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第4部 決戦

第25話 突撃

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「騎士団、前へ!冒険者はその横へ並べ」
 ナウム副長の号令がかかる。
 その隣に、もう1人偉そうな身分の人がいる。

「私は騎士団長バルタザールだ。これよりゴブリン討伐に向かう。騎士の諸君、冒険者の諸君。共に生きて帰ろうではないか!!」

「「「 おぉ~~!! 」」」

「弓隊前へ!!」

 ザッ!!ザッ!!

「放て!!」

 シュン!シュン!シュン!シュン!シュン!シュン!シュン!シュン!シュン!
     シュン!シュン!シュン!シュン!シュン!シュン!シュン!シュン!
   シュン!シュン!シュン!シュン!シュン!シュン!シュン!シュン!
 シュン!シュン!シュン!シュン!シュン!シュン!シュン!シュン!
 シュン!シュン!シュン!シュン!シュン!シュン!シュン!シュン!シュン!

沢山の矢がゴブリンに降り注ぐ。

 ギャアギャア!!ギャア!ギャア!!ギャア!!ギャア!!ギャアギャア!!ギャアギャア!!ギャアギャア!!ギャアギャア!!ギャア!ギャア!!ギャア!!ギャア!!ギャアギャア!!ギャアギャア!!ギャアギャア!!ギャアギャア!!ギャア!ギャア!!ギャア!!ギャア!!ギャアギャア!!ギャアギャア!!ギャアギャア!!ギャアギャア!!ギャア!ギャア!!ギャア!!ギャア!!ギャアギャア!!ギャアギャア!!ギャアギャア!!


「「「今だ突撃!!」」」

 俺達は騎士団の先頭に立ち、8人の3列で走った。
 コンラードさん達の先頭がゴブリンに激突する。

 ドンッ!!ギャッ!グシャ!!ギャッ!ザッ!!

 ギャッ!グシャ!!ギャッ!バシャッ!!

 先頭のコンラードさん達が凄い。
 ゴブリンを叩き切り、舞い上げるように切り上げていく。
 AやBランクはこんなにも強いものなのか?
 
 俺達、中盤組はただ横に剣を振る、切り上げるのみだった。
 突き刺すと抜けなくなるからだ。

「「 ウォォォォ~~~!!行くぞ~~!! 」」

 俺は気持ちだけでもと思い、声を出しながら戦っていた。

  *    *    *    *    *

 俺はコンラード。
 冒険者達の先頭に立ちゴブリンの群れに突撃して行く。
 本当なら誰かが欠けてもおかしくない状況なのに。
 誰も欠くことなく舞うように剣を振るう。
 目の前のゴブリンの群れが、面白いように蹴散らされていく。
 一緒に戦っているBランク4人も、俺と同じようで普段以上の力が出ている。

 エリアスの励ますような声が聞こえる。

〈〈〈〈〈 ウォォォォ~~~!!行くぞ~~!! 〉〉〉〉〉

 その声を聴くたびに俺達は無性に気持ちが高ぶり、強くなる。
 まるで戦の神のような彼の声に導かれて進む。
 そしてこのまま、ゴブリンの群れを突っ切りキングを目指す!
 あと、少しだ。

  *    *    *    *    *

 ほう、思っていたよりやるな。
 わたしの名はナウム。この騎士団の副長だ。
 騎士団の損害を少しでも防ぐため、冒険者を先に行かせてはみたが。
 なんと奴らは飲み込まれることなく中央突破をしており、そのままゴブリンを蹴散らし進んでいるのだ。

 いや、冒険者が強いのではなく、所詮はゴブリンの集まりか。
 キングがいても、たいしたことはないだろう。
 規模が大きいからと言って、慎重になりすぎていたのだ。
 このままいくと騎士団の活躍がないかもしれん。
 それでは困るのだ。
 美味しいところは我々がもらう。
 そしてその功績は私の物だ。
 なら我々も突撃だ。

「バルタザール騎士団長、お話があります」
「なにかな、ナウム副長」
「は、冒険者のおかげで中央突破の目途がたちました。彼らも疲労していると思われ、ここからは騎士団が代わりたいと思います」
「ほう、そうだな。冒険者を気遣うとはさすがナウム副長。そのように致せ」
「は、これより騎士団は突撃致します」
 人が良いとはこのことだ。

  *    *    *    *    *

 ドン!ドン!ドンッ!ドン!ドン!ドンッ!
       ドン!ドン!ドンッ!ドン!ドン!ドンッ!

 太鼓が鳴り響く。
 後ろを振り向くと騎士団が突っ込んでくる。
 俺達、冒険者は脇に避けゴブリンと戦いながら進んで行く。
 立ち止まる方が集中攻撃され危険になるからだ。

 ドォ!ドォ!ドォ!ドォ!ドォ!ドォ!ドォ!ドォ!ドォ!
     ドォ!ドォ!ドォ!ドォ!ドォ!ドォ!ドォ!ドォ!ドォ!

 騎士団の馬が駆け抜けていく。
 そして激しい剣戟音がしたと思ったら、道が開けた。

「キングの首は俺達の物だ。騎士団突撃~~!!」

     「「「「 ウォォォォォォ~~!! 」」」」

 その時、火の玉が飛んできた。
 ドン!ドン!ドバ~ン!
          ドン!ドン!ドバ~ン!
 
「ゴブリンウィザードだ!ウィザードがいるぞ!!」

 ドン!ドン!ドバ~ン!
 ファイヤーボールが飛んでくるたび、騎士団は盾で防ぎ剣を振る。
 所詮はゴブリンのウィザード。
 初級の魔法は使えてもそれだけだ。

「けちらせ~!奴らをけちらせ~!」

    「「「 オォゥゥゥゥ~~!! 」」」

 ゴブリンウィザードは次々に打ち取られていく。
 
「いくぞ~!われらの勝利だ~~!!」

      「「「 おぅぅぅぅ~~!! 」」」

 その時だった。
 グシャ!!バシャ!バシャ!!グシャ!!バシャ!バシャ!
           バシャ!バシャ!!グシャ!!バシャ!バシャ!

 騎士団の馬が吹っ飛び、騎士の手足がちぎれ血しぶきが舞う。
 
「な、何が起きたんだ」
 俺達、冒険者や騎士団の脚が止まる。



 その先を見ると何かが立っている。

 赤い帽子と鉄製の長靴を身に着けて、はすに構え斧をたずさえている。
 その奥に見えるのは長く薄気味悪い髪。
 燃えるような赤い眼、突き出た歯に鋭い鉤爪。
 
 醜悪で背の低い老人の姿をした魔物だった。
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