至って普通のネグレクト系脇役お姫様に転生したようなので物語の主人公である姉姫さまから主役の座を奪い取りにいきます

下菊みこと

文字の大きさ
8 / 49

パパが話があるそうです!(歓喜)

しおりを挟む
ご機嫌よう。マルゲリット・アルカンシエルです。昨日はパパと仲直りしました。やったぜ。そして今日、急遽謁見の間に王家に仕える全ての貴族、騎士、侍女、役人などが集められました。みんな急な事で何事かとざわざわしています。王妃さまも何事かしらとおろおろしています。姉姫さまとノルも緊張した様子。何も聞かされていないようです。

まあ、私も何も聞かされていないんですけれどもね。でも、昨日仲直りしたんだし私にとってはいいことなんじゃないでしょうか。

…しばらくして、パパがいつもの席に座ると、先程までざわざわしていたのが嘘のように静かになります。パパかっこいい!

「今日は、皆に話がある。と言っても、当然と言えば当然のことで、今更公式に発表する事でもないが」

ごくり、と唾を飲む。いいことだよね?そうだよね?

「マルゲリット王女…メグは、俺の寵妃、マノン妃の子だ。この国の王位継承権第三位の姫でもある。これまでは俺の精神的な未熟さからそれらしい待遇は受けてこなかったが、ここまで立派に育ってくれた。これはこれまでメグを守ってくれた侍女たち、特に専属侍女のお陰だ。感謝する」

謁見の間がざわざわします。それはそうでしょう、あれほど冷遇されてきた第二王女が急に愛され始めたのですから。横では王妃さまが信じられないものを見る目で見ています。

「…これからは、メグを第二王女として大切にするつもりだ。そなた達もそのつもりでいてくれ。話は以上だ」

「…あなた!どういうことですの!?俺の子はリュディーとノルだけだとおっしゃっていたはずです!」

「もう、この子を冷遇するのはやめたのだ。そなたもそう心得よ」

「あなた!?」

「…何もわざわざ、皆の前で恥ずかしい姿を晒す必要はあるまい」

パパの一言で、王妃さまはみんなが見ているのを思い出したようで押し黙る。

「メグ、お前もこれからは第二王女としての自覚を持つように」

厳しいことをいいつつ、まるで姉姫さまやノルにするみたいに頭を優しく撫でてくれるパパ。嬉しい!

「はい!パパ!」

私のパパ発言で再びざわざわするものの、パパは満面の笑み。姉姫さまやノルもそんな私達を嬉しそうに見つめる。幸せだなぁ。

「よかったわね、メグ。私も嬉しいわ!」

「メグ姉さま!父さまと仲直りされたのですね!よかった!」

「お前達にも要らない気苦労を掛けたな。これからも兄弟仲良く、助け合いながら過ごしなさい」

「はい、父さま!」

「もちろんです、お父様」

「ありがとう、パパ!」

最後に仲良し家族っぷりをアピールしてから解散した。その後、王妃さまに呼び出されたもののパパから行かなくていいと言われ、パパが代わりに行ってくれた。帰ってきたパパの頬は赤くなっていた。

「パパ、王妃さまは…」

「…心配ない。お前のことは俺が守る」

…王妃さまとは、仲直りはできそうにないです。

ー…

その後、いきなり私の宮の予算が倍に増えた。なんでも、本来なら王女はこのくらい予算を貰えるらしい。それによって侍女も増やせた。ありがたや。更に護衛騎士も増えた。ありがたや、ありがたや。

今回のことはシュテル様もこっそりと見ていたらしく、ハイタッチしてハグされた。やっとお前が見直されてよかったとシュテル様は大層喜んでくれて、頬にキスしてくれた。

そうそう、シュテル様はこの国に留学予定で、明後日から一緒に学園に通います。楽しみです!

で、ですね。一見なんの問題もないようなのですけれども、ひとつだけ問題が。

…パパの距離の詰め方がえぐい。

今日なんて仕事もあるだろうに放ってしまって、私の部屋でお茶を飲んでケーキを食べている。意外と甘党なんだね。

「パパ、お仕事は?」

「後ででも出来る。お前とは、これから学園生活が始まればなかなかこんな時間は持てないだろう」

そう言いながら偉そうに私の向かい側のソファーで踏ん反り返るパパ。それすらも様になるんだから、イケメンって狡い。…いや、マルゲリット王女になった私もパパとマノン妃に似たからなかなかか。

