詞詩集

鳥丸唯史(とりまるただし)

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飛行機雲

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どこまでも続いている
レールの行く先を指でなぞってく
果てしなさに胸を躍らせて
いつも屋上から海のような空を見て
ほら ほら飛行機雲が空を割ってく

笑い合って 泣き合って 肩を抱き合った
旅立ちを生むこの地に夢をいっぱい埋めておくんだ
ずっと履いてた古臭い靴を置き去りにして
いつかあの列車に飛び乗るんだ
僕は十五歳

どうすれば飛べるかを
教科書見ているだけじゃわからなくて
模型ばかりに手をつけていて
いつも爪先が汚れて怒られたりして
ほら また飛行機雲が空を割ってく

涙があって 愛があって 本気でケンカした
わかってくれないと思い込んでいた夢投げ合って
父から借りた本の裏には数式の落書き
どうやら同じ時に悩んでいたみたい
僕らの成長期

行けるかなこの足で しっかりと踏みしめて
ほら ほら飛行機雲が空を割ってく

笑い合って 泣き合って 肩を抱き合った
旅立ちを生むこの地に夢をいっぱい預けておくんだ
十年経ってもこの町には希望があふれて
いつか僕は笑顔で帰ってやるんだ
僕は十五歳
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