溜息だって吐きたくなるわっ!〜100賢人仕込みの龍姫は万年反抗期〜

ぽん

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皇帝の弟殿下の大いなる溜息

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 龍王との謁見はディミトリオ・ハクヤ・ロンサンティエにとって、近年において事のほか心が揺さぶられた時間であった。

 後宮での雑務に加え、“陛下の我儘”・・・兄の気まぐれが日に日に増えていく中で、今回ほどの死を予感した事も珍しい。

 あれほど神殿に足を踏み入れた時に重かった足が今は軽く感じるのは気の所為ではないだろう。

 龍王の間を辞した後、再びコテツとアリスに案内され来た時と同じ様に神殿の中を歩いている。
 薄暗い廊下も、不思議なもので目先に見える出口の外光が行きよりも近く感じる。

「お疲れ様でした。
 龍王様に認められた今、貴方は“龍王島”の客人として正式に迎え入れられました。」

 コテツが口を開いた。

「お疲れ様でした。
 今、この瞬間から“龍王島”にいる全てが貴方を歓迎します。」

 アリスが口を開いた。

 2人が手を開き外へ導くのに誘われて神殿の外に目を向ければ、徐に黄色の鱗が輝く龍の太い胴体が通り過ぎていった。

「っ!
 ・・・龍。」

 ディミトリオ・ハクヤはこれでもかと目を見開いた。

「まぁ、龍の島ですから。」

 驚くディミトリオ・ハクヤなどお構いなしで元も子もない事を言うコテツの隣でアリスが肩を振るわせている。

「ゴホンッ。
 確かにそうだ。
 私は龍の島に来たのだった。
 ・・・ハッ!!
 私の侍従と護衛は!!」

 龍が自由に動き回り始めた今、部下達の事が心配になったディミトリオ・ハクヤは慌てて神殿の外に出た。

 ーーーそれは逸話の世界だった。

 空に様々な色の龍が飛んでいる。
 
 悠然と空の散歩を楽しむ龍は島の侵入者をチラリと見やると、自分の世界に戻っていく。
 森から聞こえる鳥の歌声に聞き耳を立てているのか、随分と穏やかな様子だ。

「同行者の方々の居られる場所に御案内しましょう。」

 後ろからアリスが声をかけてきた。

「・・・あぁ。」

「大丈夫ですよ。
 龍王に認められた貴方を龍達が危険に晒す事はありません。
 そのうち慣れます。」

 子供の様に龍の存在に高揚している自分と、しっかりと恐怖を感じる大人の自分が現在の心境を表すのを難しくしている。

「これは、当分無理そうですね。
 コテツ。」

「おう。」

 石像の様に動かず空を見上げるディミトリオ・ハクヤをコテツが勢いよく抱えた。

「え?は?」

 女の子のように膝裏に腕を入れられ持ち上げられたディミトリオ・ハクヤがキョロキョロと首を動かし慌て始めた。

「ご安心下さい。
 コテツは力持ちです。」

「・・・いや、そうじゃなくて。」

「すぐに着きますから。」

「あっ、だから・・・。」

 40齢の歳にてお姫様抱っこをされたディミトリオ・ハクヤは恥ずかしさを武器にコテツの腕から必死で逃げるように身を捻り叫んだ。

「下ろしてくれ!
 私は1人で歩けるぞ!!」

 

 
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