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18話 冒険者ギルドマスターはイケメン
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しばらく待つこと10分ほど。
やる事もなく手持ち無沙汰になり、宴会の始まった冒険者ギルド内に併設された酒場をぼーっと眺めていたところで、肩を軽く叩かれた。
「カズマさん!」
「――お、おう!」
「いきなり驚かないでください。それよりも大丈夫ですか? 何だか、どこか空中をボーッと眺めていたみたいですけど」
「やる事がなくなって無心になってただけだら」
「そうなのですか? それなら依頼書でも眺めていたらよかったのに……」
「そ、そうだな……」
たしかに、その通りだな。
「はい。あと、ギルドマスターがカズマさんに会いたいとのことです」
「やっぱりか……」
「はい。今からですが、大丈夫ですか?」
「そうだな」
幸い、冒険者ギルドに集まっている冒険者たちの中で、俺に対して感心を向けているやつはいない。
俺が飯と酒を今回奢ると宣言したので、食べることに注視している感じだ。
冒険者ギルドの受付嬢であるローリエさんに案内されて冒険者ギルド建物内を歩く。
途中で何人かのギルド職員の制服を着た人間とすれ違ったが、俺を敵視することも感心を示すこともなく横を通りすぎていく。
「ギルドマスターと面会する人間は少なくはないのか?」
「え? どうしてですか?」
足を止めてローリエさんが、俺の方を見てくる。
「いや、部外者の俺が建物内を歩くことに何のリアクションも示さないから」
「ああ。そういうことですね」
俺の言い分に、彼女は納得したように頷く。
「ここは一応は王都の冒険者ギルドですから、在籍している冒険者もSランクまで居ます。そのため、Sランククラスの冒険者とは、依頼に関して色々とありますから、よくギルマスの部屋までの通路は冒険者が通るのです」
「それで、俺みたいな冒険者が通っても反応を示さなかったということか」
つまり見慣れた光景と言ったところだから、俺に興味を抱かなかったと。
それなら納得はできる。
――コンコン
「ローリエです。冒険者カズマさんをお連れしました」
「入ってくれ」
室内から重厚な声色が扉越しに聞こえてくる。
扉はローリエさんが開けてくれる。
室内に入れば、中は綺麗に纏められていた。
俺が想像していたのは書類などが高く積まれているような机で必死に書類仕事をこなしている冒険者ギルドマスターであったが、予想からは完全に外れていた。
「(この人が、冒険者ギルドマスターか……)」
俺は机の前まで歩みを進めたところで足を止めて、目の前の男を見る。
年齢は20代後半と言ったところ。
衣服は、かなり上質なモノであり赤を基調とした服装。
さらに肩口の白いパッドには金の刺繍が施されており、アクセントになっている。
それだけでなく、金髪碧眼という、ヨーロッパ人を彷彿とさせるような造形であり、筋肉質と言った様子も見受けられてない。
「(俺が物語で知っている冒険者ギルドマスターは歴戦の戦士って風貌なんだけどな……)」
思わず心の中でツッコミを入れていると――、
「カズマ君で良かったかな?」
「はい」
「ふむ。私は、アルバード・フォン・グレイスと言う。この王都カーネルの冒険者ギルドマスターを任されている」
こちらを値踏みするかのような視線を俺に向けながら冒険者ギルドマスターは、俺に自己紹介をしてきた。
やる事もなく手持ち無沙汰になり、宴会の始まった冒険者ギルド内に併設された酒場をぼーっと眺めていたところで、肩を軽く叩かれた。
「カズマさん!」
「――お、おう!」
「いきなり驚かないでください。それよりも大丈夫ですか? 何だか、どこか空中をボーッと眺めていたみたいですけど」
「やる事がなくなって無心になってただけだら」
「そうなのですか? それなら依頼書でも眺めていたらよかったのに……」
「そ、そうだな……」
たしかに、その通りだな。
「はい。あと、ギルドマスターがカズマさんに会いたいとのことです」
「やっぱりか……」
「はい。今からですが、大丈夫ですか?」
「そうだな」
幸い、冒険者ギルドに集まっている冒険者たちの中で、俺に対して感心を向けているやつはいない。
俺が飯と酒を今回奢ると宣言したので、食べることに注視している感じだ。
冒険者ギルドの受付嬢であるローリエさんに案内されて冒険者ギルド建物内を歩く。
途中で何人かのギルド職員の制服を着た人間とすれ違ったが、俺を敵視することも感心を示すこともなく横を通りすぎていく。
「ギルドマスターと面会する人間は少なくはないのか?」
「え? どうしてですか?」
足を止めてローリエさんが、俺の方を見てくる。
「いや、部外者の俺が建物内を歩くことに何のリアクションも示さないから」
「ああ。そういうことですね」
俺の言い分に、彼女は納得したように頷く。
「ここは一応は王都の冒険者ギルドですから、在籍している冒険者もSランクまで居ます。そのため、Sランククラスの冒険者とは、依頼に関して色々とありますから、よくギルマスの部屋までの通路は冒険者が通るのです」
「それで、俺みたいな冒険者が通っても反応を示さなかったということか」
つまり見慣れた光景と言ったところだから、俺に興味を抱かなかったと。
それなら納得はできる。
――コンコン
「ローリエです。冒険者カズマさんをお連れしました」
「入ってくれ」
室内から重厚な声色が扉越しに聞こえてくる。
扉はローリエさんが開けてくれる。
室内に入れば、中は綺麗に纏められていた。
俺が想像していたのは書類などが高く積まれているような机で必死に書類仕事をこなしている冒険者ギルドマスターであったが、予想からは完全に外れていた。
「(この人が、冒険者ギルドマスターか……)」
俺は机の前まで歩みを進めたところで足を止めて、目の前の男を見る。
年齢は20代後半と言ったところ。
衣服は、かなり上質なモノであり赤を基調とした服装。
さらに肩口の白いパッドには金の刺繍が施されており、アクセントになっている。
それだけでなく、金髪碧眼という、ヨーロッパ人を彷彿とさせるような造形であり、筋肉質と言った様子も見受けられてない。
「(俺が物語で知っている冒険者ギルドマスターは歴戦の戦士って風貌なんだけどな……)」
思わず心の中でツッコミを入れていると――、
「カズマ君で良かったかな?」
「はい」
「ふむ。私は、アルバード・フォン・グレイスと言う。この王都カーネルの冒険者ギルドマスターを任されている」
こちらを値踏みするかのような視線を俺に向けながら冒険者ギルドマスターは、俺に自己紹介をしてきた。
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