溜息だって吐きたくなるわっ!〜100賢人仕込みの龍姫は万年反抗期〜

ぽん

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積み重ねられた嘘の瓦解

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「何故だ・・・。
 やめろ・・・やめろぉぉぉぉ!!」

 フロドゥール国王レイド・フロドゥールとアバリシア・ルマン女侯爵の静かなる問答の中において、1人の男の異常な叫びが部屋に響き渡った。

 驚いた人々が視線を向ければ、ローブを着た男が窓枠にしがみつき激昂しているではないか。

「我らの念願が・・・長年積み重ねてきた計略が・・・なんて事をぉぉぉ!!!」

 ドンドンと男が窓を叩き悔しがっている。

 ロンサンティエ帝国の皇帝ファヴィリエ・ルカは、先程までいたはずの己の婚約者リリィが姿を消した事に気づいた。

「あぁ、成程な。」

「リリィ様・・・本当にせっかちですね。
 こちらの状況などお構いなしですか。」

 呆れた様に頭を振っているのは宰相であるフィリックス・ガルシアだった。

 2人は窓の外に視線を向け、その美しい光景を見つめた。

 まるで、宝石のようなキラキラとした雨が降り注いている。
 雨だというのに空は明るく、フロドゥール国の王都の住人達は不思議そうに空を見上げている。

「・・・これは。」

 唖然としているレイド・フロドゥールにファヴィリエ・ルカが微笑んだ。

「リリィですよ。
 彼女がこの国に蔓延る闇を取り除こうとしているのです。」

 ファヴィリエ・ルカの指差す方を見れば、ルマン邸の庭先から歌声が聞こえてくる。

 そこにはリリィがいた。
 
 リリィの歌声と舞に引き寄せられた光の玉がユラユラと揺れながら集まっていた。

「美しい・・・。」

 その神秘的な光景に目を奪われたのはレイド・フロドゥールだけではなかった。

 跪いていたはずの者達までもが、引き寄せられように外に向かって足を向けた。

「駄目だ!
 行くなっ!
 あれは、龍の恐ろしい秘術だ。
 惑わされるな!」

 叫ぶローブの男の声に、一瞬ピクリと止まるが、心地の良い光に引き寄せられた者達の足は止まらない。

 庭に出て、舞い続けるリリィの美しさに目を奪われると、空を仰ぎ雨が顔に当たるのも気にせずに受け止めていた。

 レイド・フロドゥールは外の光景から目を離す事が出来ずにいた。

「アバリシアよ。
 あの神秘を目にしても尚、目が覚めぬか?
 アレが人に扱える力か?
 国民を犠牲にしても己の欲望を満たしたいと願うに値する価値が我らにあるのか?」

 アバリシア・ルマンは国王の背を悔しそうに見つめた。

「これを見ても、まだ己が願いを叶えようと目論むのなら、その先にあるのは絶望だと心得よ。
 ルマン家に対して与える慈悲は我が王家にはない。
 龍を・・・龍の姫巫女と戦うのなら自分の力でやれ。」

 国王の突き放す言葉に、アバリシア・ルマンは目の前で人々が惚けるように座り込んでいくのを、目を真っ赤にして睨みつけるのだった。 
 
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