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第1章 旅立ち

第7話 どっち?

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 夕方近くになり陽が陰り始めた頃、城壁が見えて来た。

「やっと着きましたな」
「あれがタラスの街ですね、パウロさん」
「えぇ、後もう少しですから」

 すると城門の辺りにたくさんの人が集まり、盾や剣を持ち慌ただしい気配がする。

「パウロさんではないですか?!」
 顔見知りなのか城門にいた兵士に声を掛けられる。
「あぁ、やっと帰って来れました」
「ダイアウルフに襲われ亡くなられたと聞きましたが…」
「誰が言ったのでしょうか?」
「生き残った公冒険者4人が街に戻り知らせてくれました」
 兵士が指差す先には冒険者と思われる男4人が立っていた。
「いいえ、違います。彼らは護衛を放棄して逃げたのです」
「な、なんですと!!」

「おい、そいつらを捕らえろ!!私は冒険者ギルドのギルドマスター、ライアンだ」
 側に居たいかつい顔の男の人が大声を出す。
「わっ!パウロさん、よくぞご無事で…。放せ!!放してくれ」
「職務放棄は重罪だ。引き立てろ!!」
「ライアンさん、違うんです!!」
「まさか、生きているなんて…」
「これは誤解だ~」
 4人の冒険者は口々に何かを言い引き立てられていった。

 ライアンと名乗った男が近づいてくる。
 40歳位で筋肉マッチョ、スキンヘッド、ランニングのような服を着て太い腕を自慢げに出している。
 夜道で出会いたくはないタイプだわ。
「改めまして、私は冒険者ギルドのマスター、ライアンだ。この度はギルドの者が迷惑をかけた」
 そう言うと軽く頭を下げた。

「しかしよくご無事で。今、人を集め討伐隊を編成しているところだ」
「あ~、それはもう必要ないかと…」
「必要ないとは?どう言うことだ」
「実はすでに討伐済みなのです…」
「おぉ、では連れている2名の冒険者が討伐したのだな」
「あ、いえ、俺達は…」
 サルバさんがそれを否定する。

「では誰が?」
「ここにいるレナさんです」
 そう言うとサルバさんは私を手招きした。
「このお嬢さんが?」
「そうです」
 まあ、お嬢さんだなんて。
「冒険者なのか?そうは見えないが」
「レナさんはこれから、冒険者登録をする方です」
「これから?ではどのギルドには属していないと」
「えぇ、そうです」
 私はサルバさんに代わりそう答える。

「しかしどうやって。証拠はあるかね?素材は持ち帰っているかい?」
「では出しますね」
「出す?」
 私は城門近くの空いているスペースにダイアウルフを出した。

「こ、これは…。驚いた…」
 突然、何もない空間からダイアウルフ出したことに驚いているのか、ダイアウルフに驚いているのか?
 どっち?

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