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第6章 血に刻まれた因縁の地
-100- 血に刻まれた因縁の地Ⅲ〈深層〉
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ガンッ……!
その時、何かがぶつかるような鈍い音を聞いた。
音の発生源は……マギアントB型だ。
何かがぶつかったように装甲の一部がへこんでいる。
でも、その割にマギアント側の反応がなさ過ぎる。
センサーが強化されているA型も後ろで見ているというのに……。
『まさか……!』
その正体を見破るべく、ゼロリペアの頭をぶんぶんと横に振る。
いた……! 透明化しているモンスターだ!
そいつは血を吸ったヒルのようにでっぷりと膨らんでいて、透明化に加えて周りの風景に合わせて色を変える擬態能力も持っているようだ。
道理でなかなか見つからないわけだ……!
擬態能力のことも頭に置いて注意深くあたりを見渡すと、少し離れたところから様子をうかがっているヒルが何匹もいる!
こいつら見た目の割に知能が高いの……?
さっきのヒルも見つかったことに気づいたのか素早く退散している。
見えない上に見破っても見えにくい擬態能力……。
かなりのすばしっこさに加えて、DMDを押さえつけたり装甲をへこませるパワー……。
厄介すぎるけど殲滅するとなると時間がかかる。
ここは無視して移動に専念、向かってきたらカウンターで撃破というのが一番か。
『ミス・マキナ、どうかされましたか?』
『藍花の機体を押さえつけてた透明なモンスターたちがいる。私の機体のカメラには見えてるんだけど、かなり数が多いからここは無視して先に進みましょう』
『透明なモンスター……!? わ、わかりましたわ』
『大丈夫、向かってきたら私が倒すから』
ダンジョンの最奥を目指して移動を再開する。
すると、後方で様子見をしていたヒルたちがじりじりと距離を詰めてきた。
やっぱり見逃してはくれない……か。
『A型は後方警戒! 他の機体は進路を確保!』
ヒルたちは数匹同時に飛びかかってくる。
攻撃手段はシンプルに体当たり!
でも、B型の装甲をへこませるくらいの威力はある。
薄い装甲に当たれば、内部が破壊されてしまうかもしれない。
A型と連携して射撃武器で牽制し、接近される前に撃破していく。
でも、たまに弾丸の雨を潜り抜けてくる個体もいるから、そういう時はランスで貫く!
『この……っ!』
ヒルを貫くと、口から紫色の液体を吐き出した。
うぅ……なんだかグロテスク!
さっさと地面に振り落とそうとしたところで、私はこいつの口の形が気になった。
吸盤のようになっているヒル型モンスターの口は、見ようによっては花に見える。
それも見覚えのある花の形……。
『死蓮花……?』
お父さんの首元に浮かび上がっていた毒々しい紫色の華……。
あのアザの形と、こいつの口の形は似ている……!
それに口から吐き出した液体の色とアザの色が同じだ!
まさか、こいつが死蓮花の呪い……いや、毒をばら撒いているモンスターなの?
確かに透明化と擬態の能力があれば発見されることなく毒を注入出来るだろう。
このダンジョンだけじゃなく、他の深層ダンジョンにも生息しているのならば、いろんな人に死蓮花のアザが浮かび上がるのにも納得がいく。
でも、こんなこそこそ隠れて体当たりをするか、毒を吐くだけのモンスターが……。
これがお父さんの死の真相だというの……?
『……今はいいか』
撃破したヒル型モンスターが落とした毒々しい色の内臓をアイテムスキャナーで回収する。
この毒の入っているであろう内臓を解析すれば、すべてがハッキリする。
死蓮花の毒は検出不可能とされてきたけど、それも透明化と同じように今までの技術では検出できないだけかもしれない。
研究を重ねていけば、死蓮花の毒がまだ潜伏している人のために解毒剤も作れるかもしれない。
すべては積み重ねなんだ。
今こうしてDMDでモンスターを倒せるのも、戦いの中で倒れていった人たちのおかげ。
透明化を見破れたのも、そのメカニズムを解析した人たちのおかげ。
昔は難しかったことも、努力の積み重ねで出来るようになってくる。
それは今こうして私たちが深層ダンジョンを攻略していることも同じ。
昔は不可能だったことが出来るようになった。
私たちがこのダンジョンを抹消することで、また新たな積み重ね……未来への礎になる。
だからアイオロス・ゼロ……私に未来を切り開く力を!
