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旅路〜デザリア・ガレー〜
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イオリが子供達を馬車に乗せている後で、リルラがタージ・ラバンを蹴り倒しながら自身の馬車に飛び乗ったのが見えた。
「タージさんって、変な人だね。」
パティまでもが呆れている。
「おい。イオリ、お客さんだぞ。」
御者席に座るヒューゴが一早く誰かに気づいた。
「イオリ、シュテン爺さんとドネ婆さんだ。」
顔を出すと侯爵邸に入るのを戸惑っている老夫婦の姿が見えた。
イオリが駆け寄って来るのが見えるとホッとしたように微笑んだ老夫婦はペコリと頭下げた。
「もう、出発されたかと心配しました。」
「間に合って良かったです。」
嬉しそうな2人が様々な布袋を差し出してきた。
「えぇ!
こんなに沢山?」
驚くイオリに2人は頷き押し付ける。
「カカオとハーブにスパイス。
今、お渡しできる種類を寄せ集めてきました。」
誇らしげな2人にイオリは困り顔だ。
儲けよりも安定収入と継続的な生産を希望した2人はホワイトキャビンとの契約を選んだ。
イオリの肝煎りの商会なら信頼できると公共事業にも前向きだった。
イオリと旅をするリルラの代わりに王都バッカスにいるホセとサミーに後を頼んである。
ラバン商会も助けてくれるとあって、イオリも安心だ。
「2人にはお世話になりました。
どうぞ、お元気で。」
イオリの別れの言葉に2人は感謝しながらも、しっかりと頷いた。
馬車に戻ったイオリにタージの声が届く。
「あーあぁ。
カカオもハーブもスパイスも、全部ホワイトキャビンに持ってかれちゃったな。」
そう言いながらも、笑顔のタージにイオリも微笑んだ。
「お世話になりました。
後をお願いします。」
「うん。
お任せを・・・
代わりと言っちゃなんですけど、リルラさんに口添えしてくれません?」
バコンっ
諦めの悪い男タージ・ラバン。
気に入った物への執着はしつこい。
飛んできた薪で頭を打って蹲ってたタージを見下ろしキョトンとするイオリに声が掛かった。
「イオリ様!
今の内に参りましょう。」
後を向けばリルラが馬車上で怒りの顔で仁王立ちをしていた。
もっと奥には補佐役と護衛であるユーフとネイルが申し訳なさそうに頭を下げている。
「そうだね。
名残惜しいですが、失礼します。
それじゃ、皆さんお元気で!!」
イオリが声をかけるとアウラが歩き出した。
「また来てね!!」
「元気でね!!」
馬車を追いかけてくる子供達に双子やナギ、ニナは身を乗り出して手を振った。
大人達は静かに頭を下げている。
イオリも挨拶を返すと馬車に飛び乗った。
「ガレー。
良い街だったね。」
離れて行く屋敷を見つめイオリが呟くと子供達が頷いている。
同世代の友達ができるのも彼らにしては珍しい。
本当に楽しそうにしていたのをイオリとヒューゴは知っていた。
のんびりできたのもポーレットを出発して以来の事だ。
「また来よう。
今度は、もっと沢山のチョコレートのおやつを作って。」
そう言うイオリに子供達は満面の笑みで頷くのだった。
「タージさんって、変な人だね。」
パティまでもが呆れている。
「おい。イオリ、お客さんだぞ。」
御者席に座るヒューゴが一早く誰かに気づいた。
「イオリ、シュテン爺さんとドネ婆さんだ。」
顔を出すと侯爵邸に入るのを戸惑っている老夫婦の姿が見えた。
イオリが駆け寄って来るのが見えるとホッとしたように微笑んだ老夫婦はペコリと頭下げた。
「もう、出発されたかと心配しました。」
「間に合って良かったです。」
嬉しそうな2人が様々な布袋を差し出してきた。
「えぇ!
こんなに沢山?」
驚くイオリに2人は頷き押し付ける。
「カカオとハーブにスパイス。
今、お渡しできる種類を寄せ集めてきました。」
誇らしげな2人にイオリは困り顔だ。
儲けよりも安定収入と継続的な生産を希望した2人はホワイトキャビンとの契約を選んだ。
イオリの肝煎りの商会なら信頼できると公共事業にも前向きだった。
イオリと旅をするリルラの代わりに王都バッカスにいるホセとサミーに後を頼んである。
ラバン商会も助けてくれるとあって、イオリも安心だ。
「2人にはお世話になりました。
どうぞ、お元気で。」
イオリの別れの言葉に2人は感謝しながらも、しっかりと頷いた。
馬車に戻ったイオリにタージの声が届く。
「あーあぁ。
カカオもハーブもスパイスも、全部ホワイトキャビンに持ってかれちゃったな。」
そう言いながらも、笑顔のタージにイオリも微笑んだ。
「お世話になりました。
後をお願いします。」
「うん。
お任せを・・・
代わりと言っちゃなんですけど、リルラさんに口添えしてくれません?」
バコンっ
諦めの悪い男タージ・ラバン。
気に入った物への執着はしつこい。
飛んできた薪で頭を打って蹲ってたタージを見下ろしキョトンとするイオリに声が掛かった。
「イオリ様!
今の内に参りましょう。」
後を向けばリルラが馬車上で怒りの顔で仁王立ちをしていた。
もっと奥には補佐役と護衛であるユーフとネイルが申し訳なさそうに頭を下げている。
「そうだね。
名残惜しいですが、失礼します。
それじゃ、皆さんお元気で!!」
イオリが声をかけるとアウラが歩き出した。
「また来てね!!」
「元気でね!!」
馬車を追いかけてくる子供達に双子やナギ、ニナは身を乗り出して手を振った。
大人達は静かに頭を下げている。
イオリも挨拶を返すと馬車に飛び乗った。
「ガレー。
良い街だったね。」
離れて行く屋敷を見つめイオリが呟くと子供達が頷いている。
同世代の友達ができるのも彼らにしては珍しい。
本当に楽しそうにしていたのをイオリとヒューゴは知っていた。
のんびりできたのもポーレットを出発して以来の事だ。
「また来よう。
今度は、もっと沢山のチョコレートのおやつを作って。」
そう言うイオリに子供達は満面の笑みで頷くのだった。
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