戦力より戦略。

haruhi8128

文字の大きさ
447 / 566
魔界奔走

そりゃ怖がられますよね

しおりを挟む
「……」

息をひそめていると、男が女の子の服に手をかけた。
今だ!

天井の通気口から飛び降り、2人の間に割り込む。
こいつも上司ってことはそれなりに強いのだろうが、今は服で両手が埋まっている。
さらに、突然現れた俺に反応できるはずもない。

「せいっ!」

気合い一発顎に掌底を叩きこむ。
首が割と危険な角度で吹っ飛ぶが、まぁ、知るか。
死んで元々、生きててラッキーくらいに思ってもらおう。

「で、ここか」

磔のようにされている女の子を結んでいる綱(?)を小太刀で斬る。
ドゥが作ってくれたものだが、俺が希望を言うのに合わせて徐々にチューンナップを繰り返しているため、今では俺専用かというほど手になじむようになっている。
いや、俺専用で間違いないんだけども。


「ん、んぅ……?」

あ、起きた。

「え……?」
「あ」

磔から解放してそのまま床にポイってやるのもダメかなと思ってベッドに運んでおいたのだが。
まずった。
あいつが両手で握っている時に吹き飛ばしたから乱れた着衣。
見慣れない天井。
背中のベッドの感触。
そして、気を失う前の記憶。
ここまで情報がそろえばあまり動いていない脳でも想像するのは難しくないだろう。

「き……! むぐっ!」
「待て!」

悲鳴を上げかけた口を全力で抑える。

「主、バインドするかの?」
「火に油を注ぐな! 落ち着いてくれ! 俺はあんたを助けに来ただけなんだ! よく考えろ! 俺が攫った犯人ならお前を縛るなりなんなりしてるだろ!? 犯人はあいつだ!」

じたばたする女の子をガチの力づくで抑えてどうにか冷静にさせようとするが、まぁ暴れるわ暴れるわ。
そりゃ落ち着いてなんかいられないって感じだろうが、こっちとしてはひたすらに邪魔である。

「いいや、オーシリア」
「やると思ったのじゃ」

チェーン・バインドでぐるぐる巻きにする。
しかし、これの欠点で動かせなくなった。
簀巻きにすれば運べるのだが、このバインドをもう1度解く気にはならない。

「なら、ここを守りながらって形になるか。まぁ、ここが一番守りが固いようになってるだろうし、それは楽になるか」

オーシリアにステッド・ファストの位置を指示しながらボタンをぽちっ。

ドオオォォォン!!

一帯に響き渡る爆発音。
合図代わりの爆弾である。
まぁ、威力としては玄関周りを吹っ飛ばすくらい。
十分すぎるか、否か。

とりあえず、合図にさえなればいいから別にいいか。

ゴゴォォン……!

遠くから届く何かが崩れる音。
これはハンマー携えてリオンがぶっこみ決めたっぽいな。
ここに辿り着くのも時間の問題だろう。
問題は、この部屋ごと吹き飛ばそうとしないかだな。
本来ならもう退避してる予定だったからな。

ガガアァン!!

音が近くなってきた……。
一番の危機が迫ってきているな。

「オーシリア、俺の周りにも」
「了解じゃ」

一応、身を守っておくか……。
しおりを挟む
感想 28

あなたにおすすめの小説

異世界ほのぼの牧場生活〜女神の加護でスローライフ始めました〜』

チャチャ
ファンタジー
ブラック企業で心も体もすり減らしていた青年・悠翔(はると)。 日々の疲れを癒してくれていたのは、幼い頃から大好きだったゲーム『ほのぼの牧場ライフ』だけだった。 両親を早くに亡くし、年の離れた妹・ひなのを守りながら、限界寸前の生活を続けていたある日―― 「目を覚ますと、そこは……ゲームの中そっくりの世界だった!?」 女神様いわく、「疲れ果てたあなたに、癒しの世界を贈ります」とのこと。 目の前には、自分がかつて何百時間も遊んだ“あの牧場”が広がっていた。 作物を育て、動物たちと暮らし、時には村人の悩みを解決しながら、のんびりと過ごす毎日。 けれどもこの世界には、ゲームにはなかった“出会い”があった。 ――獣人の少女、恥ずかしがり屋の魔法使い、村の頼れるお姉さん。 誰かと心を通わせるたびに、はるとの日常は少しずつ色づいていく。 そして、残された妹・ひなのにも、ある“転機”が訪れようとしていた……。 ほっこり、のんびり、時々ドキドキ。 癒しと恋と成長の、異世界牧場スローライフ、始まります!

【完結】モブ令嬢のわたしが、なぜか公爵閣下に目をつけられています

きゅちゃん
ファンタジー
男爵家の三女エリーゼは、前世の記憶を持つ元社畜OL。社交界デビューの夜、壁際でひとりジュースを飲んでいたところを、王国随一の権力者・ヴァルナ公爵カイルにスカウトされる。魔法省の研究員として採用されたエリーゼは、三年間誰も気づかなかった計算の誤りを着任三日で発見。着々と存在感を示していく。一方、公爵の婚約候補と噂されるクロード侯爵令嬢セラフィーヌは、エリーゼを目障りに思い妨害を仕掛けてくるが...

転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ

如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白? 「え~…大丈夫?」 …大丈夫じゃないです というかあなた誰? 「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」 …合…コン 私の死因…神様の合コン… …かない 「てことで…好きな所に転生していいよ!!」 好きな所…転生 じゃ異世界で 「異世界ってそんな子供みたいな…」 子供だし 小2 「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」 よろです 魔法使えるところがいいな 「更に注文!?」 …神様のせいで死んだのに… 「あぁ!!分かりました!!」 やたね 「君…結構策士だな」 そう? 作戦とかは楽しいけど… 「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」 …あそこ? 「…うん。君ならやれるよ。頑張って」 …んな他人事みたいな… 「あ。爵位は結構高めだからね」 しゃくい…? 「じゃ!!」 え? ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!

異世界へ行って帰って来た

バルサック
ファンタジー
ダンジョンの出現した日本で、じいさんの形見となった指輪で異世界へ行ってしまった。 そして帰って来た。2つの世界を往来できる力で様々な体験をする神須勇だった。

積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!

ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。 悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える

ハーフのクロエ
ファンタジー
 夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。  主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。

転生先ではゆっくりと生きたい

ひつじ
ファンタジー
勉強を頑張っても、仕事を頑張っても誰からも愛されなかったし必要とされなかった藤田明彦。 事故で死んだ明彦が出会ったのは…… 転生先では愛されたいし必要とされたい。明彦改めソラはこの広い空を見ながらゆっくりと生きることを決めた 小説家になろうでも連載中です。 なろうの方が話数が多いです。 https://ncode.syosetu.com/n8964gh/

処理中です...