溜息だって吐きたくなるわっ!〜100賢人仕込みの龍姫は万年反抗期〜

ぽん

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新たな御代

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キャハハハ!

 シモツキ・レイの笑い声が聞こえる。
 それを追いかけるアンディ少年も嬉しそうだ。
 
 ブランチ辺境伯との話が終わると、マドレーヌ妃に手を引かれ、マムの愛娘であるシモツキ・レイが姿を見せた。
 何も聞かされていなかったシモツキ・レイは母を見て目を丸くすると満面の笑みを浮かべ、次第に泣き出して駆け寄り母に縋りついた。
 母であるマムも先程までの気丈な姿など、かなぐり捨てて涙を流して娘を抱きしめる手に力を込めている。

「子供とは分かりやすいですね。
 驚き、喜び感情が制御できなくなれば泣く・・・。
 表情がコロコロと変わり面白いです。」

 何気なく口にしたリリィの感想にマドレーヌはクスクスと笑い、ガク・ブランチと息子サイラスが微笑んだ。

「大人になれば、人は感情を隠す事を学びます。
 それが良いのか悪いのか・・・。
 ただ、あの頃の子供を愛おしいと感じるのも正しいのだと思います。」

 マドレーヌの言葉にリリィは成程と考え込むように頷いた。。

 母との再会に喜び、アンディ少年と走り回るシモツキ・レイを見つめながらサイラスが、残りの報告をした。

「マム殿の御両親は引き続きブランチ辺境伯領でお預かりします。
 マム殿と共に後宮で暮らす事も出来るし、王都で生活する事も出来ると伝えたのですが、娘と孫を危険し晒したくない。
 二度と利用されたくないと言って残る事を決断しました。
 それに、後宮で暮らすのは堅苦しいと。」

 リリィは楽しそうに笑うとマムを見据えた。

「マム様は、それで良いのですか?
 此処は、貴方にとって辛い思い出しかない場所です。
 シモツキ・レイ様を外に出す事も新たな皇帝は考えていますよ。
 貴方と共に外で暮らす方が妹には良いのかもしれないとお話されていました。」

 それを聞き、マムは真剣な顔で首を横に振った。

「リリィ様とマドレーヌ様のお力になりたいのです。
 そして、娘に逃げる人生を与えたいとは思いません。
 私は、その為に帰ってきました。」

 5つあった離宮の内、3つが主を失った。

 その中の1つである“桔梗の宮”は火事により消失し無くなってしまったが、2つは健在である。
 壊すという案も出たが、壊すのも出費が嵩むとして利用する事になった。

 母が後宮から出る事となった皇子や皇姫は“芍薬の宮”で暮らし、“薔薇の宮”に通い教育を受ける事になっている。
 その役目をマドレーヌが一身に請け負う事になった。

 マムは、その手伝いをすると言っているのだ。

「此度の混乱に子供達に罪はありません。
 我が娘を始め、多くの皇子や皇姫の命を助けて下された皇帝陛下の慈悲に感謝します。」

 皇帝の采配1つで、子供達の運命は変わってくる。
 もし、クーデターが成功しジャンヴィエ・リーンが皇帝となっていたら、多くの皇子や皇姫が命を落としていたかもしれない。

「それに、もう制約はありませんから。
 いつでも娘と祖父母を会わせてやれます。
 こんなに嬉しい事はありません。」

 怯え暮らしていた愛妾マムは、もういない。
 同じように苦悩に悩まされていたマドレーヌと共に後宮で役目を果たしてくれる事だろう。

 リリィは自分の足で立ち上がると決めた女性を応援するのだった。
 
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