「…」

「…」

お互い、あんまり会話はない。だけど、落ち着く。親娘だからかなぁ。

「パパ」

「どうした?」

「小さい頃は出来なかったから、添い寝とかしてみたいなぁ」

…前世でも、実は親との添い寝は経験がない。してもいいならしてみたい。

「…いいだろう」

パパが立ち上がって、ソファーに座っていた私を抱き上げてベッドへ連れて行く。すごい腕力だね。

「…これでいいか?」

「腕枕して欲しいな」

ここぞとばかりに甘える。娘として、正当な権利だ。

「…硬くないか?」

「大丈夫!パパありがとう!」

パパに抱きつく。パパも満更でもない様子。いやぁ、親娘っていいなぁ。

「メグ。増やした予算は使いきれそうか?」

「うん!人件費と、ドレスと装飾品代に当てるね!」

「もし余っても溜め込まずに好きなように使え。あれはお前のためのお小遣いだ」

「はーい!」

…正直、本当はその額に目玉飛び出そうだけれども。

「…俺はこれまで、いい父親ではなかった」

「…うん」

否定は出来なかった。

「でも。…これからは、リュディーやノル同様、お前を大切にする。お前も、何かあったら俺を頼れ」

「うん、パパ!」

そうしてこれまでの親娘の時間を埋めるように、夕陽が沈むまで私達は添い寝しながら色々なことを話した。

「…じゃあ、な」

「はい、パパ。また明日!」

パパとばいばいをする。パパは自分の宮に戻って、王妃さまと食事をとるのだろう。…大丈夫かなぁ。また頬を赤くしないか心配なんだけれども。
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

〘完〙前世を思い出したら悪役皇太子妃に転生してました!皇太子妃なんて罰ゲームでしかないので円満離婚をご所望です

hanakuro
恋愛
物語の始まりは、ガイアール帝国の皇太子と隣国カラマノ王国の王女との結婚式が行われためでたい日。 夫婦となった皇太子マリオンと皇太子妃エルメが初夜を迎えた時、エルメは前世を思い出す。 自著小説『悪役皇太子妃はただ皇太子の愛が欲しかっただけ・・』の悪役皇太子妃エルメに転生していることに気付く。何とか初夜から逃げ出し、混乱する頭を整理するエルメ。 すると皇太子の愛をいずれ現れる癒やしの乙女に奪われた自分が乙女に嫌がらせをして、それを知った皇太子に離婚され、追放されるというバッドエンドが待ち受けていることに気付く。 訪れる自分の未来を悟ったエルメの中にある想いが芽生える。 円満離婚して、示談金いっぱい貰って、市井でのんびり悠々自適に暮らそうと・・ しかし、エルメの思惑とは違い皇太子からは溺愛され、やがて現れた癒やしの乙女からは・・・ はたしてエルメは円満離婚して、のんびりハッピースローライフを送ることができるのか!?

我儘令嬢なんて無理だったので小心者令嬢になったらみんなに甘やかされました。

たぬきち25番
恋愛
「ここはどこですか?私はだれですか?」目を覚ましたら全く知らない場所にいました。 しかも以前の私は、かなり我儘令嬢だったそうです。 そんなマイナスからのスタートですが、文句はいえません。 ずっと冷たかった周りの目が、なんだか最近優しい気がします。 というか、甘やかされてません? これって、どういうことでしょう? ※後日談は激甘です。  激甘が苦手な方は後日談以外をお楽しみ下さい。 ※小説家になろう様にも公開させて頂いております。  ただあちらは、マルチエンディングではございませんので、その関係でこちらとは、内容が大幅に異なります。ご了承下さい。  タイトルも違います。タイトル:異世界、訳アリ令嬢の恋の行方は?!~あの時、もしあなたを選ばなければ~

【完結】勤労令嬢、街へ行く〜令嬢なのに下働きさせられていた私を養女にしてくれた侯爵様が溺愛してくれるので、国いちばんのレディを目指します〜

鈴木 桜
恋愛
貧乏男爵の妾の子である8歳のジリアンは、使用人ゼロの家で勤労の日々を送っていた。 誰よりも早く起きて畑を耕し、家族の食事を準備し、屋敷を隅々まで掃除し……。 幸いジリアンは【魔法】が使えたので、一人でも仕事をこなすことができていた。 ある夏の日、彼女の運命を大きく変える出来事が起こる。 一人の客人をもてなしたのだ。 その客人は戦争の英雄クリフォード・マクリーン侯爵の使いであり、ジリアンが【魔法の天才】であることに気づくのだった。 【魔法】が『武器』ではなく『生活』のために使われるようになる時代の転換期に、ジリアンは戦争の英雄の養女として迎えられることになる。 彼女は「働かせてください」と訴え続けた。そうしなければ、追い出されると思ったから。 そんな彼女に、周囲の大人たちは目一杯の愛情を注ぎ続けた。 そして、ジリアンは少しずつ子供らしさを取り戻していく。 やがてジリアンは17歳に成長し、新しく設立された王立魔法学院に入学することに。 ところが、マクリーン侯爵は渋い顔で、 「男子生徒と目を合わせるな。微笑みかけるな」と言うのだった。 学院には幼馴染の謎の少年アレンや、かつてジリアンをこき使っていた腹違いの姉もいて──。 ☆第2部完結しました☆

