溜息だって吐きたくなるわっ!〜100賢人仕込みの龍姫は万年反抗期〜

ぽん

文字の大きさ
69 / 473
混沌なる後宮

68

しおりを挟む
 ーーーそれから暫く経った昼下がりの日。

 皇妃メッサリーナの離宮のサロンから賑やかな女達の笑い声が聞こえてきた。

「この華やぐ日に色取り取りの美しさを持ち合わせた皆さんに集まって頂くとは、なんて良い日なんでしょう。
 何よりも今日は新しいお客様が仲間入りして下されたのですよ。
 御紹介しますわね。
 龍の姫巫女様であられるリリィ様ですわ。」

 自分が開催した茶会に龍の姫巫女がいる事が嬉しいのか、御機嫌な皇妃メッサリーナの元には彼女を崇拝する女達が集まり盛り上がりを見せてた。

《仲間って・・・キモ。》

 心の中で悪態を吐くリリィにお構いなしに皇妃は自分の1番近くの席をリリィに進める。
 その隣には空気に徹する男・・・ディミトリオ・ハクヤがいた。

 今日、この茶会に招待されたのは後宮に住まう女達ばかりではない。
 皇妃メッサリーナが気に入っている高位貴族の奥方や娘達が揃っているのだ。

 皆、世にも珍しい龍の姫巫女に会いに来たのだが、オマケに麗しいディミトリオ・ハクヤにも会えた事で、いつになく顔が高揚しているようだった。

「龍の姫巫女様って“龍王島”でお育ちになったと聞きました。
 ・・・何というか、ご苦労されたのでしょうね?」

 開口一番、嫌味の1つを言ってきたのは第1姫であるアブリエル・エマである。

「可哀想・・・。」

 と眉を下げて憐れみながらも、節々から馬鹿にする雰囲気がダダ漏れだった。

「フフ。」

 それを鼻で笑うリリィに視線がキツくなるアブリエル・エマの横で皇妃メッサリーナが様子を伺うように見つめていた。

 すると、それまで空気でいたディミトリオ・ハクヤがカチャンと音を立ててカップをソーサーに戻した。

「淑女の皆様に私が“龍王島”で体験した事をお話ししましょう。」

 優雅に微笑むディミトリオ・ハクヤに集まった女性だけでなく皇妃メッサリーナも第1姫アブリエル・エマまでもが頬を染める。

「ハクヤ殿。
 “龍王島”がいかような場所で、龍の姫巫女様がどの様に暮らされていたのか聞かせて下さいな。」

 誘うような皇妃メッサリーナに鋼鉄の笑みを浮かべたディミトリオ・ハクヤは頷いた。

「“龍王島”に向かった日は大嵐で上陸も難しく必死な思いで島に辿り着きました。
 しかし、一夜過ぎれば何とも楽園かと見紛うばかりの美しい景色に私は心が奪われたのです。
 そして、“龍王島”の最新部に行けば行くほどに我々が目にした事もない様な文明が存在していたのですよ。
 詳しくは龍王様との盟約故に口に出来ませんが、リリィ様は実に素晴らしい場所でお暮らしになっていらっしゃいました。
 アブリエル・エマ様が御心配するような事は何もありませんでしたよ。」

 当たり障りなく、それでいて人が聞けば興味惹かれる様に伝えたディミトリオ・ハクヤに第1姫アブリエル・エマは不満そうに顔を膨らませた。

 そう、アブリエル・エマはリリィを田舎者と恥をかかせたかっただけなのだ。

 茶会が始まって暫くした時だった。
 皆の話題がリリィに集まっているのがつまらないのかアブリエル・エマは母の意向を無視してリリィを挑発した。

「リリィ様は後宮は初めてでしょう?
 あのね。
 皆、私の願いを叶えくれるのです。
 皆んな私に優しいの。」
 
 年よりも幼く話すアブリエル・エマにリリィは微笑んだ。

「分かります。
 龍に願いを叶えて欲しい人は皆、私に優しいのと同じですね。」

 リリィの言葉に茶会が静まり返った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【 完 結 】スキル無しで婚約破棄されたけれど、実は特殊スキル持ちですから!

