続・拾ったものは大切にしましょう〜子狼に気に入られた男の転移物語〜

ぽん

文字の大きさ
280 / 785
旅路〜デザリア・王宮〜

288

しおりを挟む
 3年前、イオリがポーレットにいた頃。
 “明けない魔の森”にスタンピードが起こった。
 
 原因はパライソの森の主であるアマメ・・・鹿の姿をした大型の魔獣が出没した事だった。

 アマメの出現に“明けない魔の森”の魔獣達は怯え、森から逃げ惑ったのだ。
 結果的にポーレットの街も襲われる事態になった。

 アースガイルの貴族であったラモン家の陰謀によって、子供を攫われたアマメは闇に染まる危険を冒しても誘われるように“明けない魔の森”を彷徨ったのであった。

 アースガイル王は激怒した。
 よりによって、王弟が治めるポーレットの街を狙ったのだ。
 他国の神獣であるアマメを利用したラモン家は“パライソの森”に送られ、処分された。
 アースガイル王・アルフレッドは迷惑をかけた当事者に処分を委ねたのだ。

 アースガイル王は“パライソの森”と共に生きる“ルーシュピケ”に対しても謝罪し賠償を行った。
 ルーシュピケ側もエルフや獣人の迫害をやめさせ、保護に勤めた大国アースガイルと争うのは避けたい思惑があったのだろう。
 両国は和平を望んだ。
 
 ーーー表向きは・・・。



「あの時、“パライソの森”の大規模が死の森と化していった。
 “パライソの森”と共に生きる“ルーシュピケ”の者達は原因の分からない事態に大パニックに陥ったんだ。」

 ギルマス・ウェッジは眉間に皺を寄せた。

「“デザリア”にも救援要請が来ていた。
 あの恐怖の1週間を“ルーシュピケは忘れていない。
 原因がアースガイル・・・ミズガルドにあったと分かった時、彼らの中に《やはり人間の仕業か・・・。》とシコリが残っているに違いないんだ。」

 聞けば、当然の感情だろう。

 先祖達が人間に追われ、自分達が人間の身勝手で脅威に貶められたのだ。
 誰だって、気に入らないに決まっている。

「基本は気の良い奴らだ。
 あの国に住む友人に俺からも口添えをしておこう。」

「有難うございます。」

 自然を愛するイオリにとっては苦い話だった。
 心配そうな子供達の頭を撫でると安心させるように優しく微笑んだ。

「大丈夫。
 アマメに会えるんだ。
 みんなも楽しみだろう?」

「「「うん!」」」

 ニッコリとした子供達は“ルーシュピケ”が楽しみのようだ。

「ニナも楽しもうね。」

「・・・うん。」

 アマメの事件の時には出会っていなかったヒューゴとニナである。
 人間でもある2人にとっては“ルーシュピケ”に向かうのは心配なのかもしれない。

 賢いニナだ。
 ギルマスの話の内容を理解して少し落ち込んでいるようだった。
 双子やナギ程、楽しみにはなっていないようだ。

「大丈夫さ。
 ポーレット公爵の従魔のバンデのお母さんの森だぞ?
 ニナが自然を壊したりしない子だって知ってくれるさ。」

 ヒューゴはニナを抱き上げると優しく撫でてやるのだった。




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転生幼子は生きのびたい

えぞぎんぎつね
ファンタジー
 大貴族の次男として生まれたノエルは、生後八か月で誘拐されて、凶悪な魔物が跋扈する死の山に捨てられてしまった。  だが、ノエルには前世の記憶がある。それに優れた魔法の才能も。  神獣の猫シルヴァに拾われたノエルは、親を亡くした赤ちゃんの聖獣犬と一緒に、神獣のお乳を飲んで大きくなる。  たくましく育ったノエルはでかい赤ちゃん犬と一緒に、元気に楽しく暮らしていくのだった。  一方、ノエルの生存を信じている両親はノエルを救出するために様々な手段を講じていくのだった。 ※ネオページ、カクヨムにも掲載しています