ヒロインに躱されて落ちていく途中で悪役令嬢に転生したのを思い出しました。時遅く断罪・追放されて、冒険者になろうとしたら護衛騎士に馬鹿にされ

古里@3巻電子書籍化『王子に婚約破棄され
恋愛
第二回ドリコムメディア大賞一次選考通過作品。 ドジな公爵令嬢キャサリンは憎き聖女を王宮の大階段から突き落とそうとして、躱されて、死のダイブをしてしまった。そして、その瞬間、前世の記憶を取り戻したのだ。 そして、黒服の神様にこの異世界小説の世界の中に悪役令嬢として転移させられたことを思い出したのだ。でも、こんな時に思いしてもどうするのよ! しかし、キャサリンは何とか、チートスキルを見つけ出して命だけはなんとか助かるのだ。しかし、それから断罪が始まってはかない抵抗をするも隣国に追放させられてしまう。 「でも、良いわ。私はこのチートスキルで隣国で冒険者として生きて行くのよ」そのキャサリンを白い目で見る護衛騎士との冒険者生活が今始まる。 冒険者がどんなものか全く知らない公爵令嬢とそれに仕方なしに付き合わされる最強騎士の恋愛物語になるはずです。でも、その騎士も訳アリで…。ハッピーエンドはお約束。毎日更新目指して頑張ります。 皆様のお陰でHOTランキング第4位になりました。有難うございます。 小説家になろう、カクヨムでも連載中です。

「白い結婚最高!」と喜んでいたのに、花の香りを纏った美形旦那様がなぜか私を溺愛してくる【完結】

清澄 セイ
恋愛
フィリア・マグシフォンは子爵令嬢らしからぬのんびりやの自由人。自然の中でぐうたらすることと、美味しいものを食べることが大好きな恋を知らないお子様。 そんな彼女も18歳となり、強烈な母親に婚約相手を選べと毎日のようにせっつかれるが、選び方など分からない。 「どちらにしようかな、天の神様の言う通り。はい、決めた!」 こんな具合に決めた相手が、なんと偶然にもフィリアより先に結婚の申し込みをしてきたのだ。相手は王都から遠く離れた場所に膨大な領地を有する辺境伯の一人息子で、顔を合わせる前からフィリアに「これは白い結婚だ」と失礼な手紙を送りつけてくる癖者。 けれど、彼女にとってはこの上ない条件の相手だった。 「白い結婚?王都から離れた田舎?全部全部、最高だわ!」 夫となるオズベルトにはある秘密があり、それゆえ女性不信で態度も酷い。しかも彼は「結婚相手はサイコロで適当に決めただけ」と、面と向かってフィリアに言い放つが。 「まぁ、偶然!私も、そんな感じで選びました!」 彼女には、まったく通用しなかった。 「なぁ、フィリア。僕は君をもっと知りたいと……」 「好きなお肉の種類ですか?やっぱり牛でしょうか!」 「い、いや。そうではなく……」 呆気なくフィリアに初恋(?)をしてしまった拗らせ男は、鈍感な妻に不器用ながらも愛を伝えるが、彼女はそんなことは夢にも思わず。 ──旦那様が真実の愛を見つけたらさくっと離婚すればいい。それまでは田舎ライフをエンジョイするのよ! と、呑気に蟻の巣をつついて暮らしているのだった。 ※他サイトにも掲載中。

【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!

ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。 ※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。

目覚めたら魔法の国で、令嬢の中の人でした

エス
恋愛
転生JK×イケメン公爵様の異世界スローラブ 女子高生・高野みつきは、ある日突然、異世界のお嬢様シャルロットになっていた。 過保護すぎる伯爵パパに泣かれ、無愛想なイケメン公爵レオンといきなりお見合いさせられ……あれよあれよとレオンの婚約者に。 公爵家のクセ強ファミリーに囲まれて、能天気王太子リオに振り回されながらも、みつきは少しずつ異世界での居場所を見つけていく。 けれど心の奥では、「本当にシャルロットとして生きていいのか」と悩む日々。そんな彼女の夢に現れた“本物のシャルロット”が、みつきに大切なメッセージを託す──。 これは、異世界でシャルロットとして生きることを託された1人の少女の、葛藤と成長の物語。 イケメン公爵様とのラブも……気づけばちゃんと育ってます(たぶん) ※他サイトに投稿していたものを、改稿しています。 ※他サイトにも投稿しています。

【完結済】私、地味モブなので。~転生したらなぜか最推し攻略対象の婚約者になってしまいました~

降魔 鬼灯
恋愛
マーガレット・モルガンは、ただの地味なモブだ。前世の最推しであるシルビア様の婚約者を選ぶパーティーに参加してシルビア様に会った事で前世の記憶を思い出す。 前世、人生の全てを捧げた最推し様は尊いけれど、現実に存在する最推しは…。 ヒロインちゃん登場まで三年。早く私を救ってください。

処理中です...