助けようとする。 だが、俺はセレスティアに誘われ、少女の形をした魔導兵器、ドール【ペルラネラ】に乗ってしまった。 平民で魔法の才能がない俺が乗ったところでドールは動くはずがない。 だが、予想に反して【ペルラネラ】は起動する。 隠しボスとモブ――縁のないはずの男女二人は精神を一つにして【ペルラネラ】での戦いに挑む。

ペーパードライバーが車ごと異世界転移する話

ぐだな
ファンタジー
車を買ったその日に事故にあった島屋健斗(シマヤ)は、どういう訳か車ごと異世界へ転移してしまう。 異世界には剣と魔法があるけれど、信号機もガソリンも無い!危険な魔境のど真ん中に放り出された島屋は、とりあえずカーナビに頼るしかないのだった。 「目的地を設定しました。ルート案内に従って走行してください」 異世界仕様となった車(中古車)とペーパードライバーの運命はいかに…

異世界ロマンはスカイダイビングから!

KeyBow
ファンタジー
21歳大学生の主人が半年前の交通事故で首から下が動かない絶望的な生活が、突然の異世界転位で一変!転位で得た特殊なドールの能力を生かして異世界で生き残り、自らの体を治す道を探りつつ異世界を楽しく生きていこうと努力していく物語。動かない筈の肉体を動かす手段がある事に感動するも性的に不能となっていた。生きる為の生活の糧として選んだ冒険者として一歩を踏み出して行くのである。周りの女性に助けられるも望まぬ形の禁欲生活が始まる。意識を取り戻すと異世界の上空かららっかしていたのであった・・・

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

ちょいダン? ~仕事帰り、ちょいとダンジョンに寄っていかない?~

テツみン
SF
東京、大手町の地下に突如現れたダンジョン。通称、『ちょいダン』。そこは、仕事帰りに『ちょい』と冒険を楽しむ場所。 大手町周辺の企業で働く若手サラリーマンたちが『ダンジョン』という娯楽を手に入れ、新たなライフスタイルを生み出していく―― これは、そんな日々を綴った物語。

転生してギルドの社畜になったけど、S級冒険者の女辺境伯にスカウトされたので退職して領地開拓します。今更戻って来いって言われてももう婿です

途上の土
ファンタジー
『ブラック企業の社畜」ならぬ『ブラックギルドのギル畜』 ハルトはふとしたきっかけで前世の記憶を取り戻す。  ギルドにこき使われ、碌に評価もされず、虐げられる毎日に必死に耐えていたが、憧れのS 級冒険者マリアに逆プロポーズされ、ハルトは寿退社(?)することに。  前世の記憶と鑑定チートを頼りにハルトは領地開拓に動き出す。  ハルトはただの官僚としてスカウトされただけと思っていたのに、いきなり両親に紹介されて——  一方、ハルトが抜けて彼の仕事をカバーできる者がおらず冒険者ギルドは大慌て。ハルトを脅して戻って来させようとするが——  ハルトの笑顔が人々を動かし、それが発展に繋がっていく。  色々問題はあるけれど、きっと大丈夫! だって、うちの妻、人類最強ですから! ※中世ヨーロッパの村落、都市、制度等を参考にしておりますが、当然そのまんまではないので、史実とは差異があります。ご了承ください ※カクヨムにも掲載しています。現在【異世界ファンタジー週間18位】

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

処理中です...