【R18】嘘がバレたら別れが待っている

鈴元 香奈

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SS:勤労感謝の日

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 章は工場で勤務しながら機械科の科目履修生として夜学の工業高校に通っている。凪と同棲を始めてから工場も高校も休んだことがなく、精勤に仕事と勉強をこなす章に凪は頭が下がる思いだった。
 そして今日は勤労感謝の日。凪は章に思い切り感謝をしたいと張り切っている。

 夕食の料理は決っていた。スーパーに入っている肉屋で新鮮な牛レバーの塊が売っていたので購入した。それを厚く切ってレバーステーキにするつもりだ。肉好きの章なら絶対に喜んでくれると凪は思っている。
 既に牛レバーを流水で洗い血抜きをし牛乳につけている。ご飯ももうすぐ炊ける。付け合せの野菜も用意した。
 後は味噌汁を作って、レバーを焼くだけだ。

 手際よく料理を進めている凪を、章は期待のこもった目で見つめていた。そんな章をちらちらと凪が覗っている。
「何か手伝って欲しいことがあるのか? それとも心配事?」
 いつもより少し落ち着かない凪の様子に、章は心配して凪に訊いてみる。
「ううん。何でもないの。章はレバー大丈夫かなと思って」
「レバーだって肉だろう。大丈夫、食えるから」
 今までレバーのことを美味しいと思ったことはない章だったが、凪の料理の腕は信頼していた。そして、たとえどれほど不味かったとしても凪の作ったものならば絶対に完食する自信もあった。

 凪は章がレバーステーキを食べてくれるか心配していた訳ではない。
 勤労感謝の贈り物は自分。そう考えて凪はネット通販で色っぽい黒のエプロンを買っておいた。
 風呂上がりに裸の上にエプロンだけを身に着けて章を誘おうと思っている凪だが、髪が短く最初は少年と間違われていた凪が裸エプロンをしても、章は喜ばないのではないかと思案している。最悪引かれてしまうかもしれない。
 それでも章に嫌われるようなことはないだろうと思い、決行することにした。
 

 ジュウジュウという音が台所に響き渡り、空腹の章の食欲を刺激する。そして、凪は厚い大きなレバーステーキを皿に盛った。章はそれらをダイニングテーブルに運ぶ。
「すげー美味そうだな」
 マス状に切れ目が入った厚いレバーに美味しそうなソースがかかっている。章は腹が鳴りそうなほど空腹だと感じていた。
 凪が炊きたての御飯にサラダ、お味噌汁を運んできてテーブルに置いた。

「さすが凪だな! レバーがこんなに上手いとは思わなかった。表面はパリパリで中はしっとりしている。何だかとっても元気が出そうだ」
 大きく切り分けたレバーステーキを本当に美味しそうに口に運ぶ章を見ていると、凪まで幸せな気分になる。そして、章に必要とされていることを実感できるのだ。それが凪は何よりも嬉しい。

「ああ、食った食った。俺、凪の料理の腕を舐めていた。正直、レバーなんてそんなに美味いはずはないと思っていたんだ。でも、びっくりするほど美味かった」
「あのね、レバーが新鮮だったから、素材が良かったのよ」
 章に褒めてもらうのは嬉しいけれど、少し恥ずかしいと凪は思う。頬を染めて俯く凪は四歳も下の章から見ても可愛らしい。できることならば抱きしめたい。しかし、やはり凪を壊すのが怖くて章は触れることができないでいた。自分自身が不甲斐なく思え、章は手を強く握りしめて上げようとしていた腕を押し留めた。



 章は先に風呂に入り、広いリビングで凪とのセックスを期待しておとなしく待っていた。優しい凪は絶対に誘ってくれるはずだと思うだけで、スボンを押し上げる状態になっている。

 凪は脱衣場の鏡の前で裸にエプロンをつけた状態で悩んでいた。凪はゆったりとした服を着ることが多くあまり目立たないが、形の良い胸はそれほど小さくはない。腰はくびれていて誰が見てもスタイルが良いと褒めるだろう。しかし、大人になった凪の裸体を見たのは前の同棲相手と章だけだ。同棲相手は凪を無駄におとしめていて、章は褒める余裕がないほど凪に夢中になっていた。そのため、彼女は自分の体に自信が持てないでいた。

 似合わないと章にけなされたらどうしよう。
 それより呆れられる方が怖い。
 凪はドキドキしながら脱衣場を出て、章が待つリビングへ向かった。



 少し明かりを落としたリビングのドアが開く。章がそちらを振り向いた。
「凪!」
 真っ赤な顔をしてリビングに現れた凪は、真っ黒なエプロンを身につけていた。手には二人が愛し合うための必須アイテムである鎖のついた手かせを持っている。