『オーラッ……ストォォォム!!』
荒れ狂うオーラの風!
前方の敵を斬り裂き、最奥への道を開く!
なんだかオーラも扱いやすくなっている気がする。
きっとヴァイオレット社の新型装置のおかげだ。
『突入!』
ついに私たちはレベル70へ……。
『黄金郷真球宮』の最奥へとたどり着いた。
そこにはあの龍もどきが藍花機をくわえたまま待ち構えていた。
最奥の部屋は今までの部屋よりも大きい。
でも、形状は同じく球体状だ。
床が湾曲しているから、飛行していないとまともに戦えない。
龍もどきも飛行能力は持っているようで、部屋の中央に浮かんでいる輝く球……ダンジョンコアの周りを挑発するようにぐるぐる回る。
また、コアにはバリアのようなものが張られている。
見た感じかなり分厚い……。
龍もどきを無視してコアの破壊を優先するのは難しそうだ。
まあ、どちらにせよ優先すべきは藍花機の奪取だ!
『紅花、少しの間あの龍もどきの気を引いて!』
『わかりましたわ!』
龍もどき以外にも混成機械体のヘビ型モンスターがにょろにょろと群がってくる。
でも、こいつらは適当にあしらえばいい。
狙うべきは龍もどきのアゴだ。
アゴを潰せば口にくわえている藍花機を離さずにはいられないはず!
『Dエッジミサイル……ロックオン!』
紅花とマギアントたちは上手く龍もどきの気を引いている。
でも、敵だってバカじゃない。
私の動きにも一定の注意を払っているのを感じる。
それでも一番効果的に新兵器を使えるのは、敵が何も知らないこのタイミング……!
『シュート!』
肩のミサイルポッドから放たれる数発のミサイル。
それはいわば注射器のようなものだ。
中には特殊な処理がなされたDエナジーが液体のまま入っている。
このミサイルはモンスターに刺さると、その体内にDエナジーを注入する。
そして、注入されたDエナジーは少しの間をおいて……大爆発を起こす!
これが新兵器『Dエッジミサイル』の正体だ。
用途は完全機械体およびその進化系である覚醒機械体の装甲を破壊すること。
つまりは装甲の隙間にDエナジーを注入することで内部から爆発を起こし、装甲を引っぺがしてしまおうという兵器だ。
上手く刺さらなかった場合でも、それを感知したミサイルが自壊するので内部のDエナジーがばら撒かれる。
そして、Dエナジーはすぐには爆発しないので、それを浴びたモンスターの体を流れて結果的に装甲の隙間に入っていく場合もある。
これが通常の火薬ではなく、液体を使っている理由だ。
撃ち落されたり叩き落されたりした場合でも、液体ならば体に付着する可能性が高い。
高性能ゆえに高価格のミサイルを無駄にする確率が下がるというわけね……!
もちろん、弱点もある。
それはミサイルが入っているポッドを破壊されると、自分が大爆発を起こしかねないこと!
特殊な処理を施した後のDエナジーは非常に不安定で、それを安定させる容器としてミサイルが存在している。
これを発射前に破壊されると、一斉に液体が飛び散って……ボンッ!
だからこの兵器はまだ試作段階なのよね……。
でも、そんなハイリスクを承知の上でこの場に持ってくるだけの威力はある。
Dエッジミサイルをモロに食らった龍もどきは、頭部の一部から首にかけての装甲が一斉に吹っ飛び、その勢いで床に叩きつけられた!
当然、藍花の機体をくわえ続けられるわけもなく、解放された群青色のDMDが紅花の元へ飛んでいく。
『藍花……! 大丈夫ですの!? 痛みは……!』
『もう大丈夫だよ紅花ちゃん……。まだ少しジンジンするけど……戦える! 私たちのアンサーはまだ動くよ!』
噛まれていた部分の装甲に傷はあるものの、アンサー・ブルーの動きは鈍っていない。
それは藍花の覚悟を表しているようにも見えた。
『ありがとうマキナ。約束を守ってくれて』
『ふふっ、当然のことをしたまでよ。さあ、あと少し……!』
ずっと探し求めていた答えを見つける時が来た。
それぞれの願いを託された3機のDMD。
それを操るのは萌葱の血を引く3人の操者。
ダンジョンの出現以来、命を賭して戦い続けてきた一族の悲願。
その血の滲む努力の積み重ねが今……深層の闇を払う。
その時、何かがぶつかるような鈍い音を聞いた。
音の発生源は……マギアントB型だ。
何かがぶつかったように装甲の一部がへこんでいる。
でも、その割にマギアント側の反応がなさ過ぎる。
センサーが強化されているA型も後ろで見ているというのに……。
『まさか……!』
その正体を見破るべく、ゼロリペアの頭をぶんぶんと横に振る。
いた……! 透明化しているモンスターだ!
