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気になるあの子は×××

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「一ノ瀬くんて、近寄りがたいけどやっぱりかっこいいよね~」
「ね。背高くて頭もいいし、まさに非の打ち所がないパーフェクト男子って感じ」

休み時間でざわつく教室内。近くの女子たちがきゃいきゃいはしゃいでいるのを、橘はぼんやり聞き流す。そして視線をチラリと話題の人物へと向けた。

「休み時間もずっと勉強してるし、ストイックなのも憧れちゃう」
「なんだか大人っぽいよね。学校中の子たち皆振られてるらしいし、同年代には興味ないのかなあ」

一ノ瀬……窓際の一番後ろの席のその男が、橘はずっと鼻についてしょうがなかった。容姿端麗で頭脳明晰、更にスポーツまでもそつなくこなす。ここまで才色兼備な人間などなかなかいない。これでとっつきやすいのならまだしも、誰ともつるむ気はないとばかりに、近寄ってくる生徒らを素っ気なくあしらう。それがまるで周りを見下しているようで、橘は気に食わなかった。お前たちのような低レベルの人間が、俺と同じ土俵に立てると思うなよと、内心そう思っているに違いない。

「……橘?どうした?すごい顔してんぞ?」
「……っ!いや、わり、なんでもない」
「珍しいな、お前がそんなむっつり黙り込むなんて」
「はあ?俺だって物思いに耽るときくらいあるっつの」
「はは、まあどうせこの間振られた元カノに呪詛唱えてたとかだろ」

軽口を叩く友人を教科書で引っ叩こうとしたところで、次の授業の教師が席つけー!と騒々しく教室に入って来た。蜘蛛の子を散らすように周りから生徒が消え、橘は顔を顰めて頬杖をつく。

一ノ瀬……どうにかあいつの弱みかなんかをなんか握れないものか。

橘が向けるどろどろした思いなど露にも知らずに、一ノ瀬は涼しい顔でノートを閉じた。



____________




「はーやべえ、教室まだ開いてっかなあ……」

部活を終え、下校時刻が差し迫った夕暮れの中、橘は慌てて教室へ向かう。スマホを机の中に置き忘れてしまったのだ。一晩といえども、今どきの高校生がスマホ無しで過ごすのはキツい。人気のない校舎を、ひとり必死に駆け抜けていく。

「……っ、はぁ……よかった……」

無事施錠前の教室でスマホを回収し、橘はほっと一息つく。そしてふと、しんとした教室内を見回した。オレンジ色に染まった物寂しい空間で、目が行ってしまったのは一ノ瀬の机だった。

「……?あれって……」

机の中からわずかに覗いたノートに気付き、橘は足をそちらへ向ける。確かこのノートは、一ノ瀬がいつも休み時間にペンを走らせているものだ。多分自習用かなにかだろう。悔しく思いながらも奴がどんな勉強をしているか気になってしまい、橘はそのノートをそっと中から引き抜いた。

そしてパラパラめくり、目に入った文字列にひゅっと息を呑んだ。


【『あひぃ゛ぃ゛っ♡♡もぉ、ぉ゛ッ♡♡むりぃ゛、れしゅっ♡♡ゆぅひ、てぇぇ゛ッ♡♡♡んぉ゛っ、ぉ゛おお゛っっ♡♡♡』
『はは、こんだけあへあへ悦んでイき狂ってるくせに何言ってんだよ。抜かないで♡もっとして♡ってまんこずっとちんぽに絡みついてきてんじゃねえか』
『ひぎっっ♡♡♡い゛い゛ぃ゛ぃ゛♡♡♡しょこぉ゛ッ♡♡らぇ、らえ゛ぇ゛♡♡♡ぐぃぐぃしちゃ、ぁ゛♡♡ほぉ゛、お゛♡♡♡~~~~~~~~~~~~ッッ♡♡♡♡』