 章が凪の横にまわると、凪がエプロン以外何も身につけていないことがわかる。エプロンから覗く胸の膨らみや、黒いリボンが尻尾のようにたれている白い尻が章の欲情を誘っている。
 既に勃ち上がっていた章のものは更に大きさを増し、章は思わず前かがみになってしまい、鼻血が出ているのではないかと心配になって鼻を手で押さえていた。

「章、この格好、ちょっと変かな」
 凪はそう言いながらくるっとターンしてみせた。めくれ上がった裾から秘部が見えそうになる。
「へ、変なはずない。というか、めっちゃ色っぽい。色っぽすぎる。俺はもう……」
 章の声は上ずっている。彼の頭は凪とセックスすることだけで占められていた。

「章も服を脱いで」
 手かせをはめてしまうと服が脱げないので、凪はそうお願いした。その声に操られるように服を脱ぎだす章。露わになっていくそのたくましい体が凪は好きだ。これほどの体になるぐらいきつい仕事を毎日しているのかと思うと、凪は章に対して尊敬の念を抱いてしまう。そして、尊く美しいと思う。
 凪が近付くと、全裸になった章は少し震えていた。大きくなっていた彼の陰茎は一気に萎えて、きつく目を閉じて俯いている。

「大丈夫だから。章は私を傷つけたりしない」 
 章を見上げながら凪は章の両手首に手かせをはめた。章はゆっくりと目を開ける。凪は少し背伸びをして彼の首筋にキスをすると、みるみる内に章のものは大きくて硬くなる。
「元気ね」
 愛おしいと言わんばかりに、勃ち上がった彼のものを凪が撫でた。
「レバーステーキを食ったからな。凪が望むなら何回でもできそうだ」
 嬉しそうに頬に染める章がとても可愛いと凪は思う。
「毎日お仕事ご苦労さま。こんなにすごい体になるぐらい大変なお仕事をしているのよね。感謝の意を込めて、私をプレゼント」
 そう言うと凪はエプロンを取り去った。落とした照明に白い体が浮かび上がる。章はその美しい体に魅入られていく。


 仰向けに寝た章の横に手をついた凪は、彼の体を胸でこするようにして体を動かしていた。
 直接手を触れて愛撫ができない章だったが、目は凪がほしいと、凪がいなければ生きていけないと、狂おしいまでに求めている。
 章のその目が凪を煽る。こうして肌を触れ合うことで十分濡れていた。

 章の口元に凪の乳房が近づいてきた。呼び込むように舌を出した章は先端を舐め上げた。
「あ、ん」
 凪はこらえられず声を出してしまう。
「胸が欲しい」
 章の求めに逆らえず、凪は彼の口元に胸を差し出した。途端に章は口に含む。彼の舌は凪に快楽を与えようと必死に動いていた。

「あ、あきら、気持ちいい」
 ゴボッと音を立てて愛液が流れ出るのがわかるほど凪は感じていた。章に愛されていることで体も心も満たされていく。荒い息を繰り返している凪の体を、快楽が突き抜けるように走り、そしてイッた。

 腕に力が入らず凪は章の体の上に身を重ねてしまった。
「ごめん。私だけ先に気持ちよくなって」
「凪をイカすことができたのなら、俺は嬉しい。凪、とっても可愛かったから」
「章、私は章のことがとっても好き。だから、こうして章に触れるだけで気持ちいい」
「俺も凪が大好きだ」
 凪は嬉しくて章の厚い胸を抱きしめた。



「今日はね、妊娠しにくい日なの。だから、このまましよう。万が一赤ちゃんができても大丈夫だよね」
 章が工業高校を卒業する来年年4月には結婚する予定になっている。今妊娠すればちょうど安定期に入る時期だ。内々で挙げる予定の結婚式には支障はないと凪は思う。
「もちろんだ。凪の子どもなら何人でも欲しいから」
 ゴム無しで凪と繋がることができる期待で益々章のものは猛り、透明な液が滲み出てきていた。
 章の腰の上にまたがり、自らの蜜を彼の陰茎に塗りつけて凪はそっと根本を握った。そして、自らの秘裂に導くようにして身をゆっくりと落としていく。

「はぁ、信じられないくらい気持ちいい。俺、凪に初めてしてもらった時、これ以上気持ちいことは世の中にないと思っていたけど、違った。凪の中は暖かくて直接締め付けてきて」
 章の目が快楽に細められ、息が荒くなっていく。凪がゆっくりと動きは始める。時に激しく円を描くように、また、緩やかに上下に。
 
 こうして恋人たちの夜は更けていく。

 
 日付が変わり勤労感謝の日が終わる頃、何度めかの章の吐精を受け止めた凪は、息も絶え絶えになりながらレバーステーキは危険過ぎると思っていた。
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