異世界に飛ばされたら守護霊として八百万の神々も何故か付いてきた。

いけお

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第2話 守護霊という名のチート集団

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「天照って天岩戸(あまのいわと)の伝説から女性のイメージが強かったけど実際は男性だったのか」

俺は目覚めると神様の実物を見る機会なんてこれまで無かったので、物珍しそうにジロジロ見ていた。

(性別は特に無いよ、君的に女性の方が良いのなら今すぐ変わってあげるよ)

すると天照の身体が急に光り出しそれまで神主の格好の青年だったのが、徐々に巫女服を着た若い女性に姿を変えていった。

(やっぱりこちらの方が良いみたいね、目の色が明らかに違うから)

「し、仕方ないだろ!まさか、こんな綺麗な女性の姿に変わるなんて思わなかったから・・・」

(そう言って貰えると姿を変えた甲斐が有ったってものね、これから宜しく頼むわね護さん)

「ああ、こちらこそヨロシク。そういえば、八百万の神って宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)とか大勢居るんだったな。全員の名前覚える自信が無いんだけど」

(正式名称なんて覚える必要なんて無いわよ、八百万の神は文字通りありとあらゆる物に宿り司る神の集まりだから適当にこんな神様居る?って聞いてくれれば大体居るから)

「そんな簡単な呼び出し方で良いの!?」

あっけらかんとした天照の言葉に面食らってしまった。

(無限に近いだけの数存在している神の名前なんて、私だって覚えきれないわよ。ありとあらゆる災難や問題からあなたを守ってくれる存在が背後に控えていてくれると考えればどう?)

「そっちがそれで良いなら、そうさせて貰うよ。その方が俺も助かる。じゃあさ、早速だけど今まで動物とか捕まえた経験無いんだけど狩猟の神とかって居るの?」

(居るけど、もっと手っ取り早い神も居るわよ。食べ物の神カモーン!)

おい!?なんて軽い呼びだし方をするんだ天照。女性の姿に変わって明るくなったのか変になったのか表現しづらくて正直困る。

『天照、私にも大気津姫神(おおげつひめのかみ)という立派な名前が有るんだから最初くらい名乗らせてくれてもいいじゃないか!?』

(じゃあ、あなただけね。今後呼び出す人達は面倒くさいから正式名称では呼びませんからそのつもりで~!)

『『『え~!!そんな~!?』』』

背後から様々な男女の声でブーイングが聞こえてきたが無視する事にした、実際全員に名乗られたら頭の中がパンクしてしまう!

(それじゃあ、食べ物の神。護さんに食べ物を出してあげて♪)

『結局名乗らせてもらえないのか・・・。護、これから食べ物が欲しくなったらいつでも呼んでくれ。和洋中にイタリアン、更にはイギリス料理も極めているから好きなメニューやコース料理も自由自在だ!』

はい、食糧問題がいきなり解決しました。お腹が減ったらいつでも食べ物を出して貰えるってこの世界で働く必要性が半分無くなった様に思えるのは気のせいだろうか?

「食べ物の心配は無くなったから、次は寝床を確保しないとな。暗くなる前に寝るのに丁度良さそうな場所を探すとするか」

(探す必要は無いですよ、家の神カモーン!)

また軽い口調で呼び出す天照、もう深く考えるのは止そう。

『天照はこんな感じだからショックを受けたかもしれないが許してやってくれ、そんな訳で私が家の神だ。こちらに飛ばされる前まで住んでいた家と同じ物をここに建てようじゃないか』

え、今なんておっしゃいましたか!?質問をする前に目の前に住んでいた家をそのまま移築した様な家が出来上がっていた。

(これで寝る場所も確保出来ましたね、付近の集落を探すのは明日以降にして今日のところはまずゆっくり寝て疲れを癒す事から始めましょう)

ちなみに・・・夜にモンスターから襲われない様、結界の神が家の周りにバリアーを張ってくれていたらしい。翌朝目が覚めると、俺の隣で天照が寝ていた。姿は半透明のままだが、年齢=彼女居ない歴の俺には刺激が強すぎたので反射的に大声をあげてしまう。

「うわあああ!?な、なんでお前が俺の布団の中に居るんだよ!」

(ふわあああ・・・よく寝た。あら、おはようございます護さん。あなたの寝顔を見ていたらついつい隣に入って寝てました)

「心臓に悪いので今後は止してくださいお願いします」

(仕方ないですね、でも一緒に寝て欲しくなったら何時でも言ってきてくださいね)

