至って普通のネグレクト系脇役お姫様に転生したようなので物語の主人公である姉姫さまから主役の座を奪い取りにいきます

下菊みこと

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ソルシエールを内包する国、トラモント

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ご機嫌よう。マルゲリット・アルカンシエルです。ソルシエールにトラモントの王様が訪れました。

「国王陛下…ソルシエールは私でございます」

「そうか、そなたが」

「曽祖母に何か御用ですか?」

「ああ、ある依頼があってな」

「どのような依頼でしょう?」

「…魔王復活の話は聞いたか?」

「…ええ、もちろんです」

「ならば、私がフェニーチェセンプリチを求めるのも道理だろう」

「…!」

来た!この話!フェニーチェセンプリチ!フェニーチェセンプリチは優れた魔女の血を使って作る蘇生薬。この王様はソルシエールの集落の存続と引き換えにフェニーチェセンプリチをソルシエールさんに作らせようとするんだけど…。ソルセルリーとソルシエールさんは家族だってことを認識したから、きっとソルセルリーはそれを許せない。

「…お言葉ですが、お断りします」

「君には聞いておらん。ソルシエール殿。この集落の存続と引き換えに是非頼みたい」

「なっ!」

「…つまり、断ればこの集落を潰すと」

「…断るまい?」

「クエー!」

ファンが王様を嘴で突きに行こうとします。

「ファン!だめ!」

「クエー!クエー!」

「気持ちはわかるけどいい子にしていて!」

私も同じ気持ちだけども!

「はぁ…わかりました」

「ひいばあちゃん!」

「大丈夫です。こんなに可愛い曽孫を残して死にはしませんよ」

「では」

「明日の夜納品します」

「…貴女が話のわかる方でよかった。それでは」

狸爺…もとい王様が帰っていきます。

「…おい、ひいばあちゃん」

「…ええ」

「どうするんだよ」

「私の血を使ってフェニーチェセンプリチを作ります」

「でもそんなことしたら!」

「…心苦しいのですが」

「ん?」

「…聖剣の乙女、メグ様。どうか我々に力を貸してください」

「もちろんいいですよ!」

「二つ返事かよ」

「ありがとうございます」

「でも、メグの力をどう使ってもらうんだ?」

「…まず、必要な分の血を私から抜きます」

「はい」

「その後、メグ様の光魔法で回復してもらいます」

「が、頑張ります!」

「で、あとは私とソルセルリーでフェニーチェセンプリチを作ります」

「…わかった。やってみよう」

「じゃあ、早速血を抜きましょう」

「メグは向こうで待っていろ」

「はーい」

ということでとりあえず平和に解決しそうです。

ー…

「メグ、ひいばあちゃんを頼む」

「はーい、失礼します!」

「…」

「…ソルシエールさん」

お顔が真っ青です。

「…光よ!彼の者に癒しを!」

光がソルシエールさんを包み込んで、ソルシエールさんは顔色が良くなりました。

「…ソルセルリー」

「ひいばあちゃん!」

「…よかったぁ」

ほっとひと安心です。

「…ありがとうな、メグ」

「うん、役に立てて良かった!」

と、そろそろ帰る時間です。

「じゃあまたね!」

「ありがとうございました!」

「どういたしまして!」

こうして私は転移魔法を使ってパパの部屋に戻りました。パパは時間通りだなと笑っていました。遅れなくて良かったぁ。
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