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旅路〜デザリア〜
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騒ぎを聞きつけたのか、一際大きな帽子を被った男・・・船長であるフィルディナンド・クロス伯爵が駆け足でやってきた。
「素晴らしい救出劇だった!
英雄と呼ばれるだけの事はある!
見事だ!」
どこか暑苦しさもあるクロス伯爵にイオリは尋ねた。
「閣下。
今の横揺れはなんですか?」
するとクロスは船縁に走り細い筒を取り出し覗き込んだ。
「恐らく、魔獣であろう。
あの波なら近過ぎるという事はないだろうが、大型である事は間違いない。」
船長の話を聞いたのか、船員や騎士達が慌ただしく動き出した。
「奴は波を立てた事で我々の居場所を察知している事だろう。
水面に変化があるはずだ。
潜ってしまえば、気づくのが遅くなる。」
イオリもクロスの隣に立ち、遠くを凝視した。
青い瞳を使い集中すれば、水面に一本の線を見つけた。
「一本の線のような波が立っていますね。」
「なんて事だ。
シーサーペントではないか!」
イオリが言葉にするのとクロスが驚愕の声を上げたのは同時の事だった。
シーサーペントと聞いて船員達が騒ぎ出した。
アレックスの側に立っていた子供達はキョロキョロと落ち着きをなくしている。
「シーサーペントとは?
普段はどのような対処を?」
簡潔に聞くイオリにクロスは汗を垂らして答えた。
「シーサーペントは蛇だ。
海に出没する大型の蛇の事だ。
普段の対処は魔法や飛び道具が多い。」
「「「「蛇!?」」」」
イオリではなく、子供達が反応した事にクロスは振り返り、慌てることはないと胸を張った。
「安心しなさい。
この使節船には類を見ない武器が用意されている。
それに、シールドの魔法もかかっているのだ、万が一にも船が沈む事はない!!」
声高らかに宣言するクロスであったが、次の瞬間には子供達に纏わりつかれていた。
「ねぇ。食べられる?」
「臭みとかあるのかな?」
「ベビ系の肉は唐揚げじゃない?」
「ニナは醤油味がいい!!」
子供達の突飛な質問にクロスはタジタジになった。
「・・・お主達はシーサーペントが怖くないのか?」
そんなクロスに子供達はキョトンとして首を傾げた。
「怖い?なんで?」
「イオリがいるのに?」
「イオリが仕留めるよ。」
「イオリ頑張れ!!」
戸惑いながらも、ニナが応援する声に釣られてフィルディナンド・クロスは後を振り返った。
すると、イオリが筒状の武器を構えて1人で何かを呟いていた。
「・・・まだだよ。ゼン。
分かってる。確実に仕留めなきゃ。」
「英雄殿?」
クロスの声が耳に入っていないのか、イオリは自分の世界に入っている。
唖然とするクロスにアレックスが近づき、哀れみの表情で首を横に振った。
「あれがイオリの武器です。
集中しているから、何言っても無駄っぽいですね。
少し離れた方がいい。」
クロスだけではない。
船員や騎士達もイオリの事をSランク冒険者と認識しつつも実際に戦っているところなど見た事が無いものばかりだ。
大型魔獣が船を襲うとあって自分達が緊張して持ち場についているというのに子供達が嬉しそうに笑っている姿に戸惑うばかりだ。
そんな彼らの気持ちを知らずにイオリは引き金に指をかけた。
「素晴らしい救出劇だった!
英雄と呼ばれるだけの事はある!
見事だ!」
どこか暑苦しさもあるクロス伯爵にイオリは尋ねた。
「閣下。
今の横揺れはなんですか?」
するとクロスは船縁に走り細い筒を取り出し覗き込んだ。
「恐らく、魔獣であろう。
あの波なら近過ぎるという事はないだろうが、大型である事は間違いない。」
船長の話を聞いたのか、船員や騎士達が慌ただしく動き出した。
「奴は波を立てた事で我々の居場所を察知している事だろう。
水面に変化があるはずだ。
潜ってしまえば、気づくのが遅くなる。」
イオリもクロスの隣に立ち、遠くを凝視した。
青い瞳を使い集中すれば、水面に一本の線を見つけた。
「一本の線のような波が立っていますね。」
「なんて事だ。
シーサーペントではないか!」
イオリが言葉にするのとクロスが驚愕の声を上げたのは同時の事だった。
シーサーペントと聞いて船員達が騒ぎ出した。
アレックスの側に立っていた子供達はキョロキョロと落ち着きをなくしている。
「シーサーペントとは?
普段はどのような対処を?」
簡潔に聞くイオリにクロスは汗を垂らして答えた。
「シーサーペントは蛇だ。
海に出没する大型の蛇の事だ。
普段の対処は魔法や飛び道具が多い。」
「「「「蛇!?」」」」
イオリではなく、子供達が反応した事にクロスは振り返り、慌てることはないと胸を張った。
「安心しなさい。
この使節船には類を見ない武器が用意されている。
それに、シールドの魔法もかかっているのだ、万が一にも船が沈む事はない!!」
声高らかに宣言するクロスであったが、次の瞬間には子供達に纏わりつかれていた。
「ねぇ。食べられる?」
「臭みとかあるのかな?」
「ベビ系の肉は唐揚げじゃない?」
「ニナは醤油味がいい!!」
子供達の突飛な質問にクロスはタジタジになった。
「・・・お主達はシーサーペントが怖くないのか?」
そんなクロスに子供達はキョトンとして首を傾げた。
「怖い?なんで?」
「イオリがいるのに?」
「イオリが仕留めるよ。」
「イオリ頑張れ!!」
戸惑いながらも、ニナが応援する声に釣られてフィルディナンド・クロスは後を振り返った。
すると、イオリが筒状の武器を構えて1人で何かを呟いていた。
「・・・まだだよ。ゼン。
分かってる。確実に仕留めなきゃ。」
「英雄殿?」
クロスの声が耳に入っていないのか、イオリは自分の世界に入っている。
唖然とするクロスにアレックスが近づき、哀れみの表情で首を横に振った。
「あれがイオリの武器です。
集中しているから、何言っても無駄っぽいですね。
少し離れた方がいい。」
クロスだけではない。
船員や騎士達もイオリの事をSランク冒険者と認識しつつも実際に戦っているところなど見た事が無いものばかりだ。
大型魔獣が船を襲うとあって自分達が緊張して持ち場についているというのに子供達が嬉しそうに笑っている姿に戸惑うばかりだ。
そんな彼らの気持ちを知らずにイオリは引き金に指をかけた。
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