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第6章 血に刻まれた因縁の地
-97- レベル70ダンジョン『黄金郷真球宮』
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ルートは事前に確認してあるから迷うことはない。
コントローラーズルームの前まで来ると、紫苑さんの悲痛な声が聞こえてきた。
「ブレイブ・リンクは強制切断したのよね!?」
「はい……! コックピットカプセルの電源を落とし、完全に切断を行ったはずなのですが、なぜかまだ機体とリンクしているようなんです! それに痛みも感じている……! まったくもって原因は不明です!」
スタッフの人も相当焦っているな……。
技術的な話は私にはわからない。
でも、操者としての勘はあの龍もどきを倒せば何とかなると叫んでいる!
「私が出ます!」
「あっ……蒔苗さん!? 待ちなさい! まだ状況の把握が……!」
「とにかくあの完全機械体を倒せばいいんですよ! きっと、たぶん!」
予備のコックピットカプセルのハッチを開け、それに乗り込む。
リングにインストールされている認証コードを読み込ませカプセルを起動する。
「どうしてあなたが認証コードを!?」
「後で説明します!」
とにかく出撃だ!
育美さんと通信をつなぐ。
「育美さん、こっちは準備完了です!」
『了解! こっちでも戦闘の映像は見てたわ。相手が完全機械体ともなれば、半端な装備じゃ太刀打ち出来ない。ゼロリペアには火力の高い試作兵器を多めに装備してあるわ』
「ありがとうございます!」
『あと……マギアントも出すことにしたわ。上手く使ってみて』
マギアントも……か!
確かに単機で突撃するよりはそっちの方がいい。
これまでデータも取って改良を重ねてるし、深層ダンジョン相手でも戦えるはずだ。
ゼロリペアは1小隊、つまり4機のDMDが搭載出来る輸送ドローンに乗せられ『黄金郷真球宮』に向かう。
その間もコントローラーズルームで痛みを訴える藍花の声や、ダンジョン内で戦いを続ける紅花の声、混乱している紫苑さんの声が聞こえてくる。
私に出来ることは……戦うこと!
戦うことでみんなを救うんだ!
「蒔苗ちゃん、そろそろダンジョンへの降下に入るわ」
『了解です!』
「ちなみにゼロリペアもアンサーと同じように脳波から映像を出力出来るみたいだから、今回は私も蒔苗ちゃんと同じ景色を見られるわ」
『それは頼もしいですね!』
本当にすごい技術だし、ショーだって失敗してはいないんだ。
あの完全機械体を倒してダンジョンのコアを破壊すれば結果的に大成功になる!
『アイオロス・ゼロリペア、降下します!』
眼下に広がるあまりにも巨大なダンジョンの入口。
でも、恐れることは何もない。
内部の構造はハッキリしているし、深いだけでそこまで広くはない。
厄介さで言えば、あの蟻の巣の方が上なんだから!
それに私たちは蟻の巣の経験をすでに力に変えている!
『続いてマギアントA型、B型、C型も降下!』
輸送ドローンから現れた3機の黒いDMD。
それは蟻の巣に現れた大量のアリの人型昆虫と似ている……というかほぼそのものだ。
あのアリの人型昆虫は撃破すると体の一部をパーツとしてドロップした。
その各パーツをつなぎ合わせDMDとして再生したものが『マギアント』。
大量にドロップしたパーツを使っているので格安で組み上げられ、内部には人工筋肉のような機構が存在し、小型であることも相まって優れた機動力を発揮する。
そして最大の特徴は……。
「無人機……!」
紫苑さんがそう言った。
彼女ともなれば一目見ただけでわかるか……。
そう、マギアントは無人機なんだ。
DMDはそもそも無人機と言えば無人機なんだけど、マギアントは脳波による操縦も必要としない完全なる自立制御型DMDなんだ。
DMD界隈ではそれを無人機と呼び、研究自体は至る所で盛んに行われてきた。
なぜなら無人機ならば脳波を送る必要がなく、深層ダンジョンだって気にせず入っていけるからだ。
しかし、人間ですら判断に困ってしまうような多彩な動きを見せるモンスターに対して無人機はまったくついていけず、無人機だけでダンジョンを抹消なんてことは夢のまた夢とされてきた。
いや、今だって無人機だけでダンジョンを抹消するのは夢でしかない。
だから、私が先頭に立って簡単な指示を出すことで無人機を統制する。
攻撃を集中、移動に専念、回避を重視、全力で撤退……など、行動の方針を示すだけでも無人機の動きはグッと良くなる。
さらに無人機に搭載されているAIは育美さんが直々に調整したスペシャル仕様だ。
私の動きをよく理解しているから、向こうも向こうで私のことを考えた動きをしてくれる。
通常のダンジョン相手なら問題なく戦えた。
果たして深層ダンジョン相手はどうか……!