しずもり
ファンタジー
この国オーガスタの国民は6歳になると女神様からスキルを授かる。 けれど、第一王子レオンハルト殿下の婚約者であるマリエッタ・ルーデンブルグ公爵令嬢は『スキル無し』判定を受けたと言われ、第一王子の婚約者という妬みや僻みもあり嘲笑されている。 そしてある理由で第一王子から蔑ろにされている事も令嬢たちから見下される原因にもなっていた。 そして王家主催の夜会で事は起こった。 第一王子が『スキル無し』を理由に婚約破棄を婚約者に言い渡したのだ。 そして彼は8歳の頃に出会い、学園で再会したという初恋の人ルナティアと婚約するのだと宣言した。 しかし『スキル無し』の筈のマリエッタは本当はスキル持ちであり、実は彼女のスキルは、、、、。 全12話 ご都合主義のゆるゆる設定です。 言葉遣いや言葉は現代風の部分もあります。 登場人物へのざまぁはほぼ無いです。 魔法、スキルの内容については独自設定になっています。 誤字脱字、言葉間違いなどあると思います。見つかり次第、修正していますがご容赦下さいませ。

側妃に追放された王太子

基本二度寝
ファンタジー
「王が倒れた今、私が王の代理を務めます」 正妃は数年前になくなり、側妃の女が現在正妃の代わりを務めていた。 そして、国王が体調不良で倒れた今、側妃は貴族を集めて宣言した。 王の代理が側妃など異例の出来事だ。 「手始めに、正妃の息子、現王太子の婚約破棄と身分の剥奪を命じます」 王太子は息を吐いた。 「それが国のためなら」 貴族も大臣も側妃の手が及んでいる。 無駄に抵抗するよりも、王太子はそれに従うことにした。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?

猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」 「え?なんて?」 私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。 彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。 私が聖女であることが、どれほど重要なことか。 聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。 ―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。 前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。

召喚とか聖女とか、どうでもいいけど人の都合考えたことある?

浅海 景
恋愛
水谷 瑛莉桂(みずたに えりか)の目標は堅実な人生を送ること。その一歩となる社会人生活を踏み出した途端に異世界に召喚されてしまう。召喚成功に湧く周囲をよそに瑛莉桂は思った。 「聖女とか絶対ブラックだろう!断固拒否させてもらうから!」 ナルシストな王太子や欲深い神官長、腹黒騎士などを相手に主人公が幸せを勝ち取るため奮闘する物語です。

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

聖女を怒らせたら・・・

朝山みどり
ファンタジー
ある国が聖樹を浄化して貰うために聖女を召喚した。仕事を終わらせれば帰れるならと聖女は浄化の旅に出た。浄化の旅は辛く、聖樹の浄化も大変だったが聖女は頑張った。聖女のそばでは王子も励ました。やがて二人はお互いに心惹かれるようになったが・・・

神に逆らった人間が生きていける訳ないだろう?大地も空気も神の意のままだぞ?<聖女は神の愛し子>

ラララキヲ
ファンタジー
 フライアルド聖国は『聖女に護られた国』だ。『神が自分の愛し子の為に作った』のがこの国がある大地(島)である為に、聖女は王族よりも大切に扱われてきた。  それに不満を持ったのが当然『王侯貴族』だった。  彼らは遂に神に盾突き「人の尊厳を守る為に!」と神の信者たちを追い出そうとした。去らねば罪人として捕まえると言って。  そしてフライアルド聖国の歴史は動く。  『神の作り出した世界』で馬鹿な人間は現実を知る……  神「プンスコ(`3´)」 !!注!! この話に出てくる“神”は実態の無い超常的な存在です。万能神、創造神の部類です。刃物で刺したら死ぬ様な“自称神”ではありません。人間が神を名乗ってる様な謎の宗教の話ではありませんし、そんな口先だけの神(笑)を容認するものでもありませんので誤解無きよう宜しくお願いします。!!注!! ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇ご都合展開。矛盾もあるかも。 ◇ちょっと【恋愛】もあるよ! ◇なろうにも上げてます。

処理中です...