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

異世界召喚されたけどスキルが地味だったので、現代知識とアイテムボックスで絶品料理を作ったら大商会になっちゃいました

黒崎隼人
ファンタジー
手違いで剣も魔法もない異世界に召喚された、しがない日本のサラリーマン、湊カイリ。 彼に与えられたのは、無限に物が入る【アイテムボックス】と、物の名前が分かる【鑑定】という、あまりにも地味な二つのスキルだけだった。 戦闘能力は皆無。途方に暮れるカイリだったが、異世界の食事が絶望的に不味いことを知り、大きなチャンスに気づく。 現代日本の「当たり前」の知識は、この世界ではとんでもない「宝」なのだと! 「醤油?味噌?そんなものがあれば、この世界の食文化はひっくり返るぞ!」 ひょんなことから出会った没落貴族の美少女・リリアナと共に、カイリは現代知識と地味スキルを駆使して屋台から商売をスタート。 絶品料理で人々の胃袋を掴み、さらには便利な生活用品を次々と発明していく。 伝説の神獣の幼体「フェン」やドワーフの鍛冶師など、頼れる仲間たちも加わり、彼らが立ち上げた「サンライズ商会」は瞬く間に大躍進! 迫り来る悪徳商会や腐敗した貴族の妨害も、現代のマーケティング術と知恵で痛快に打ち破る! これは、平凡なサラリーマンが異世界の常識を覆し、食と生活に革命を起こして一代で大商会を築き上げる、痛快成り上がりファンタジー! 美味しい料理と、もふもふな相棒、そして仲間との絆。 人生、逆転できないことなんて何もない!

料理スキルで完璧な料理が作れるようになったから、異世界を満喫します

黒木 楓
恋愛
 隣の部屋の住人というだけで、女子高生2人が行った異世界転移の儀式に私、アカネは巻き込まれてしまう。  どうやら儀式は成功したみたいで、女子高生2人は聖女や賢者といったスキルを手に入れたらしい。  巻き込まれた私のスキルは「料理」スキルだけど、それは手順を省略して完璧な料理が作れる凄いスキルだった。  転生者で1人だけ立場が悪かった私は、こき使われることを恐れてスキルの力を隠しながら過ごしていた。  そうしていたら「お前は不要だ」と言われて城から追い出されたけど――こうなったらもう、異世界を満喫するしかないでしょう。

公爵家の隠し子だと判明した私は、いびられる所か溺愛されています。

木山楽斗
恋愛
実は、公爵家の隠し子だったルネリア・ラーデインは困惑していた。 なぜなら、ラーデイン公爵家の人々から溺愛されているからである。 普通に考えて、妾の子は疎まれる存在であるはずだ。それなのに、公爵家の人々は、ルネリアを受け入れて愛してくれている。 それに、彼女は疑問符を浮かべるしかなかった。一体、どうして彼らは自分を溺愛しているのか。もしかして、何か裏があるのではないだろうか。 そう思ったルネリアは、ラーデイン公爵家の人々のことを調べることにした。そこで、彼女は衝撃の真実を知ることになる。

異世界ママ、今日も元気に無双中!

チャチャ
ファンタジー
> 地球で5人の子どもを育てていた明るく元気な主婦・春子。 ある日、建設現場の事故で命を落としたと思ったら――なんと剣と魔法の異世界に転生!? 目が覚めたら村の片隅、魔法も戦闘知識もゼロ……でも家事スキルは超一流! 「洗濯魔法? お掃除召喚? いえいえ、ただの生活の知恵です!」 おせっかい上等! お節介で世界を変える異世界ママ、今日も笑顔で大奮闘! 魔法も剣もぶっ飛ばせ♪ ほんわかテンポの“無双系ほんわかファンタジー”開幕!

魔物に嫌われる「レベル0」の魔物使い。命懸けで仔犬を助けたら―実は神域クラスしかテイムできない規格外でした

たつき
ファンタジー
魔物使いでありながらスライム一匹従えられないカイルは、3年間尽くしたギルドを「無能」として追放される。 同世代のエリートたちに「魔物避けの道具」として危険な遺跡に連れ出され、最後は森の主(ヌシ)を前に囮として見捨てられた。 死を覚悟したカイルが崩落した壁の先で見つけたのは、今にも息絶えそうな一匹の白い仔犬。 「自分と同じように、理不尽に見捨てられたこの子だけは助けたい」 自分の命を顧みず、カイルが全魔力を込めて「テイム」を試みた瞬間、眠っていた真の才能が目覚める。

処理中です...