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16話 アイテムボックスはレアスキル!

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「どうかしましたか?」

 冒険者ギルドの受付女性が、俺の顔色を伺うようにして話しかけてきた。

「い、いえ……なんでも……」
「それでは、採取頂きました薬草を提示して頂けますか?」
「分かりました」

 アイテムボックスから薬草を取り出す。

「――あ、アイテムボックス持ちですか!?」
「え? 何か、問題でも?」
「問題も何も――、アイテムボックススキルを有しているのは、1000人に一人くらいの割合ですよ!」
「あ……」

 そうなのか……。
 たしかに異世界に来た当初は、俺もアイテムボックスは持っていなかったからな。
 
「もしかして貴重なスキルだと知らなかった……とか?」
「そうですね。田舎育ちなので」

 今度から気を付けよう。
 いや、すでに冒険者ギルドの中に集まっている人たちから視線を向けられているから、いまさらか……。

「分かりました。それでは確認致しますね」

 アイテムボックスから取り出した薬草をカウンターに並べおわり、受付女性が薬草をチェックしているが、その顔色はドンドン悪くなっていく。

「あ、あの……カズマさん?」
「はい」
「これって、どこで生えていましたか?」
「王都近くの大草原で」
「本当ですか? それが本当だったら大問題なのですが……」

 大問題なのかー、何だかする事為すこと、全てが問題になっている気がするな。

「嘘偽りは言っていません!」

 まぁ採取スキルが仕事をしたが、それを馬鹿正直に言うほど、俺は愚かではないので。

「そうですか……」
「やけにあっさり引き下がりますね」
「嘘と真実を見極める魔道具が何の反応も示しませんでしたから」
「そんなものが……」

 つまり嘘の報告をして稼ごうとする輩を排除しているということか。

「はい。それにしても、上級薬草が王都周辺で生えているなんて初めて聞きました。むしろ目にしなかったら信じられないところです。それで、一応は規定の5本という事でしたが、1本が金貨1枚となりますので、全部で金貨5枚となりますと言いたいところなのですが――」

 そこで言い淀むギルドの受付女性。

「つまり失敗という事ですか?」
「はい……。ただ――、これらを銅貨5枚で卸して頂き、普通の薬草として納入して頂くのでしたら……」
「なら、それでいいです」

 とりあえず、まずはクエストクリアを最優先にしないと。

「え? 本当にいいのですか?」
「もちろんです」

 まぁ、まだ在庫はたくさんあるし何の問題もない。

「分かりました。それでは、これでクエストはクリアという事で承らせていただきます」

 手渡した冒険者ギルドカードが手元に戻ってくる。

「そういえば、上級薬草って買取はしてくれているんですよね?」
「はい。もちろんです。もしかして、まだ在庫があるのですか?」
「そうですね」



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