スキルメーカー ~運命を変えた非常識なスキル~

いけお

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第7話 今回の事件の謎

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「確か・・・冒険者ギルドはこの辺りに在るって聞いたんだけどってあそこだ!」

ウィルはイワンの店を出てから迷子になりそうになった、そこで住人の人に聞きながらようやく冒険者ギルドに辿り着いた。

「中はどうなっているのかな?」

恐る恐る入ってみると、中には数人の冒険者らしき者が掲示板に張り出された紙を見ている。どうやら、あれに冒険者への依頼が書かれている様だ。

(とりあえず、この街で依頼を受けるつもりは無いし当初の目的のスキルだけでも幾つか身に付けておく事にしよう)

そう考えながら、受付に座っている女性に声を掛けてみる事にした。

「こんにちわ」

「あら、こんにちわ。見ない顔だけど今日はどんなご用件で?」

「兵士の方にここの修練所でスキルを教えてもらう事が出来ると聞いてきたので」

「あの・・・あなたは冒険者なのですか?」

「はい、この間カサッポから出てきたばかりですが」

「では、まだ正式な冒険者として登録されてない様ですね。正式に登録された方で無いとスキルを教える事は出来ませんので」

「そうなんですか?」

そこまで受付の女性と話をした所で奥で聞き耳を立てていたらしい冒険者達が堪え切れなくなったのか笑い出した。

「おい見ろよ!登録も知らずにスキルを教えて貰えると思っていやがるよ!?」

「そう言うなって、カサッポみたいな田舎町から遥々やってきたんだ。何かスキルの1つでも身に付けて帰らないとこの先食っていけないだろう?」

「おい坊主、良かったな!オーク達が街に来る前に中に入れていて。お前みたいな冒険者気取りしてる奴何ざオーク1匹すら相手出来ずに逃げるしか無いからよ!?」

あまりにも小馬鹿にした態度に腹が立ったウィルは、自分のした事を正直に話した。

「俺がシェルナーグに来たのは昨日、そこで街を襲っているオークの軍勢を倒すのにスキル無しで戦った所為で時間が掛かったから覚えた方が良いと思ってきたの!」

「ははは、ホラ吹いているんじゃねえよ!スキル無しでどうやってオークを倒せるって言うんだ!?」

「だから、時間が掛かったって言っているでしょ。お陰で折角母ちゃんから貰ったロングソードも折れちゃうし踏んだり蹴ったりだよ」

ウィルの言葉を聞いても冒険者達は信用しようとはしなかった、しかし受付の女性だけは顔面を蒼白させている。

「おい、受付の姉ちゃん。こんなホラ吹きを冒険者にしちゃいけねえよ、俺達が代わりに坊主を追い出してやるから安心しな」

奥に居た冒険者の1人がウィルを追い出そうと近づいてくる。その手がウィルに届きそうになった時、受付の女性はようやくショックから立ち直り話す事が出来る様になった。

「事実です」

「はあ?どうかしたのか姉ちゃん!?」

「いえ、ですから事実なんです!先程、今回のオークの軍勢を壊滅させた冒険者に関する情報が入ってきたのですがその戦闘内容があまりにも異常な為に口止めされていたのです」

「おいおい、冗談だろ!?」

「冗談なんかではありません!?失礼ですが、今朝あなたは何かなさいましたか?」

「何かって負傷した人達を治療した事?」

「・・・・報告書に記載されている通りです、今朝昨日の襲撃で負傷した人全員をその冒険者が治療したとあります」

中に居た冒険者達も徐々に気が付いた、目の前に居る田舎から出てきたと言う駆け出しの若造が実際に対峙すれば勝てる見込みの無い化け物だという事に。

「坊主・・・本当にお前1人であのオークの軍勢を倒したって言うのか!?」

「だからさっきから言っているでしょ!人を信用出来ない人はいつか痛い目に遭っても知らないよ!?」

(こんな馬鹿正直な奴が1人でオークの軍勢を!?しかもスキルも無しで!!)

うろたえ始めた冒険者達、それを無視する様に受付の女性がウィルに近寄ってきた。

「大変失礼いたしました、冒険者登録も含め今回街を救ってくれたお礼をギルド長本人の口から言いたいそうなので奥の部屋まで来て頂けますか?」

「うん、分かった」

ウィルと受付の女性が奥に消えると冒険者達は慌ててギルドを飛び出した。

「おい、ここに居るのはマズくねえか!?」

「当たり前だろ!スキルも持たずにオークの軍勢を倒しちまう様な奴がスキルをもしも使ったらこの建物だってどうなるか分かったもんじゃない!?」

「下手するとこの街自体吹き飛ぶんじゃねえのか!?」

「とにかく、街から一旦離れるぞ!!」

冒険者達が逃げ出している事など知らないウィルは奥の部屋でギルド長を名乗る男からお礼を言われていた。

「今回はシェルナーグを救ってくれて感謝する、俺がここシェルナーグの冒険者ギルドのギルド長を任されているジェイクだ」

「俺の名はウィルと言います、まだよく知らない事ばかりでご迷惑を掛けるかも知れませんがよろしくお願いします」

2人は軽く握手を交わした、そしてジェイクに来客用のソファーに座る様に促されそれに従う。

「正直、君が来るのがあと半日遅かったらこの街はオーク達に蹂躙されていただろう。命を落とした者も居なかったし本当に奇跡としか言いようが無い」

「俺はただ自分に出来る事をしただけです」

「あれだけの事をして、事も無げに話せる時点で君は最早異常な存在だ」

イワンの時と同様に化け物みたいに言われている様でウィルの機嫌は少し悪くなった、それに気付いたジェイクが慌てて訂正する。

「言い方が少し悪かった、誰も君を化け物呼ばわりしている訳じゃ無いんだ。それだけの強さを持ちながらこれまで無名でしかも正式な登録をしてこなかった事がありえなくてね」