そいつは血を吸ったヒルのようにでっぷりと膨らんでいて、透明化に加えて周りの風景に合わせて色を変える擬態能力も持っているようだ。
道理でなかなか見つからないわけだ……!
擬態能力のことも頭に置いて注意深くあたりを見渡すと、少し離れたところから様子をうかがっているヒルが何匹もいる!
こいつら見た目の割に知能が高いの……?
さっきのヒルも見つかったことに気づいたのか素早く退散している。
見えない上に見破っても見えにくい擬態能力……。
かなりのすばしっこさに加えて、DMDを押さえつけたり装甲をへこませるパワー……。
厄介すぎるけど殲滅するとなると時間がかかる。
ここは無視して移動に専念、向かってきたらカウンターで撃破というのが一番か。
『ミス・マキナ、どうかされましたか?』
『藍花の機体を押さえつけてた透明なモンスターたちがいる。私の機体のカメラには見えてるんだけど、かなり数が多いからここは無視して先に進みましょう』
『透明なモンスター……!? わ、わかりましたわ』
『大丈夫、向かってきたら私が倒すから』
ダンジョンの最奥を目指して移動を再開する。
すると、後方で様子見をしていたヒルたちがじりじりと距離を詰めてきた。
やっぱり見逃してはくれない……か。
『A型は後方警戒! 他の機体は進路を確保!』
ヒルたちは数匹同時に飛びかかってくる。
攻撃手段はシンプルに体当たり!
でも、B型の装甲をへこませるくらいの威力はある。
薄い装甲に当たれば、内部が破壊されてしまうかもしれない。
A型と連携して射撃武器で牽制し、接近される前に撃破していく。
でも、たまに弾丸の雨を潜り抜けてくる個体もいるから、そういう時はランスで貫く!
『この……っ!』
ヒルを貫くと、口から紫色の液体を吐き出した。
うぅ……なんだかグロテスク!
さっさと地面に振り落とそうとしたところで、私はこいつの口の形が気になった。
吸盤のようになっているヒル型モンスターの口は、見ようによっては花に見える。
それも見覚えのある花の形……。
『死蓮花……?』
お父さんの首元に浮かび上がっていた毒々しい紫色の華……。
あのアザの形と、こいつの口の形は似ている……!
それに口から吐き出した液体の色とアザの色が同じだ!
まさか、こいつが死蓮花の呪い……いや、毒をばら撒いているモンスターなの?
確かに透明化と擬態の能力があれば発見されることなく毒を注入出来るだろう。
このダンジョンだけじゃなく、他の深層ダンジョンにも生息しているのならば、いろんな人に死蓮花のアザが浮かび上がるのにも納得がいく。
でも、こんなこそこそ隠れて体当たりをするか、毒を吐くだけのモンスターが……。
これがお父さんの死の真相だというの……?
『……今はいいか』
撃破したヒル型モンスターが落とした毒々しい色の内臓をアイテムスキャナーで回収する。
この毒の入っているであろう内臓を解析すれば、すべてがハッキリする。
死蓮花の毒は検出不可能とされてきたけど、それも透明化と同じように今までの技術では検出できないだけかもしれない。
研究を重ねていけば、死蓮花の毒がまだ潜伏している人のために解毒剤も作れるかもしれない。
すべては積み重ねなんだ。
今こうしてDMDでモンスターを倒せるのも、戦いの中で倒れていった人たちのおかげ。
透明化を見破れたのも、そのメカニズムを解析した人たちのおかげ。
昔は難しかったことも、努力の積み重ねで出来るようになってくる。
それは今こうして私たちが深層ダンジョンを攻略していることも同じ。
昔は不可能だったことが出来るようになった。
私たちがこのダンジョンを抹消することで、また新たな積み重ね……未来への礎になる。
だからアイオロス・ゼロ……私に未来を切り開く力を!
