続・拾ったものは大切にしましょう〜子狼に気に入られた男の転移物語〜

ぽん

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旅路〜パライソの森3〜

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「・・・もう、やめよう。
 驚くのをやめよう。」

「いや・・・考えるのをやめるッス。」

 腰バックから馬車を取り出したイオリを前に思考を停止させたムネタカとロクの主従を子供達がケラケラと笑っている。

「早く乗りなよ。」
「出発しちゃうよ。」

 双子が楽しそうに声を掛ける中、2人はキョロキョロと辺りを見渡した。

「しかし、馬車を引く馬がいない。」

「捕まえますか?」

 そんな2人に不満をぶつける様にアウラが大きな体に変化して見せた。

「ヒンッ!」

「うわっ!
「マジか・・・。」

 体の大きな馬に鼻息を吹きかけられて驚く2人が後ずさると、再び子供達の笑い声が響き渡った。

「あははは!」
「良い反応。」
「クスクス。」
「キャッキャ!」

『私の仕事を取るなってさ。』

 2人の間からゼンが顔を出すとニヤリとした。

「ミニホースかと思っていたが・・・まさかバトルホースか?」

「驚いた。
 バトルホースが人に従っているんスか?」

『従っているんじゃないよ。
 アウラは家族。
 家族の為に役に立ちたいだけだよ。』

 これから頑張るアウラを労う様にゼンが擦り寄りと、アウラは自分の思いを代弁してくれたゼンに礼を言うように鼻をくっつけた。

「さぁ、ここから頼むぞ。」

 慣れた手つきでハーネスを装着するヒューゴに甘えるアウラを見て、ムネタカは微笑んだ。

「世話になる。」

 そう言って首筋を撫でたムネタカをジッと見つめるとアウラはムネタカの頬にツンと触れた。



 イオリ達の準備を見守ったガーディアン達は自分達の役目が終わった事を悟った。

「また、来てくれ。
 “ルーシュピケ”は“神の愛し子”とその家族をいつでも歓迎する。」

「ありがとうございます。
 お世話になりました。」

 イオリが“パライソの森”から一歩でた時だった。

グワァァァァ!!
ガルルゥ!

ドガーン!
バキバキバキ!

 静まりかえっていた森から音が戻ってきた。

「イオリが森から出たから魔獣達も起き出したか。」

 タイソンはイオリの心配そうな顔を吹き飛ばすように笑った。

「大丈夫さ。
 俺達は“パライソの森”と共に生きる“ルーシュピケ”の民さ。
 魔獣の森も散歩道だ。」

「過激な散歩道だけどね。」

「君と歩けば、どんな道も楽しいさ。」

 タイソンに続けとばかりにエフェリアとハルラスのエルフの夫婦が互いに冗談を言いながら笑った。

「ここからは、貴方達の命を狙う者ばかりね。
 どうか、気をつけて。」

 エフェリアの優しさに感謝しイオリは頷いた。

「それじゃ。」

 馬車にイオリが飛び乗るとヒューゴの合図でアウラが歩き出した。

「「「「バイバイ、またねー。」」」」

 声を揃えて手を振る子供達にガーディアン達が手をふり返す。

 どんどん小さくなっていく馬車を見送るとタイソンは仲間達と共に森を睨みつけた。

「さぁ、帰ろうか。
 俺達の国へ。」

 “パライソの森”を見守る“大樹”が輝いているのを確認すると、ガーディアン達は音も無く森の中へ消えて行った。
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