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第1章 旅立ち

第6話 方向性

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 私とパウロさん達三人は徒歩で街に向っている。
 道すがら話を聞くと、ここはカプール大陸というところで私達はタラスの街へ向かっていると言う。

 そこでお金の単位について聞いてみた。
 私が田舎から出て来たもので、と言うと納得して説明をしてくれた。
 庶民の間にはそんなことも理解していない人が多いらしい。
 村同士なら売買よりも物々交換が多いからだ。
 通貨はベーロで、単位は100(100円)
 1,000(1,000円)
 10,000(10,000円)
 100,000(100,000円)
 日本の時と単位は同じだから分かりやすいわ。

 平均所得は一日5,000~6,000ベーロ。
 1年は360日で休まず働く人が多く、一か月30日で150,000~180,000ベーロ。
 15~18万円と言うことね。
 面倒だから【円】にならないかな?
 そんなことを考えていると途中からベーロが、【円】に聞こえるようになった。
 ステータスを確認すると【異世界言語】が点滅していた。
 便利なスキルだわ。

 パウロさんはタラスの街で中堅どころの店をやっているそうだ。
 今回は隣の街へ注文のあった生地を仕入れに行った帰りだという。
 野党や魔物に襲われることもあるので、護衛として冒険者ギルドから六人雇ったが、魔物と出会い4人は逃げたそうだ。

 通常、依頼された仕事を放棄すればギルドでは重罪になる。
 しかし逃げてもパウロさん達が助からないと思ったのだろう。
 奮闘はしたがパウロさん達は魔物にやられ、自分達は命からがら逃げて来た、と言えば済むことになる。
 残って戦っても普通なら全滅していただろう。
 そう私が来なければ…。

「逃げた4人はこれから辛い思いが待っているでしょう」
「どういうことですか、パウロさん」
「手に職が無いから冒険者をしている彼らにとって、所属しているギルドがないというのは働く場所がないということになります。それに依頼放棄となれば、ギルドから除籍され責任を追及されるでしょう」
「そうですか」
「情報はギルドで共有していて、どの国に行っても登録はもうできないでしょう」
「助かったけど、生活が出来ないということですね」
「そうなりますね」

「まあ、普通はダイアウルフ相手に生き残れるとは思いませんからね。レナさんのおかげですよ」
「いや~、まあ~、照れますね」
「レナさんは、これからどうされるのでしょうか?」
「そうですね、私も手に職は持っていませんから」
「とんでもない!!あのポーションだけでも、薬師ギルドに登録すれば高値で売れるでしょう」
「そうでしょうか」
「ポーションで5千円、ハイポーションは1万円です。あのポーションならそれ以上ですから、10万以上にはなるでしょう」
「そんなにですか?」

「ギルドに登録することは身分証となります。また城門からでると入る時にギルドカードが無いと都度、入場料が掛かります」
「お金が掛からず、お得と言うことですね」
「そうです。しかし他の街を回ってみたいなら薬師ギルドではなく、冒険者ギルドに登録することをお勧めします」
「どうしてでしょうか?」
「薬師は一つの街に定住することが多く、街を移動するのは冒険者が多いからです。他の街に行ったらポーションの効果を説明をするのに一からとなり面倒ですから」
「いいかもしれませんね」
「レナさんならやっていけますよ」
「そうでしょうか、えへへへ」

 私の場合は剣を持って直接、戦う訳ではないからそれも良いかもしれないな。

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