ジェイクの言っている事は尤もだった、何しろウィルはついこの間まで町の外のスライムさえ倒す事が出来なかったのだから・・・。

「そういえば、ウィル君。君はスキルを覚えたいと受付に話したそうだが本当かい?」

「ええ、そうです。あのオークとの戦いでスキル無しで戦った所為で時間が思った以上に掛かってしまいました。スキルを使う事が出来れば負傷者の数をもっと減らせたかもしれないと思ったので」

「その心がけは大変素晴らしいとは思う、だが君はスキルをあまり多く持つべきでは無いと俺は考える」

「どうしてですか?」

「うむ、スキルに関して知っておいて貰いたいのはその威力がステータスに大きく依存される事だ。スキルはステータスの数値を掛け算した様な物で高レベルのスキル程その倍率は上がっていくがステータスそのものが低ければ威力もそんなに大したことは無い」

「・・・・・」

「だが、君の様に明らかにステータスが異常に高いと分かる者がスキルを使えばどうなるか?例え初級のスキルだとしても並みの冒険者が使う最上級のスキルの威力さえ簡単に上回ってしまうだろう」

「ならば力を抑えれば問題は解決するのでは無いのですか?」

「攻撃で使うスキルの長所でもあり欠点は、力加減が出来ないと言う事なんだ。とにかく使用するスキルの最大限のダメージを与える為に全力を出させる、もう俺が言おうとしている事に気付く頃だと思うがもしも範囲系のスキルを君が覚えていてあの時にオークに向け使っていたら今頃この街はどうなっていただろうか?」

想像するだけでぞっとする光景が思い浮かんだ、きっとオーク達だけではなくシェルナーグの街にも被害を及ぼしていたかもしれない。

(威力がステータスに依存されるのなら普通のスキルを覚えるのは得策じゃないな、与えるダメージに上限を設けるかしないと・・・あっ!?それなら一定以上のダメージを出さないスキルを自分で作れば良いじゃないか!)

ウィルはこの場でスキルを作る事も出来たが、その場面を見せると問題が起きると思ったので止めた。それよりもジェイクの問い掛けに答える方が先決だ。

「俺の考えが浅はかでした、もっとスキルの事を知っていればギルド長さんにご心配掛けずに済んだのに」

「俺の事はジェイクと呼んでくれて構わない、おそらく君の方が俺よりも遥かに強いだろうしね。君みたいな若者が冒険者として増えてくれると要らない騒ぎも減ってこちらも助かるだろうに」

ジェイクも色々と悩みを抱えているようだ、さっきの冒険者達もそうだったが人格的に良くないのも多いのかもしれない。

「とりあえず、冒険者の正式登録だけでも済ませておこう。そして今回の功績を公表すれば君は即座に勇者の仲間入りだ、もしかしたら【騎士】となる事も可能かもしれないぞ」

「騎士?」

「騎士も知らないのか?騎士というのはな、国や貴族に直接雇われた冒険者を指す名称だ。勇者を引退した者や勇者と同等の力量を持つ者が国や貴族の目に留まり直接声を掛けられて雇われる。一般の冒険者とは遥かに裕福な生活を保障され関所をそのまま通り抜けられたりと特権も多い。騎士のバックには国や貴族が後ろ盾で居る訳だからこちらから喧嘩を売るべき相手では無いな」

「聞く限りだとお偉方の顔色を伺う窮屈な生活になりそうだから、騎士になりたいとは思えませんね。あと俺はこの世界の国々の事など知らない事が多過ぎるから世界を回るつもりでいます。だからシェルナーグも数日で出ようと思っています」

「そうか、優秀な冒険者にはこの街にぜひ留まってもらって名を馳せてもらいたい気持ちもあるが君の様な者は国の枠に収まるとも思えないしな。気が向いたら、またこの街に立ち寄ってくれ」

「そうします、色々と教えて頂きありがとうございます」

ウィルはジェイクに頭を下げた、その素直さに気を良くしたのかジェイクは誰にも話していない情報を教える事にした。

「ここだけの話だが、君の胸の内に閉まっておいてくれ。実は昨日のオークの軍勢なのだが前日まで周囲を監視している者達が誰も見ていないんだ。あれだけの数が近付いて来る以上どんなに遅くても前の日には発見される筈、それなのに誰も見ていないんだ」

ウィルも気にしていた事だが、突然目の前に現れたとしか考えられない。

「もしかしたら、この国の中にあれだけのオークの軍勢をいとも容易く召喚出来る術者が紛れ込んでいるのかもしれない。気を付ける事だ」

何か不気味な存在が動き始めようとしている、そんな予感をウィルは感じていた。
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