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契約者たちの戦い方
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ドーン! ドーン!
正面玄関からする強烈な音にクレイが顔を顰める。
「リリィ様の張られた結界のお陰で危険はないけれど、煩いのは困るわね。」
ローラは膝の上で寛いでいる自分の契約妖精であるポメラリアンのアンを見て、危険性の低さを知り、のんびりと紅茶を口にした。
「僕、お帰りくださいって言ってきましょうか?」
キョトン顔のロメオにクレイが苦笑して頭を撫でた。
「正直、ロメオでも相手になりそうな連中ではあるが、君が怪我をするとリリィ様が悲しむ。
スサとセキエイは護衛の為にあちら側に置いてきましたし、私が対処しよう。」
ロメオはクレイがやってきた扉を見て肩を竦めた。
何せ一瞬で皇帝ファヴィリエ・ルカの執務室と繋がっているのだ。
クレイが護衛騎士を置いてきたと言っても、瞬時に合流できる事を知っているロメオにしてみたら、大した問題ではないのだ。
その間も正面玄関からは、ドーンと音が聞こえ続けている。
「あっ。でも御二人が帰ってきているのよ。」
「え?
そうなんですか?
じゃぁ、余計に心配いりませんね。」
ローラが思い出したようにポンッと手を打つと、クレイが呆れた様に頭を掻いた。
「戦いたかった?」
揶揄うよう姉に弟は苦笑した。
「まぁ、時にはスパークにも遊ばせてやりたいんですけどね・・・。」
クレイは契約妖精のフクロウのスパークの嘴をカリカリと掻いた。
ローラのアンと同じく火魔法が得意なスパークは影妖精のノワールほど表に出してやれていない。
どうやら穏やかな性格のスパークは気にしている様子はないが、クレイとしてみたら思う所があるのだ。
「じゃぁ、混ぜてもらってきたら?」
「えー。
2人がいれば問題ないでしょう。」
「だから、安心してスパークを遊ばせてあげられるんでしょう。
ほら、様子を見にくつもりで行ってらっしゃいな。」
他者に自分の仕事を邪魔されるのが嫌いなクレイだ。
同じく、他者の事に首を突っ込むのを嫌がる。
覗いて利用するくらいがちょうど良いのだ。
クレイの顔は渋いままだ。
どうしたものかと悩んでいると、ズボンをクィクィと引っ張るものがいた。
見下ろすと、小さな小さな豹がキラキラした目で見上げていた。
「どうしたんだい?」
人には厳しいが、妖精には優しいクレイは子供の豹を抱え上げた。
「あっ。ルル。
クレイ様に迷惑をかけてはダメだよ。」
小さな豹の主人であるロメオが慌てて椅子から立ち上がった。
「構わないよ。
ロメオのルルは何を言いたいんだろう。」
クレイに抱かれたルルは嬉しそうに喉をコロコロと鳴らしている。
「外で遊びたいと言っています。
自分も連れてってだそうです。」
困り顔のロメオにクレイはクスクスと笑い出した。
「じゃぁ、一緒に行こうか。」
ロメオを連れ立って部屋を出ていく弟の後ろ姿にローラは楽しそうに微笑んだ。
「最初から素直に行けば良いのに。
本当に素直じゃないんだから。
さてと、私達も移動しましょうか。」
片付けを済ませたローラは、今にも戦場となる“百合の宮”を離れる準備を始めるのだった。
正面玄関からする強烈な音にクレイが顔を顰める。
「リリィ様の張られた結界のお陰で危険はないけれど、煩いのは困るわね。」
ローラは膝の上で寛いでいる自分の契約妖精であるポメラリアンのアンを見て、危険性の低さを知り、のんびりと紅茶を口にした。
「僕、お帰りくださいって言ってきましょうか?」
キョトン顔のロメオにクレイが苦笑して頭を撫でた。
「正直、ロメオでも相手になりそうな連中ではあるが、君が怪我をするとリリィ様が悲しむ。
スサとセキエイは護衛の為にあちら側に置いてきましたし、私が対処しよう。」
ロメオはクレイがやってきた扉を見て肩を竦めた。
何せ一瞬で皇帝ファヴィリエ・ルカの執務室と繋がっているのだ。
クレイが護衛騎士を置いてきたと言っても、瞬時に合流できる事を知っているロメオにしてみたら、大した問題ではないのだ。
その間も正面玄関からは、ドーンと音が聞こえ続けている。
「あっ。でも御二人が帰ってきているのよ。」
「え?
そうなんですか?
じゃぁ、余計に心配いりませんね。」
ローラが思い出したようにポンッと手を打つと、クレイが呆れた様に頭を掻いた。
「戦いたかった?」
揶揄うよう姉に弟は苦笑した。
「まぁ、時にはスパークにも遊ばせてやりたいんですけどね・・・。」
クレイは契約妖精のフクロウのスパークの嘴をカリカリと掻いた。
ローラのアンと同じく火魔法が得意なスパークは影妖精のノワールほど表に出してやれていない。
どうやら穏やかな性格のスパークは気にしている様子はないが、クレイとしてみたら思う所があるのだ。
「じゃぁ、混ぜてもらってきたら?」
「えー。
2人がいれば問題ないでしょう。」
「だから、安心してスパークを遊ばせてあげられるんでしょう。
ほら、様子を見にくつもりで行ってらっしゃいな。」
他者に自分の仕事を邪魔されるのが嫌いなクレイだ。
同じく、他者の事に首を突っ込むのを嫌がる。
覗いて利用するくらいがちょうど良いのだ。
クレイの顔は渋いままだ。
どうしたものかと悩んでいると、ズボンをクィクィと引っ張るものがいた。
見下ろすと、小さな小さな豹がキラキラした目で見上げていた。
「どうしたんだい?」
人には厳しいが、妖精には優しいクレイは子供の豹を抱え上げた。
「あっ。ルル。
クレイ様に迷惑をかけてはダメだよ。」
小さな豹の主人であるロメオが慌てて椅子から立ち上がった。
「構わないよ。
ロメオのルルは何を言いたいんだろう。」
クレイに抱かれたルルは嬉しそうに喉をコロコロと鳴らしている。
「外で遊びたいと言っています。
自分も連れてってだそうです。」
困り顔のロメオにクレイはクスクスと笑い出した。
「じゃぁ、一緒に行こうか。」
ロメオを連れ立って部屋を出ていく弟の後ろ姿にローラは楽しそうに微笑んだ。
「最初から素直に行けば良いのに。
本当に素直じゃないんだから。
さてと、私達も移動しましょうか。」
片付けを済ませたローラは、今にも戦場となる“百合の宮”を離れる準備を始めるのだった。
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