続・拾ったものは大切にしましょう〜子狼に気に入られた男の転移物語〜

ぽん

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旅路〜デザリア〜

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 最早、隠れるつもりもないのかシーサーペントは飛沫を巻き上げ近づいてくる。
 波の大きさから見て船と同じくらい大きい・・・いや体長だけならシーサーペント方が大きいだろう。

 Sランク冒険者が4人乗っているとはいえ、陸と海とでは勝手が違うと船員達は分かっている。
 緊張と恐怖で震え上がる人間も少なくなかった。

「何事ですか!?」

 そこにヒューゴが現れた。
 
 アレックスは指を刺し状況を説明した。

「なんだか、イオリと子供達がやる気でね。
 閣下が戸惑ってらっしゃるよ。」

 事と次第がわかるとヒューゴは苦笑した。

「あいつらレッドサーペントの唐揚げが好物なんです。
 海のサーペントも同じだと思っているんでしょうね。
 イオリがやる気なら問題ないです。」

 『えっ?そうなの?』とばかりに目を見開くクロスであったが、シーサーペントが引き起こす高波には注意をしなければならないと、船員達に細かい指示を出していた。

 シーサーペントが己の身をマストの高さに持ち上げた時だった。

「来たッ!」

 イオリが一言声に出すと、構えていたスナイパーライフルを発射させた。

ドンっ!
 シュパーン!!

 イオリが放った弾はシーサーペントの右目を打ち抜いた。

 堪らぬシーサーペントは怒りと痛みで口から水を吐き出し、レーザーの様な攻撃を仕掛けた。
 しかし、使節船に特別に施されたと言われるシールドが船全体を包み守っている。
 
 自分の攻撃が効かないとわかるとシーサーペントは物理的に体当たりをしてきた。
 波の揺れに加えて、体当たりの衝撃で船が揺れる。

「「「「あ~あ~あ~あ~!!」」」」

 子供達が転がりそうになるのをアウラとヒューゴが支えていた。

『イオリ!』

 ゼンの呼び声にイオリは口元だけの笑みをした。

「分かってる。」

ドンっ!

「ギャギャーーギャー!!!」

 イオリの攻撃が再びシーサーペントを襲った。
 コメカミに一発打ち込まれたシーサーペントは絶命の声をあげて崩れ落ちていったのだった。

「ふぅ・・・
 終わりました。」

 汗一つかかずにニッコリとするイオリをフィルディナンド・クロスを始め船員や騎士達は口をあんぐりとして見つめた。

「やった!!イオリさすが!!」

「どうやって食べる?」

「唐揚げが1番だよ。」

「ニナは醤油の唐揚げだってばー。」

 静かな大人達とは違い子供達は嬉しそうにイオリに近づいていく。

「みんな待って、待って。
 まずは解体じゃない?
 海の事は閣下に聞こうよ。」

 イオリの言葉にパティは勢いよく手を上げた。

「解体やる!」

 続いてスコルも元気よく手を上げた。。

「俺は唐揚げ作る!!」

 そんな2人にイオリはニコニコした。

「お疲れ。
 ディビット様のところにいたら船が揺れたから慌てたぞ。」

 ヒューゴの労いにイオリは微笑み、擦り付いてくるゼンとアウラを撫でた。

 そんなイオリを感心したように見つめるクロスにアレックスが近づいた。

「Sランクの中でもアイツは特別だと思いますよ。
 なんせ、ポーレット公爵専属ですからね。」

「さもありなん。
 驚くべき能力だ。
 何はともあれ、殿下をご無事に“デザリア”までお連れするのに、これほど頼もしい者もいないだろう。」

 海で大型の魔獣と出会う事は死を覚悟させる出来事だ。 
 一連の騒動に緊張していた船員や騎士が子供達の笑い声に力を抜いて微笑んでいた。

 そんな和やかな雰囲気もイオリの一言で変わっていく。

「あっ。
 ヒューゴさん。双子が危険な遊びをしてました。
 ニナもスコルにしがみ付いて楽しんでましたよ。」

「んぁっ!?何ぃ~!!」

 笑っていたヒューゴの顔が鬼の形相に変化した事に双子は「「ゲッ!」」と後退りし、逃げようとしたニナは即座に捕まっていた。

「ナギはッ!?」

 ヒューゴに睨まれたナギはモジモジしながら、首を横に振り難を乗り越えたのであった。
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