『オーラッ……ストォォォム!!』
荒れ狂うオーラの風!
前方の敵を斬り裂き、最奥への道を開く!
なんだかオーラも扱いやすくなっている気がする。
きっとヴァイオレット社の新型装置のおかげだ。
『突入!』
ついに私たちはレベル70へ……。
『黄金郷真球宮』の最奥へとたどり着いた。
そこにはあの龍もどきが藍花機をくわえたまま待ち構えていた。
最奥の部屋は今までの部屋よりも大きい。
でも、形状は同じく球体状だ。
床が湾曲しているから、飛行していないとまともに戦えない。
龍もどきも飛行能力は持っているようで、部屋の中央に浮かんでいる輝く球……ダンジョンコアの周りを挑発するようにぐるぐる回る。
また、コアにはバリアのようなものが張られている。
見た感じかなり分厚い……。
龍もどきを無視してコアの破壊を優先するのは難しそうだ。
まあ、どちらにせよ優先すべきは藍花機の奪取だ!
『紅花、少しの間あの龍もどきの気を引いて!』
『わかりましたわ!』
龍もどき以外にも混成機械体のヘビ型モンスターがにょろにょろと群がってくる。
でも、こいつらは適当にあしらえばいい。
狙うべきは龍もどきのアゴだ。
アゴを潰せば口にくわえている藍花機を離さずにはいられないはず!
『Dエッジミサイル……ロックオン!』
紅花とマギアントたちは上手く龍もどきの気を引いている。
でも、敵だってバカじゃない。
私の動きにも一定の注意を払っているのを感じる。
それでも一番効果的に新兵器を使えるのは、敵が何も知らないこのタイミング……!
『シュート!』
肩のミサイルポッドから放たれる数発のミサイル。
それはいわば注射器のようなものだ。
中には特殊な処理がなされたDエナジーが液体のまま入っている。
このミサイルはモンスターに刺さると、その体内にDエナジーを注入する。
そして、注入されたDエナジーは少しの間をおいて……大爆発を起こす!
これが新兵器『Dエッジミサイル』の正体だ。
用途は完全機械体およびその進化系である覚醒機械体の装甲を破壊すること。
つまりは装甲の隙間にDエナジーを注入することで内部から爆発を起こし、装甲を引っぺがしてしまおうという兵器だ。
上手く刺さらなかった場合でも、それを感知したミサイルが自壊するので内部のDエナジーがばら撒かれる。
そして、Dエナジーはすぐには爆発しないので、それを浴びたモンスターの体を流れて結果的に装甲の隙間に入っていく場合もある。
これが通常の火薬ではなく、液体を使っている理由だ。
撃ち落されたり叩き落されたりした場合でも、液体ならば体に付着する可能性が高い。
高性能ゆえに高価格のミサイルを無駄にする確率が下がるというわけね……!
もちろん、弱点もある。
それはミサイルが入っているポッドを破壊されると、自分が大爆発を起こしかねないこと!
特殊な処理を施した後のDエナジーは非常に不安定で、それを安定させる容器としてミサイルが存在している。
これを発射前に破壊されると、一斉に液体が飛び散って……ボンッ!
だからこの兵器はまだ試作段階なのよね……。
でも、そんなハイリスクを承知の上でこの場に持ってくるだけの威力はある。
Dエッジミサイルをモロに食らった龍もどきは、頭部の一部から首にかけての装甲が一斉に吹っ飛び、その勢いで床に叩きつけられた!
当然、藍花の機体をくわえ続けられるわけもなく、解放された群青色のDMDが紅花の元へ飛んでいく。
『藍花……! 大丈夫ですの!? 痛みは……!』
『もう大丈夫だよ紅花ちゃん……。まだ少しジンジンするけど……戦える! 私たちのアンサーはまだ動くよ!』
噛まれていた部分の装甲に傷はあるものの、アンサー・ブルーの動きは鈍っていない。
それは藍花の覚悟を表しているようにも見えた。
『ありがとうマキナ。約束を守ってくれて』
『ふふっ、当然のことをしたまでよ。さあ、あと少し……!』
ずっと探し求めていた答えを見つける時が来た。
それぞれの願いを託された3機のDMD。
それを操るのは萌葱の血を引く3人の操者。
ダンジョンの出現以来、命を賭して戦い続けてきた一族の悲願。
その血の滲む努力の積み重ねが今……深層の闇を払う。
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