男爵令嬢が『無能』だなんて一体誰か言ったのか。 〜誰も無視できない小国を作りましょう。〜

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第一章:我が領地は『国』になります。

第6話 メイドのリズがどうやら心配しているようです。

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 王都から領地へと返ってきた私は、優雅に紅茶を飲みながら一枚の書面に目を通していました。

 
 領地に返ってきたその日の内に、お父様は周辺諸国に独立宣言を出したようです。

 お父様は、私よりも余程慎重なお方ですから、おそらく抜け目は無いでしょう。
 ですからそれについては全く気にせず、私は領地……いえ、もう国ですね。
 国の経営の方へを注力しているところです。


 地区毎の報告書の一枚を読み終えて、私は小さく「ふぅ」とため息を吐きました。
 読むのも頭を使うのも、実はそれほどしんどくはありません。
 しかしそれでも、ずっと同じ体勢でいる事には疲れます。

 切りが良いので、少し大きく伸びをして肩を回します。
 すると私付きのメイド・リズがこんな事を聞いてきました。

「お嬢様、あの国は大丈夫でしょうか?」

 彼女の言う『大丈夫』が一体どういう意味なのか。
 彼女自身はその詳細に言及しませんでしたが、私には何となく分かります。

 「私達が抜けた後のあの国はやっていけるのでしょうか?」ではなくて。

「大丈夫よ、あちらはこちらに絶対に干渉なんてできないから」
「そうですか? 万が一あちらが独立を不服に思って兵を挙げたら……民は戦いを強いられます。その事にお心を傷めないお嬢様でもご当主様でも無いですから、私はそれが心配で……」
「ありがとう、リズ。でもね、これは何も希望的観測という訳ではないわ」

 不安そうに眉をハの字にしたリズに、私は笑ってそう言います。

「だって我が国の独立は、王太子殿下から「お前達は不要だ、養ってやっているのだ」と言われたからです。つまりこれは、それを受けて「王族の方を煩わせてはならない」と思った我が領が殿下のご期待に沿うようにした結果でしかないのです。ならばわざわざ気を効かせた私達に、あちらが不服を申し立てるなんてとても変な話でしょう?」

 少なくとも散々あの場でこき下ろし「要らない」と言っておきながら、いざなくなったらそれを拾いに来るなんて。
 そのような威厳もへったくれもないような事を、体裁を大切にしなければならない王族がまさか出来る筈もありません。
 
 唯一懸念すべき事は、あの場でのやり取りを一切合切なかったことにされる事ですが。

「私と一緒にあの場に居合わせた貴方なら、もしかして気がついていたのではない? あの場に交換留学中の隣国の王女・ジェイン様がいらっしゃったのだけど」
「はい、それは勿論です」

 隣国・エインスレイド王国の第2王女・ジェイン様。
 彼女と私は少し仲良くさせていただいている仲です。

 あの方は、誠実で国民思いのお方。
 国民の一人であるこの私に王族ともあろうものがあの様な言動をした事は、きっと許せない事でしょう。
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