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婚約破棄、そしてここから始まる
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「アメリア・リューデスハイム、この時をもってお前との婚約を破棄する!!」
第二王子フェルナルドは高らかにそう宣言したのだ。
王宮内のホールは、水を打ったような静けさに包まれる。だが、すぐに何事かと貴族たちが騒めき、あちらこちらでひそひそ話が始まる。
王宮で開かれる夜会にて、第二王子フェルナンドから重大発表あるということは事前には聞いていた。だがそれがまさか高らかに婚約破棄を宣言するとも誰も思ってはいなかったようである。
動揺とざわめきが広がっている。
しかも、国王夫妻がまだ到着していない場での発言である。
フェルナンドは、このざわめきを良い方に捉えたようで得意げにこう続けたのだ。
「運命の相手は他にいると僕はようやく気付いたのだ。そして新しい婚約者に、伯爵令嬢メリーナ・セルトとの婚約を宣言する!」
フェルナンドの傍らに寄り添うように佇んでいた美しく可憐な令嬢が、フェルナンドの腕の中にすっぽりとおさまった。
メリーナは、妖精のように美しく可憐なイメージだが、アメリアから見ると男の扱いにとても長けているようだ。
今もフェルナンドの腕の中でしな垂れかかり、高揚感に満ちうっとりとした表情を浮かべている。その目の奥の光りは、アメリアを見下し優越感に酔っているようにも見えた。
アメリアは心の動揺を落ち着けようと呼吸をし、フェルナンドを真っすぐに見つめる。
彼女も十分可愛らしいが普段はおとなしく内気な性格なので、ドレスの中では脚がガタガタと震えていた。それでも気づかれないよう気丈に振舞うことにする。
「理由をお伺いしてもよろしいでしょうか?」
「ふ、そんなことか・・。いいだろう教えてやろう!」
フェルナンドは前髪を払うと、高揚とした口調で話し始める。
「そう、今までの愛は偽りだったのだ・・・。メリーナと出会い、僕はそのことに気づかされた。これが真実の愛だということに・・
アメリア、君は社交性に乏しく陰険で婚約者にふさわしくない。だが、メリーナは違う。僕の心を常に癒し太陽のような微笑み、心からの愛情を・・・ぐっごぶ!!」
話の途中で、突然フェルナンドは吹っ飛ばされ床に倒れたのだ。
訳も分からずフェルナンドはなんとか起き上がり、尻もちをつきながら周りを見回す。
無意識に熱をもち、痛みでひりひりする右の頬をおさえると、自分を見下ろす冷たい視線に気づいたのだ。
アメリアは拳を固く握りしめたまま、第二王子を冷たく見下ろしていたのだ。
第二王子フェルナルドは高らかにそう宣言したのだ。
王宮内のホールは、水を打ったような静けさに包まれる。だが、すぐに何事かと貴族たちが騒めき、あちらこちらでひそひそ話が始まる。
王宮で開かれる夜会にて、第二王子フェルナンドから重大発表あるということは事前には聞いていた。だがそれがまさか高らかに婚約破棄を宣言するとも誰も思ってはいなかったようである。
動揺とざわめきが広がっている。
しかも、国王夫妻がまだ到着していない場での発言である。
フェルナンドは、このざわめきを良い方に捉えたようで得意げにこう続けたのだ。
「運命の相手は他にいると僕はようやく気付いたのだ。そして新しい婚約者に、伯爵令嬢メリーナ・セルトとの婚約を宣言する!」
フェルナンドの傍らに寄り添うように佇んでいた美しく可憐な令嬢が、フェルナンドの腕の中にすっぽりとおさまった。
メリーナは、妖精のように美しく可憐なイメージだが、アメリアから見ると男の扱いにとても長けているようだ。
今もフェルナンドの腕の中でしな垂れかかり、高揚感に満ちうっとりとした表情を浮かべている。その目の奥の光りは、アメリアを見下し優越感に酔っているようにも見えた。
アメリアは心の動揺を落ち着けようと呼吸をし、フェルナンドを真っすぐに見つめる。
彼女も十分可愛らしいが普段はおとなしく内気な性格なので、ドレスの中では脚がガタガタと震えていた。それでも気づかれないよう気丈に振舞うことにする。
「理由をお伺いしてもよろしいでしょうか?」
「ふ、そんなことか・・。いいだろう教えてやろう!」
フェルナンドは前髪を払うと、高揚とした口調で話し始める。
「そう、今までの愛は偽りだったのだ・・・。メリーナと出会い、僕はそのことに気づかされた。これが真実の愛だということに・・
アメリア、君は社交性に乏しく陰険で婚約者にふさわしくない。だが、メリーナは違う。僕の心を常に癒し太陽のような微笑み、心からの愛情を・・・ぐっごぶ!!」
話の途中で、突然フェルナンドは吹っ飛ばされ床に倒れたのだ。
訳も分からずフェルナンドはなんとか起き上がり、尻もちをつきながら周りを見回す。
無意識に熱をもち、痛みでひりひりする右の頬をおさえると、自分を見下ろす冷たい視線に気づいたのだ。
アメリアは拳を固く握りしめたまま、第二王子を冷たく見下ろしていたのだ。
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