「全機、移動に専念! 進路を塞ぐ敵を優先的に排除!」
ダンジョン内部に降り立った私はマギアントに指令を出す。
気分はさながら女王アリだ。
私の指令を受けて、まず前を走りだしたのはマギアントC型。
この機体はCombatタイプで近接格闘を得意とする。
機動力を生かすために装甲は少な目。
メイン武装はDメタルという金属で打たれた二振りの刀だ。
ただ、格闘戦というのはAIにとってかなり難しいらしく、育美さんもC型の調整にはかなり苦労していた。
その苦労の甲斐あって今はそれっぽい刀の振り方も出来るようになっているが、目を離すと薄い装甲が災いして大ダメージを負っていることもある。
続いて大きなブースター吹かせながら通路を進むのはマギアントB型。
Blockタイプで機動力を捨てて防御力に特化した機体。
マギアント本来の良さを失っているが、無人機としては完成度が高い。
分厚い装甲を生かして敵の攻撃を惹き付け、反撃出来る範囲にはカウンターで攻撃を仕掛けるというシンプルな行動を繰り返すだけで安定して活躍出来る。
弱点はブースターを装備しても足が遅めなところ。
たまに私の方が移動速度を緩めて足並みを揃える必要がある。
そして、私の後方を移動するのがマギアントA型。
Aidタイプで後方支援を得意とする。
射撃武器を多く持ち、味方に当てないように後ろから弾丸をばら撒いてくれるだけでかなり心強い。
センサー類も高性能なものを搭載しているので、索敵能力も高い。
背後からの不意打ちを未然に防いでくれる。
役割的に他のマギアントと比べてエナジーの消費が激しい部分はあるけど、兵器としての完成度はA型が一番高いような気がする。
この個性的な3機を従え、アイオロス・ゼロリペアは『黄金郷真球宮』を進む。
萌葱一族の血に刻まれた因縁の地で、新たな犠牲者なんて出させない。
藍花との約束……絶対に守る!
コントローラーズルームの前まで来ると、紫苑さんの悲痛な声が聞こえてきた。
「ブレイブ・リンクは強制切断したのよね!?」
「はい……! コックピットカプセルの電源を落とし、完全に切断を行ったはずなのですが、なぜかまだ機体とリンクしているようなんです! それに痛みも感じている……! まったくもって原因は不明です!」
スタッフの人も相当焦っているな……。
技術的な話は私にはわからない。
でも、操者としての勘はあの龍もどきを倒せば何とかなると叫んでいる!
「私が出ます!」
「あっ……蒔苗さん!? 待ちなさい! まだ状況の把握が……!」
「とにかくあの完全機械体を倒せばいいんですよ! きっと、たぶん!」
予備のコックピットカプセルのハッチを開け、それに乗り込む。
リングにインストールされている認証コードを読み込ませカプセルを起動する。
「どうしてあなたが認証コードを!?」
「後で説明します!」
とにかく出撃だ!
育美さんと通信をつなぐ。
「育美さん、こっちは準備完了です!」
『了解! こっちでも戦闘の映像は見てたわ。相手が完全機械体ともなれば、半端な装備じゃ太刀打ち出来ない。ゼロリペアには火力の高い試作兵器を多めに装備してあるわ』
「ありがとうございます!」
『あと……マギアントも出すことにしたわ。上手く使ってみて』
マギアントも……か!
確かに単機で突撃するよりはそっちの方がいい。
これまでデータも取って改良を重ねてるし、深層ダンジョン相手でも戦えるはずだ。
ゼロリペアは1小隊、つまり4機のDMDが搭載出来る輸送ドローンに乗せられ『黄金郷真球宮』に向かう。
その間もコントローラーズルームで痛みを訴える藍花の声や、ダンジョン内で戦いを続ける紅花の声、混乱している紫苑さんの声が聞こえてくる。
私に出来ることは……戦うこと!
戦うことでみんなを救うんだ!