ふっくら実ったメスしこりを抉られ、ガクガクガクッ♡と奏汰の身体が震えあがる。もう何回イったかわからない。溶けちゃいそうなほどに全身がずっと気持ちよくて、馬鹿になった頭はセックスのことしか考えられない。そんなあへあへ伸びている奏汰の尻を××はパシンッ!と派手にひっぱたいた。

『んひいぃぃ゛っっ!?♡♡♡はへっ、はぁっ♡♡あ、ぁ゛……♡♡』
『はっ、今のでまたイったのかよ?ほんとどうしようもねえクソマゾだな。おらっ、ちゃんと腰上げろ。俺がイくまで終わんねえからな』
『あ゛ぇっ!?♡♡やっ、やあ゛あぁぁっ♡♡♡しぬ゛っ♡♡しんぢゃぅ゛、からぁ゛っ♡♡お、ねがっ、んぉ゛ッ♡♡ちんぽ、とめてえ゛ぇ゛ぇ゛♡♡♡』

狂ったように泣き喚く奏汰の腰を鷲掴み、××は容赦なく鬼ピストンをかまし始める。凶悪なデカちんぽはモロ感結腸を何度もどつき、瀕死の奏汰を再びアクメ地獄へと突き落とす。もう雄の機能を失った奏汰のちんぽは律動の度に無様に揺れ、しょろしょろとおしっこを撒き散らし始めた。】


「は……?なんだ、これ……?」

えげつない台詞と文章が延々と綴られ、橘は思わず身震いする。そしてしばし呆然としていると、突如ガララッ!と勢いよく教室の扉が開かれた。

「はぁっ、はぁ……っ!…………え?」
「…………」

現れたのは、まさかのこのノートの持ち主である一ノ瀬だった。汗を浮かべた端正な顔は、橘とその手の中にあるノートを見るなり、一気に真っ青になった。見られた……終わった……絶望感で頭がぐわんぐわん揺れ、一ノ瀬はその場に崩れ落ちた。

「……なあ、これ、お前がいつも休み時間にせこせこ書いてるやつだよな?」

膝をつく一ノ瀬の元へ橘が近づき、言葉を落とす。しかし現実を受け入れられない一ノ瀬はうんともすんとも言わず、項垂れたままである。痺れを切らした橘は腰を下ろし、顎を掴んで無理矢理顔をあげさせる。

「おいド変態、質問にちゃんと答えろ。まあ、その様子じゃお前が書いたもんに違いないみてえだな、これ」
「……っ!」

にやりと笑いながらノートを掲げられ、一ノ瀬は見開いた目を羞恥で潤ませた。その表情に橘の背筋がゾクリと震え、気分が昂ぶっていく。あのスカした一ノ瀬を、追い詰めている。見事に弱みを握った橘は、興奮のまま一ノ瀬を追撃する。

「まさかお前が、まんま自分を主人公にしたエロ小説書いてるド変態だったとはな。澄ました顔して、年がら年中エロいこと考えてたんだな」
「っ、ち、が……!」
「違くねえだろ、わざわざ学校にまで持ってきてよ。つかお前のことだし、こんな健全な場所でこんなもん書いてるの、さぞかし興奮してたんじゃねえの?」
「……っ!」

図星とばかりに青白い顔がほんのり染まり、不覚にも橘はドキッとしてしまう。こいつほんと、無駄に顔いいよな……初めて見る一ノ瀬の様々な表情に、橘の内に密かに邪な感情が湧き上がる。

「これ、他の奴らにバレたらどうなるだろうな?休み時間も勉強してて素敵なんて言ってた女子なんかが知ったら、幻滅どころの騒ぎじゃねえぞ」
「……ぅ、……」

脅すように言えば、潤んだ目で縋るように見上げられる。橘の嗜虐心が煽りに煽られ、思わず軽薄な笑い声が零れた。なんて最高の日だろう。にやけが抑えられない橘は、力の抜けた一ノ瀬の腕を掴み無理矢理立ち上がらせる。そして顔を突き合わせ、有無を言わせぬ口調で言う。

「……ちょっとこれから付き合えよ」

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