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旅路〜王都〜

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 テーブルには1口サイズのパンケーキが山盛りに作られコンソメスープやサラダにベーコンなどが並べられた。

「さぁ、どうぞ。
 召し上がれ。」

「「「「いただきまーす!」」」」

 子供達が嬉しそうに食べ始めると、ロジャーも見よう見まねで食べ始めた。

「驚いた。
 旅の途中で、こんなに美味そうな料理が出てくるとはな。」

 アレックスが呟くとイオリはとり皿に持ったパンケーキを差し出した。

「結局、御2人が甘いもの食べられるか分からなかったんで、色々用意しましたよ。
 パンケーキにはバターと蜂蜜をどうぞ。
 山いちごのジャムとママレード、くるみペーストもありますからお好みでどうぞ。
 もし甘いの苦手ならベーコンもありますよ。
 コンソメスープはおかわり出来ますからね。」

「・・・ありがとう。
 イオリがビルデさんに見えてきた。」

 アレックスの呟きにパンケーキを口いっぱいに詰め込んだロジャーが頷いた。

「イオリは母さんと同じくらい料理が美味いな。
 俺の母さんの店に来た事あるって聞いたけど?」

「“珊瑚の小箱”ですね!
 はい。ビルデさんにもお世話になりました。
 魚介の料理は勉強になりました。
 朝食の軽い物ですけど、気に入っていただけて良かったです。」

 イオリはナギの為にパンケーキの皿に山いちごのジャムを添えてやった。

「にして、この短時間で驚きすぎて疲れたな。
 極め付けがテントだよ。
 ・・・何だあれ?」

 不機嫌そうに眉を顰めるアレックスにイオリは苦笑した。

「そうは言われても、俺ももらったものなんで説明しようがないですよ。
 シールドの隠密のスキルも付いてるから、子供達には危険な時は駆け込む様に伝えてあります。」

「そうか。
 旅は安全に越した事ないからな。
 元の持ち主って・・・やめとこう。
 冒険者に詮索は禁物だ。
 実は俺達も魔法のテントを持っているんだ。
 と言っても、ベットがあるだけなんだがな。
 シールドがついてるから、寝てる間の安全は確保できる。」

 アレックスが自身の腰バックを軽く叩いた。

「そうなんですか?
 珍しいって聞きましたよ?
 ポーレット公爵が持ってますけど、それ以外だったら初めて会いました。」

 アレックスは得意そうに頷いた。

「実はミズガルドの北部ににある“絶氷のダンジョン”で手に入れたんだ。
 それまでは野宿していたから、天国だよ。
 夜に見張りをしなくても良いからな。
 それにしても・・・イオリのとは別物だがな。」

 得意そうな顔から沈んでいくのをヒューゴは気の毒そうに見ていた。

「風呂は俺達の使ってください。
 テントに広さはありますけど寝床に限りがありましたけど・・・」

 言い淀むイオリにアレックスは笑いながら頷いた。

「あぁ、寝るときは自分達のを使うよ。
 風呂はありがたい。
 使わせてもらうよ。」

 夜が楽しみなってきたアレックスはパティとベーコンの取り合いをしているロジャーを見て呆れたようにゲンコツを落とした。

「ロジャー!お前・・・譲ってやれよ。」

「だってさーぁ。
 ベーコンっての?
 ずんげー美味いんだぜ。
 干し肉と全く違う!!」

 目の色を変えてベーコンを漁る相棒にアレックスは肩を落とした。

「まぁ、確かに干し肉は飽きるよな・・・。」

「煮込めば美味しいですよ。」

「そうそう、煮込めば・・・。
 えっ!?」

 イオリは当たり前のように微笑んだ。

「干し肉って美味いのか?」

「よく出汁が出るので、素晴らしいスープが出来ますよ。
 今晩にでも作りましょうか。」

「あぁ、楽しみだ。」

 澄ました顔のアレックスだったが喜びでいっぱいだった。

《よしっ!なんか知らんんが、よしっ!》

 その後、スコルから差し出されたハーブティーで心を落ち着かせるアレックスだった。
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