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51.ある提案
しおりを挟むディミドラが逃げ切れないと言うことは、はっきりとわかったのだが、だからといってディミドラに、団長を好きになってもらうように協力するのは納得できなかった。それは団長が自分でやるべき事だからだ・・・。
人に言われて変わるようではダメだろう。自分でディミドラに気に入られるように、気づかなければならない。団長とディミドラの問題だ。
今は、2人の事はなるべく気にしないようにする事にするため先程の話に戻る事した。
「チョコを渡す習慣があるとは知りませんでした。ゾディアス様もよく貰うのですか?」
「いや、俺は甘いものは苦手だと言って断っている。団長はよくもらっていたな。そういうものには大抵メモも入っているからな。仕事が終わったらフラリとどこかに行っていた」
「その話は、デラにはしないで下さいね。団長の評価がさらに下がって面倒くさくなりそうですから」
ゾディアス様も理解しているようで頷いて了承される。
「でも、番しか無理な状態なのですから、チョコレートを食べても大丈夫なんじゃないですか?折角作ったから味見くらいしてもらえると嬉しいんですけど・・・。まあ、無理にとはいいませんが」
ゾディアス様は考える素振りをされ、チョコレートを口に入れられた。
「どうですか?大丈夫そうですか?」
「即効性ではないからな。だが、味はうまい」
「あの、この状況で聞くのもなんですが・・・例えば、その、この間嗅がれていたハンカチがありますよね。あれを嗅ぎながら、その、別の人と致す事とかはできたりしますか?」
リンジェーラはゾディアス様に直球ではあるが問いかけてみた。聞くのに少し羞恥は勿論ある。
「それは・・・そんな事を許可する女性がいるか?違う人を思いながら、代わりに抱かれるなんて虚しいだけではないのか?」
ゾディアス様は、出来ないとは言わなかった・・・。相手の女性に対して失礼ではないかと、女性の心理を考える答えが返ってくる。
「そうかもしれませんが・・・、一夜かぎりでも、それでも抱かれたいと思う女性もいるかと思います。何度も関係を持てば心もほしくなり虚しくなるかとは・・・思いますが・・・」
「それは・・・抱いて欲しいということか?」
ゾディアス様が意外というような表情で、リンジェーラに聞いてくる。
「ッ、違います・・・。私は心が伴わない行為はしたくありません。ただそう思う女性もいるから、ゾディアス様の意見を聞いているのです」
リンジェーラには抱かれる気はない。リンジェーラは処女だから破瓜してしまえば、血が出て番だと気づかれてしまう・・・。
「やった事はないから、なんともいえないな・・・。だが、番の姿をしっかりと認識すれば、番と以外はできなくなるだろう・・・」
「口付けもですか?」
「できない事はないだろうが、団長は嫌がっていたからな。無理だろうな・・・」
「あの時、私に口付けられたのは、番の姿を認識していないから大丈夫だっただけってことですね」
「それと、あの時は嗅覚も使えなかったからな。口付けくらいなら可能だ」
リンジェーラはなんだが、ゾディアス様の口付けくらいならの発言にムカムカした。だからか、普段なら言わないことも口にしてしまっていた。
「なら、私と試してみませんか?今後番が見つからなかったら、番以外でも行為自体が可能なのかどうか、今もハンカチ持ってらっしゃるのでしょう?でないと、今後試させてくれる人なんていないかもしれませんし、いたとしても、出来なかったら口外される可能性もあります」
リンジェーラは最後まではする気はないが、ゾディアス様の発言に苛立ちながら、自分で試させてあげると提案してみるのだった。
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