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旅路〜パライソの森〜
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1日の終わりにもルーシュピケに到着する事は出来なかった。
残念な事にオアシスも見当たらない為に、大きな岩陰の安全を確認し、久々にテントを張った。
パチパチパチ
焚き火を囲むようにリルラと子供達が座っている。
「はい、どーぞ。
軽く炙った干し肉よ。
ご飯前だから少しね。」
「「「ありがとう!」」」
パティとナギ、ニナが嬉しそうに手を伸ばす。
「夜の砂漠は寒いわよ。
お風呂に入ったのだから風邪をひかないようにね。」
「「「はーい。」」」
フーフーとしながら干し肉を食べる子供達にリルラは微笑んだ。
「シールド張り終わったぞ。」
そこに周辺の安全を確保していたヒューゴとゴヴァンが戻って来た。
「お疲れ様です。
炙った干し肉、食べます?」
リルラが問いかけると2人は頷いた。
「思ったよりガレーとルーシュピケは遠かったな。」
苦笑するヒューゴにリルラとゴヴァンの2人も同じように笑った。
「どちらにせよ国境ですからね。」
「見えているものが遠いのは砂漠では、よくある事です。」
何気ない会話で穏やかな時間を過ごしていると、テントからスコルが顔を出した。
「ご飯だよ。
パン受け取って。」
差し出した大きなカゴには沢山の丸パンが乗っていた。
ヒューゴが受け取ってやるとスコルは急いでブーツを履いた。
「いい匂い!
焼いたの?」
パティは香りを全て吸い込もうと、立ち上がった。
「生地はイオリが準備してくれてたからね。
今、ホワイトシチューがくるよ。」
それを聞いて一同が沸き立った。
嫌いなわけではなかったが、ガレーでスパイス料理を食べ続けた一同は優しい味に飢えていたのだ。
「おまたせー。」
イオリがゼンとアウラを伴って大きな鍋を手にやって来た。
「ホワイトシチュー!!」
パティがピョンピョンと飛び跳ねるとイオリは苦笑した。
「パティ、砂が舞ってるよ。
落ち着いて。
お肉も沢山入っているからね。」
テントのキッチンで鍋を温めてきたイオリは砂の上にドカンと鍋を置いた。
「さぁ、食べよう。」
イオリが用意したホワイトシチューは家族だけでなくリルラやゴヴァンにも人気だった。
みんなの食欲に安心するとイオリはナイフでチーズを切り焚き火で炙った。
トロ~っとした丁度の瞬間を逃さずにパンに乗せるとスコルに渡す。
「ありがとう!」
「あ~!パティも!」
すかさずパティが騒ぎ出した。
「うん。待ってね。」
そして再びチーズを焚き火にかざす。
そんな和やかな時間が愛おしいイオリだ。
パンパンに丸くなったお腹を摩り満足そうな子供達に大人達は優しく微笑む。
「この先の緑地帯からルーシュピケの国と考えられています。
デザリアの砂の民達も容易には入りません。」
リルラの目線の先は明かりの1つも無い真っ暗な闇だ。
「やっと砂漠を抜けるんですね。」
長かった砂漠の旅が終わろうとしている。
ナギはもちろんの事、イオリも森が大好きだ。
だからこそ、気を抜くわけにはいかなかった。
彼らは森が危険な場所だと知っているのだから。
残念な事にオアシスも見当たらない為に、大きな岩陰の安全を確認し、久々にテントを張った。
パチパチパチ
焚き火を囲むようにリルラと子供達が座っている。
「はい、どーぞ。
軽く炙った干し肉よ。
ご飯前だから少しね。」
「「「ありがとう!」」」
パティとナギ、ニナが嬉しそうに手を伸ばす。
「夜の砂漠は寒いわよ。
お風呂に入ったのだから風邪をひかないようにね。」
「「「はーい。」」」
フーフーとしながら干し肉を食べる子供達にリルラは微笑んだ。
「シールド張り終わったぞ。」
そこに周辺の安全を確保していたヒューゴとゴヴァンが戻って来た。
「お疲れ様です。
炙った干し肉、食べます?」
リルラが問いかけると2人は頷いた。
「思ったよりガレーとルーシュピケは遠かったな。」
苦笑するヒューゴにリルラとゴヴァンの2人も同じように笑った。
「どちらにせよ国境ですからね。」
「見えているものが遠いのは砂漠では、よくある事です。」
何気ない会話で穏やかな時間を過ごしていると、テントからスコルが顔を出した。
「ご飯だよ。
パン受け取って。」
差し出した大きなカゴには沢山の丸パンが乗っていた。
ヒューゴが受け取ってやるとスコルは急いでブーツを履いた。
「いい匂い!
焼いたの?」
パティは香りを全て吸い込もうと、立ち上がった。
「生地はイオリが準備してくれてたからね。
今、ホワイトシチューがくるよ。」
それを聞いて一同が沸き立った。
嫌いなわけではなかったが、ガレーでスパイス料理を食べ続けた一同は優しい味に飢えていたのだ。
「おまたせー。」
イオリがゼンとアウラを伴って大きな鍋を手にやって来た。
「ホワイトシチュー!!」
パティがピョンピョンと飛び跳ねるとイオリは苦笑した。
「パティ、砂が舞ってるよ。
落ち着いて。
お肉も沢山入っているからね。」
テントのキッチンで鍋を温めてきたイオリは砂の上にドカンと鍋を置いた。
「さぁ、食べよう。」
イオリが用意したホワイトシチューは家族だけでなくリルラやゴヴァンにも人気だった。
みんなの食欲に安心するとイオリはナイフでチーズを切り焚き火で炙った。
トロ~っとした丁度の瞬間を逃さずにパンに乗せるとスコルに渡す。
「ありがとう!」
「あ~!パティも!」
すかさずパティが騒ぎ出した。
「うん。待ってね。」
そして再びチーズを焚き火にかざす。
そんな和やかな時間が愛おしいイオリだ。
パンパンに丸くなったお腹を摩り満足そうな子供達に大人達は優しく微笑む。
「この先の緑地帯からルーシュピケの国と考えられています。
デザリアの砂の民達も容易には入りません。」
リルラの目線の先は明かりの1つも無い真っ暗な闇だ。
「やっと砂漠を抜けるんですね。」
長かった砂漠の旅が終わろうとしている。
ナギはもちろんの事、イオリも森が大好きだ。
だからこそ、気を抜くわけにはいかなかった。
彼らは森が危険な場所だと知っているのだから。
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