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新たな御代
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この年の暖かな春の日、新皇帝が即位した。
名をファヴィリエ・ルカ・ロンサンティエといった。
先代の皇帝ハイゴール・ウィリ・ロンサンティエの子である思われていたが、実は、皇弟である大公ディミトリオ・ハクヤ・ロンサンティエとヴァロア公爵家の出身の母・マドレーヌとの間に産まれたと発表された。
両親の悲恋は多くの本や芝居で見る事ができる。
悪政をひいていた先代皇帝と大公の不仲も有名であり、帝国民は自分達に寄り添ってくれる大公に敬愛を持っていた。
彼らの運命が変わったのは、ロンサンティエ帝国に500年以上不在だった龍の姫巫女が現れた事だった。
龍の姫巫女・・・名をリリィは、龍王島と呼ばれる伝説の島からやってきた。
生まれも育ちも謎の娘が一度ロンサンティエ帝国に姿を現せば、人々は、その美貌に酔いしれ、神々しいまでの存在感に驚かされた。
ロンサンティエ帝国が誇る宝樹が力を失い初めて数100年・・・先代皇帝を始めとした国を司る人々は、かつての栄華を求めて龍の姫巫女の力に頼った。
龍の姫巫女は先代皇帝を一目見て嫌い、龍の使者として認められた大公に力を貸した。
先代皇帝の抵抗や皇子のクーデターなど反発もあったが、国の進む道は舵を大きく切る事になった。
それまで、誰もが注視していなかったファヴィリエ・ルカが新たな皇帝に即位し、それまで龍という大きな力に頼る事ばかりを考ええていた自分達を改める事になったのだ。
人が自ら努力し、力強く生きていれば、自ずと龍は力を貸してくれる。
最初から他の力に頼るのではなく、自分達の足で踏み締めていこう。
ファヴィリエ・ルカの覚悟を見届けた龍の姫巫女リリィは彼の即位の日に宝樹を復活させた。
いつ朽ち落ちるかと思われていた宝樹に金銀の鱗を持った龍が姿を見せ虹色の輝きを取り戻した事は、後世にも残る奇跡だった。
腐敗していた帝国の改変において多くの貴族が取り潰しや規模の縮小を迫られた。
取り潰された貴族は土地や財産が没収されても放り出される事なく、家や畑が与えられて言葉のまま身一つで生きていく事を命じられた。
不満渦巻くのは承知の上での厳しい処分には新皇帝ファヴィリエ・ルカの覚悟があった。
彼の覚悟が身を結ぶには、もう暫く時間が掛かる。
虎視眈々と権力を我が物にしようとしているのは、かろうじて残った貴族や爵位を失った者達だけでない。
これまでロンサンティエ帝国に辛酸を舐めさせられていた近隣諸国の中からも不満分子は現れる。
フランコ・トワ・ロンサンティエ・・・。
ロンサンティエ帝国の存在価値は初代当主である彼の直系の血筋だけである。
ならば、その血筋がいる自分達にも龍の恩恵を享受する権利があるはずだ。
これからは自分達にも利益を齎せるべきだと新皇帝を責める者もいる。
世界平和の均衡は絶妙なバランスで成り立っている。
その1つがズレれば全てが崩れていく・・・。
ファヴィリエ・ルカの時代が始まろうとしている。
名をファヴィリエ・ルカ・ロンサンティエといった。
先代の皇帝ハイゴール・ウィリ・ロンサンティエの子である思われていたが、実は、皇弟である大公ディミトリオ・ハクヤ・ロンサンティエとヴァロア公爵家の出身の母・マドレーヌとの間に産まれたと発表された。
両親の悲恋は多くの本や芝居で見る事ができる。
悪政をひいていた先代皇帝と大公の不仲も有名であり、帝国民は自分達に寄り添ってくれる大公に敬愛を持っていた。
彼らの運命が変わったのは、ロンサンティエ帝国に500年以上不在だった龍の姫巫女が現れた事だった。
龍の姫巫女・・・名をリリィは、龍王島と呼ばれる伝説の島からやってきた。
生まれも育ちも謎の娘が一度ロンサンティエ帝国に姿を現せば、人々は、その美貌に酔いしれ、神々しいまでの存在感に驚かされた。
ロンサンティエ帝国が誇る宝樹が力を失い初めて数100年・・・先代皇帝を始めとした国を司る人々は、かつての栄華を求めて龍の姫巫女の力に頼った。
龍の姫巫女は先代皇帝を一目見て嫌い、龍の使者として認められた大公に力を貸した。
先代皇帝の抵抗や皇子のクーデターなど反発もあったが、国の進む道は舵を大きく切る事になった。
それまで、誰もが注視していなかったファヴィリエ・ルカが新たな皇帝に即位し、それまで龍という大きな力に頼る事ばかりを考ええていた自分達を改める事になったのだ。
人が自ら努力し、力強く生きていれば、自ずと龍は力を貸してくれる。
最初から他の力に頼るのではなく、自分達の足で踏み締めていこう。
ファヴィリエ・ルカの覚悟を見届けた龍の姫巫女リリィは彼の即位の日に宝樹を復活させた。
いつ朽ち落ちるかと思われていた宝樹に金銀の鱗を持った龍が姿を見せ虹色の輝きを取り戻した事は、後世にも残る奇跡だった。
腐敗していた帝国の改変において多くの貴族が取り潰しや規模の縮小を迫られた。
取り潰された貴族は土地や財産が没収されても放り出される事なく、家や畑が与えられて言葉のまま身一つで生きていく事を命じられた。
不満渦巻くのは承知の上での厳しい処分には新皇帝ファヴィリエ・ルカの覚悟があった。
彼の覚悟が身を結ぶには、もう暫く時間が掛かる。
虎視眈々と権力を我が物にしようとしているのは、かろうじて残った貴族や爵位を失った者達だけでない。
これまでロンサンティエ帝国に辛酸を舐めさせられていた近隣諸国の中からも不満分子は現れる。
フランコ・トワ・ロンサンティエ・・・。
ロンサンティエ帝国の存在価値は初代当主である彼の直系の血筋だけである。
ならば、その血筋がいる自分達にも龍の恩恵を享受する権利があるはずだ。
これからは自分達にも利益を齎せるべきだと新皇帝を責める者もいる。
世界平和の均衡は絶妙なバランスで成り立っている。
その1つがズレれば全てが崩れていく・・・。
ファヴィリエ・ルカの時代が始まろうとしている。
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