溜息だって吐きたくなるわっ!〜100賢人仕込みの龍姫は万年反抗期〜

ぽん

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契約者たちの戦い方

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「愛する者を守る為に、帝国を捨てなかったのだな。」

 フロドゥール国王レイド・フロドゥールは自分に言い聞かせる様に呟いた。

 何かを理解しよとしているレイド・フロドゥールに再びリリィの笑い声が聞こえた。

 それは、令嬢の微笑でも、楽しそうな笑顔でもなく見ようには小馬鹿にしたような呆れたような笑い声だった。

「愛する者を守る・・・。
 その呪いの言葉って本当に嫌い。
 ハクヤが誰を愛そうが、他者など知った事ではないのよ。
 利用されちゃ世話ないわよ。
 別に、貴方の愛を馬鹿にしている訳じゃないわよ。」

「分かっているよ。」

 リリィの言い草に怒るかと思われたディミトリオ・ハクヤは実に楽しそうに微笑んでいる。

「誰が、誰を愛そうが他者には関係ないの。
 でも本人にとっては何よりも重要な事。
 親が病気の子の為に必死になるのは愛よ。
 ならば、それを理由に犯罪を犯すのは許されるの?
 その犯罪は別の誰かの愛する人を傷つけているかも知れない。
 それでも愛というのが1番崇高な感情だと言える?」

 この問いに頭を悩ますのはレイド・フロドゥールだけではない。
 ロンサンティエ帝国の面々も皇帝をはじめとして難しい顔をしている。

「でも、愛があるからこそ人は強くもなる。
 母がいたから私は、理不尽の世界でも息をする事が出来ていた。」

 ファビリエ・ルカの言葉にリリィはニッコリとして頷いた。

「その通りよ。
 愛が人に価値観を与えてくれる。
 自分は生きていて良いんだと自信をくれる。
 国というのは、その色んな愛というのが集まって成り立っているのではない?」

 リリィは国を司る者達を前にそう言った。

「国の中枢が乱れようとも、国民は生きていかなければならないの。
 国民は国を簡単に捨てられない。
 王族が王位を競い争おうとも、それによって誰が王になろうとも国民には関係ない。
 だって、自分達の生活を守る事こそが、彼らの営みであって国民は王侯貴族の付属品ではないから。
 彼らにとって、その土地こそが大切な思い出であり、重要な場所であるならば、国がどう変わろうが彼らは変わらない。
 愛する恋人や家族の為に国を捨てる選択をする人もいるかも知れない。
 でも、それも国民が得る選択の権利だわ。」

 国民が王侯貴族の為にいるのではない。
 王侯貴族こそが、国民に生かされ立場を与えられているのだ。

 リリィの言葉に皇帝の執務室は静まり返った。

「何が言いたいのかって言うとね。
 貴方の国が嘘にまみれていようとも、国民の生活は本物で、彼らがフロドゥール国という国の国民である事は間違いないの。
 国王である貴方が、国の歴史を訂正し国を混乱させようが、国民は逞しく生きていくわ。
 安心しなさいな。」

 ケロッと言い終えるリリィにレイド・フロドゥールは何とも言えない顔をしている。

 すると、ロンサンティエ帝国の宰相であるフィリックス・ガルシアが何かに気づき小首を傾げた。

「ん?
 もしかしてですが・・・。
 リリィ様。
 今までフロドゥール国王を慰めていたんですか?」
 
「ん?」

 今度はリリィが首を傾げた。
 周囲はまさかとばかりに目を見開いている。

「そうよ。
 当たり前じゃない。」

 あんなに激しく文句紛いの言葉を口にしていた龍の姫巫女が、キョトンとしている様に男達は大きく溜息を吐いた。
 



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