「誰が言うか!?」

朝食も食べ物の神が全て用意してくれ食べ終わり家を出ると、家の神が昨晩寝ていた家を消していた。

『これ位なら何時でも出せるし残しておいても邪魔になるから消しておきました』

だそうだ、気にしてもしょうがないので森を出て集落を探す事にした。森の中を進む事約1時間、やっと森を抜けて外に出る事が出来た。明るい日差しと共に目の前には草原が広がっている、涼しい心地よい風に乗って草の香りも届きまるで北海道の広い牧草地の中に1人で居る様な錯覚を感じた。

「涼しくて気持ちいいな、昨日までの仕事に追われていた生活が嘘の様だ」

(我々もこんな綺麗な光景を見るのは久しぶりなので、感動しています)

「北海道とか似た様な景色が今も広がっていると思ったけど、やっぱり違う?」

(そうですね、人工的に作られた景色と自然のままの姿とではやはり天と地の差があります。日本人も昔はこんな景色を大切に残してくれていたのですが、時代が進むにつれ徐々に失われていきました・・・)

神話の時代からずっとこの日本を見つめてきた者の言葉の重みを感じた。気を取り直し草原を進み始めて、日も暮れようかという頃になってやっと小さな集落が見えてきた。

「やっと集落が見えてきたよ、今晩は食べ物と引き換えに一晩の宿を借りる事にするか」

そう言いながら集落に入るものの、集落の空気が何やら沈んでいた。

「こんばんわ、付近を旅している者ですが持っている食べ物と引き換えに一晩の宿をお借り出来ないでしょうか?」

近くに居た中年の男性に声を掛けてみるが、重い口調で

「空き家が何件も有るから適当に見つけて泊まるといい。これからこの村を捨てて隣の大きな町に移り住むべきかの大事な話し合いをするので、あんたに関わっている時間は正直言って無いんだよ」

「もしかしたら、何かお役に立てるかもしれません。突然入るのは失礼かと思いますが自分も参加させて頂けませんか?」

「変わった奴だねあんたも、村長には俺から説明するから話に加わってくれ」

「ありがとうございます」

話し合いに参加させて貰うと、予想通りというかここは過疎化が進み若い者が誰1人居ない状態になっていた。そしてこちらの世界では観光という考えも無かった様で素晴らしい景色を活かした村おこし等は行われてこなかった。

「では、もしもこの地に隣の町にも無い魅力的な物が出来れば村を捨てる必要は無くなるという訳ですね?」

「ああ、その通りじゃがご覧の通り何も無い村じゃよ」

村長は半ば諦め気味な返答をしてきた、だが俺にはこの景色を活かして村を活性化させる名案が浮かんでいた。

「村長、この村に温泉を使った露天風呂を作りましょう!」

「オンセン?なんですか、それは」

「ええとですね、地面深くに貯まっている水が地中の熱で温められた物を温泉と呼びます。大地の恵みを秘めている温泉は疲労や傷を癒す効果が有ります、そしてこの目の前に広がる雄大な景色を眺めながら風呂に入る事が出来るのならそれは村に人を呼び込むきっかけになると思いませんか?」

「そ、そんな事考えた事も無かった!あんたにはそれが出来るのか!?」

「ええ、多分出来ます。お礼はこの景色をこれからも壊さずに守っていってくれれば十分です」

「ぜひお願いします、草原の景色を損なわない事を村の者全員約束しますので」

「わかりました、お~い天照。温泉の神と露天風呂の神が居たら呼んでもらえないかな?」

(我々の力をこちらの世界の住人の為に使おうというのですね、いいでしょうその願いを叶えて差し上げます。豪華和風温泉旅館の神カモーン!)

ありとあらゆる物に神が宿ると言っていたが、豪華和風温泉旅館にも神が宿るのかよ!?

『ふむ呼ばれた時は流石に驚いたが、この景色とこの空気は確かに我の力を示す場所として相応しい!男女別の大浴場と露天風呂、混浴風呂もサービスで加えておこう』

思っていたのと違う方向に進んでしまったが、この村に突如巨大な温泉施設が誕生した。名前も言わずに立ち去った護を村人達は神が村を救う為に姿を現したのだと深い感謝と共に約束を守り続ける事を誓ったのだった。そして景色を眺め楽しみながら源泉掛け流しの風呂に入れる上に身体も癒せる事が評判となり数年もしない内にこの村はこの世界で最初の観光地として名を残す事となる。更にこの村から【オンセン】・【ダイヨクジョウ】・【ロテンブロ】・【コンヨクブロ】という新たな言葉が広まっていくのだがそれを護や神達が知る由も無かった。
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