神子召喚に巻き込まれた俺はイベントクラッシャーでした

えの

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俺、おじゃま虫

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ニコ様とエレが親子仲睦まじく会話を繰り広げている。エレがエルフが凄い凄いと顔を赤らめ興奮した様子で話をしているが、全然僕の頭には会話の内容が入ってこない。


ははは、乾いた笑みが零れる。やってくれたねエルフ…。ニコ様健在の今、ユスティ様を攻略するのは不可能。つまりハーレムエンドは出来ない。ユスティ様とのイベントも全部おじゃん!!この落とし前どうつけてくれる!!殺気に近い怒りが腹の底から湧き上がってくる。


「ニコ様、エレ。少し用事を思い出したので僕はこれで失礼します」


丁寧にお辞儀をし、絨毯を蹴るようにして足早に自分の部屋に戻る。部屋に戻る廊下ですれ違う人々が神子である僕にこうべを垂れてくれたが、目もくれずに足を前へ前へと動かした。頭の中はエルフの事でいっぱいだ。


部屋のベッドに倒れる様に体を投げ出す。僕が主人公のはずなのに…アイツのせいでイベントが何も始まらない。始まらないどころかイベントが起こらない…消えていく…。このまま誰ともハッピーエンドになれなかったら…そんな…。恐ろしい考えを途中で止めるように頭を振る。ダメだ!!シナリオ通りに行動したらダメだ!!先手必勝!!今度は僕の方から行動を起こす!!ベッドから弾むように起き上がり、部屋の外に駆け出す。目指すはシヴァ様!!




▢ ▣ ▢ ▣ ▢ ▣ ▢ ▣ ▢ ▣ ▢ ▣ ▢ ▣ ▢ ▣ ▢ ▣



シヴァ様にお願いをして、ジン様とクルト様を一日僕の護衛にして貰った。最初は遠慮してたみたいだけどね。神子である僕の頼みだから断れるはずもないよね?


今日は存分に僕のアピールをしないとね!!召喚されてから接触もままならなかったから此処が頑張りどころだ!!興奮して体が熱くなってきた!!


「ジン様!!クルト様!!お会いしたかったです!!」


二人が一歩後ろに下がるほどの勢いで話しかけてしまった。いけない!!清楚にお淑やかに!!ふぅー、一呼吸置いて心を落ち着かせる。焦っちゃダメだ。


「どうして護衛を引き受けてくださらないんですかぁ?僕、寂しくて…。この世界にいきなり召喚されて不安だし…」


悲しそうな表情を作りジン様に抱き着く。二人の同情を誘う作戦だ!!だが速攻で断られた。もうバッサリとだ。カーラの護衛だからだと…。やっぱり体なのか?!エロフめ!!悔しい!!


「カーラ?あぁ、あのエルフか。でも神子は僕だよ?あの人はおまけでしょ?」


僕が主人公だよ?脇役風情が…。ついつい鼻で笑ってしまった。そうだ!!お茶に誘って徐々に僕の良さを知ってもらおう!!



「折角ですから、お茶でも一緒にどうですか?もっとお二人と仲良くなりたいのです」



「神子様。申し訳ございませんが…護衛ごときが一緒にお茶など…」



「申し訳ございません」



またもや即答で僕の誘いの言葉を退ける二人。
えっ…ゲームだと意気揚々とお茶してくれそうな感じなのに…やっぱりエルフのせいなの?


「神子である僕のお願いでもダメですか…?お二人と仲良くなりたいのです…」


次は泣き落とし作戦だ!!淡い悲しみを顔に浮かべ、目に少し涙を浮かべる。少し顔を傾かせると、ポロリと一筋の涙が頬を流れた。完璧!!これならどう?ニヤけそうになる顔を堪えて、二人をチラリと盗み見る。



へっ?動じてない?!全く表情が変わってない…何その氷の様な表情は…。当ての外れた二人の態度に拍子抜けしてしまう。もっと、「泣かないで神子様」
とか言って抱擁してくれたり、頭なでなでとか…えっ、全然想像してた態度と違う!!


その後どう頑張っても了承の返事をしてくれない二人に痺れを切らし、神子である事を盾に取り、脅すような形でお茶会を始めようとした時、一人の従者が慌てて部屋に転がり込んできた。あのエルフが襲われたと…。その報告を聞いた途端、ジン様は血相を変えて急ぎ早に部屋から出ていってしまった…。



えっ…どうして…ジン様…。チラリとクルト様をみる。切羽詰まった表情をして、今にも部屋から出て行きたそうにチラチラとドアを見詰めている。


「ジン様一人が行けば大丈夫ですよね。クルト様は僕とお茶を楽しみましょう!!」


腸が煮えくり返りそうな程の怒りを表に出す事なく、口元に薄笑いをみせる。絶対にエルフのところなどに行かせてなるものか!!クルト様は僕の物だよ!!






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