「蒔苗ちゃん、そろそろダンジョンへの降下に入るわ」
『了解です!』
「ちなみにゼロリペアもアンサーと同じように脳波から映像を出力出来るみたいだから、今回は私も蒔苗ちゃんと同じ景色を見られるわ」
『それは頼もしいですね!』
本当にすごい技術だし、ショーだって失敗してはいないんだ。
あの完全機械体を倒してダンジョンのコアを破壊すれば結果的に大成功になる!
『アイオロス・ゼロリペア、降下します!』
眼下に広がるあまりにも巨大なダンジョンの入口。
でも、恐れることは何もない。
内部の構造はハッキリしているし、深いだけでそこまで広くはない。
厄介さで言えば、あの蟻の巣の方が上なんだから!
それに私たちは蟻の巣の経験をすでに力に変えている!
『続いてマギアントA型、B型、C型も降下!』
輸送ドローンから現れた3機の黒いDMD。
それは蟻の巣に現れた大量のアリの人型昆虫と似ている……というかほぼそのものだ。
あのアリの人型昆虫は撃破すると体の一部をパーツとしてドロップした。
その各パーツをつなぎ合わせDMDとして再生したものが『マギアント』。
大量にドロップしたパーツを使っているので格安で組み上げられ、内部には人工筋肉のような機構が存在し、小型であることも相まって優れた機動力を発揮する。
そして最大の特徴は……。
「無人機……!」
紫苑さんがそう言った。
彼女ともなれば一目見ただけでわかるか……。
そう、マギアントは無人機なんだ。
DMDはそもそも無人機と言えば無人機なんだけど、マギアントは脳波による操縦も必要としない完全なる自立制御型DMDなんだ。
DMD界隈ではそれを無人機と呼び、研究自体は至る所で盛んに行われてきた。
なぜなら無人機ならば脳波を送る必要がなく、深層ダンジョンだって気にせず入っていけるからだ。
しかし、人間ですら判断に困ってしまうような多彩な動きを見せるモンスターに対して無人機はまったくついていけず、無人機だけでダンジョンを抹消なんてことは夢のまた夢とされてきた。
いや、今だって無人機だけでダンジョンを抹消するのは夢でしかない。
だから、私が先頭に立って簡単な指示を出すことで無人機を統制する。
攻撃を集中、移動に専念、回避を重視、全力で撤退……など、行動の方針を示すだけでも無人機の動きはグッと良くなる。
さらに無人機に搭載されているAIは育美さんが直々に調整したスペシャル仕様だ。
私の動きをよく理解しているから、向こうも向こうで私のことを考えた動きをしてくれる。
通常のダンジョン相手なら問題なく戦えた。
果たして深層ダンジョン相手はどうか……!
「全機、移動に専念! 進路を塞ぐ敵を優先的に排除!」
ダンジョン内部に降り立った私はマギアントに指令を出す。
気分はさながら女王アリだ。
私の指令を受けて、まず前を走りだしたのはマギアントC型。
この機体はCombatタイプで近接格闘を得意とする。
機動力を生かすために装甲は少な目。
メイン武装はDメタルという金属で打たれた二振りの刀だ。
ただ、格闘戦というのはAIにとってかなり難しいらしく、育美さんもC型の調整にはかなり苦労していた。
その苦労の甲斐あって今はそれっぽい刀の振り方も出来るようになっているが、目を離すと薄い装甲が災いして大ダメージを負っていることもある。
続いて大きなブースター吹かせながら通路を進むのはマギアントB型。
Blockタイプで機動力を捨てて防御力に特化した機体。
マギアント本来の良さを失っているが、無人機としては完成度が高い。
分厚い装甲を生かして敵の攻撃を惹き付け、反撃出来る範囲にはカウンターで攻撃を仕掛けるというシンプルな行動を繰り返すだけで安定して活躍出来る。
弱点はブースターを装備しても足が遅めなところ。
たまに私の方が移動速度を緩めて足並みを揃える必要がある。
そして、私の後方を移動するのがマギアントA型。
Aidタイプで後方支援を得意とする。
射撃武器を多く持ち、味方に当てないように後ろから弾丸をばら撒いてくれるだけでかなり心強い。
センサー類も高性能なものを搭載しているので、索敵能力も高い。
背後からの不意打ちを未然に防いでくれる。
役割的に他のマギアントと比べてエナジーの消費が激しい部分はあるけど、兵器としての完成度はA型が一番高いような気がする。
この個性的な3機を従え、アイオロス・ゼロリペアは『黄金郷真球宮』を進む。
萌葱一族の血に刻まれた因縁の地で、新たな犠牲者なんて出させない。
藍花との約束……絶対に守る!
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