続・拾ったものは大切にしましょう〜子狼に気に入られた男の転移物語〜

ぽん

文字の大きさ
100 / 785
旅路〜イルツク〜

108

しおりを挟む
「“品種”でございますか?
 それは品の種類という事ですか?
 ジャガイモ、ニンジン、はたまた金槌や本のような?」

 イオリはポップコーンを作る手を止めて考え込んだ。

「それは・・・別物ですね。
 俺が言いたいのはジャガイモにはジャガイモの中でも種類があるのです。
 煮る事で美味しくなるジャガイモもあれば、油で揚げて美味しいジャガイモもあります。
 茹でて潰して食べる事に長けているジャガイモもありますよ。
 トウモロコシも同じです。
 茹でて食べるのがベストなトウモロコシもあれば、今回の様に乾燥させて加熱する事で美味しく食べられる種類があるんです。」

 イオリの説明にロビンだけでなくアナスタシアも驚いたように目を見開いた。

「本当ですか!?
 ジャガイモは皆、同じだと思っていました。」

 イオリは驚くアナスタシアに腰バックに入っていたジャガイモをとりだした。

 丸いジャガイモと楕円のジャガイモをテーブルに置いて2人に見せる。

「これらはジャガイモですが、丸い方が身が柔らかく茹でるなどの加熱した後に潰して食べる事に向いています。
 煮たりすると煮崩れて舌触りが悪くなります。
 比べて楕円のジャガイモは身がしっかりしているので煮崩れ難く、スープや煮物・・・揚げ物にも良いですね。
 別に潰せなくはないですが、俺だったら潰したい時は丸い方を選びます。」

「本当にそんなに違いが?
 私には良く分かりません・・・。」

 眉を顰めるアナスタシアとは違いロビンは驚愕な顔でジャガイモを手に取った。

「考えてみた事もなかったです。
 だって、ジャガイモはジャガイモです。
 丸いのも楕円のもあって当たり前。
 煮崩れると申されましたが、当たり前だと思っていたのです。」

「恐らく、農家さんですら知らないのでしょう。
 収穫時には混ざっているのでジャガイモはジャガイモでしかないと考えてすらいないのでしょうね。
 因みにこんなのもありますよ。」

 イオリは苦笑すると再び腰バックを漁り赤いジャガイモを2つとりだした。

「あら?
 それもジャガイモなのですか?」

 アナスタシアは怖々1つ手に取るとじっと見つめた。

 領主であり、貴族の娘として育ったアナスタシアは基本的なジャガイモは知っていても赤いジャガイモは知らなかった。
 皮を剥いてしまえば赤いジャガイモも黄色の身だから気にするまでもなかったのである。

 しかしロビンは勿論知っていた。
 それでも、違う品種であると考えた事など1度もない。

 イオリはアナスタシアからジャガイモを受け取るとナイフで切った。

 案の定、赤いジャガイモの身は黄色くロビンは頷いた。
 イオリは取り出したもう1つにナイフを入れるとニッコリして2人に差し出した。

「・・・紫。」

「・・・なんと、異色な。」

 怯える2人にイオリは慌てて言った。

「いやいや、だから品種の違いですって!
 これもジャガイモなんです。
 身が柔らかいですが、丸いジャガイモと少し味が違います。
 同じ料理でも変化をつけられて面白いでしょう?」

 感心した2人はコクリと頷いた。

「それでは、イオリ様。
 ポップコーンについて教えていだたけますか?」

「はい。
 ポップコーンは“爆裂種”のトウモロコシを使います。
 まず、調理過程を見ていただきましょう。
 紙袋などに入れれば、露天や商店で売る事ができます。
 街を歩きながらつまむ事が出来るので、観光客に良いでしょう。
 調理としては難しくないので、冒険者には乾燥した物を売るのも良いかもしれませんね。」

 楽しそうに話すイオリをロビンは目端を緩めて見つめていた。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界召喚されたけどスキルが地味だったので、現代知識とアイテムボックスで絶品料理を作ったら大商会になっちゃいました

黒崎隼人
ファンタジー
手違いで剣も魔法もない異世界に召喚された、しがない日本のサラリーマン、湊カイリ。 彼に与えられたのは、無限に物が入る【アイテムボックス】と、物の名前が分かる【鑑定】という、あまりにも地味な二つのスキルだけだった。 戦闘能力は皆無。途方に暮れるカイリだったが、異世界の食事が絶望的に不味いことを知り、大きなチャンスに気づく。 現代日本の「当たり前」の知識は、この世界ではとんでもない「宝」なのだと! 「醤油?味噌?そんなものがあれば、この世界の食文化はひっくり返るぞ!」 ひょんなことから出会った没落貴族の美少女・リリアナと共に、カイリは現代知識と地味スキルを駆使して屋台から商売をスタート。 絶品料理で人々の胃袋を掴み、さらには便利な生活用品を次々と発明していく。 伝説の神獣の幼体「フェン」やドワーフの鍛冶師など、頼れる仲間たちも加わり、彼らが立ち上げた「サンライズ商会」は瞬く間に大躍進! 迫り来る悪徳商会や腐敗した貴族の妨害も、現代のマーケティング術と知恵で痛快に打ち破る! これは、平凡なサラリーマンが異世界の常識を覆し、食と生活に革命を起こして一代で大商会を築き上げる、痛快成り上がりファンタジー! 美味しい料理と、もふもふな相棒、そして仲間との絆。 人生、逆転できないことなんて何もない!

転生幼子は生きのびたい

えぞぎんぎつね
ファンタジー
 大貴族の次男として生まれたノエルは、生後八か月で誘拐されて、凶悪な魔物が跋扈する死の山に捨てられてしまった。  だが、ノエルには前世の記憶がある。それに優れた魔法の才能も。  神獣の猫シルヴァに拾われたノエルは、親を亡くした赤ちゃんの聖獣犬と一緒に、神獣のお乳を飲んで大きくなる。  たくましく育ったノエルはでかい赤ちゃん犬と一緒に、元気に楽しく暮らしていくのだった。  一方、ノエルの生存を信じている両親はノエルを救出するために様々な手段を講じていくのだった。 ※ネオページ、カクヨムにも掲載しています

魔物に嫌われる「レベル0」の魔物使い。命懸けで仔犬を助けたら―実は神域クラスしかテイムできない規格外でした

たつき
ファンタジー
魔物使いでありながらスライム一匹従えられないカイルは、3年間尽くしたギルドを「無能」として追放される。 同世代のエリートたちに「魔物避けの道具」として危険な遺跡に連れ出され、最後は森の主(ヌシ)を前に囮として見捨てられた。 死を覚悟したカイルが崩落した壁の先で見つけたのは、今にも息絶えそうな一匹の白い仔犬。 「自分と同じように、理不尽に見捨てられたこの子だけは助けたい」 自分の命を顧みず、カイルが全魔力を込めて「テイム」を試みた瞬間、眠っていた真の才能が目覚める。

料理スキルで完璧な料理が作れるようになったから、異世界を満喫します

黒木 楓
恋愛
 隣の部屋の住人というだけで、女子高生2人が行った異世界転移の儀式に私、アカネは巻き込まれてしまう。  どうやら儀式は成功したみたいで、女子高生2人は聖女や賢者といったスキルを手に入れたらしい。  巻き込まれた私のスキルは「料理」スキルだけど、それは手順を省略して完璧な料理が作れる凄いスキルだった。  転生者で1人だけ立場が悪かった私は、こき使われることを恐れてスキルの力を隠しながら過ごしていた。  そうしていたら「お前は不要だ」と言われて城から追い出されたけど――こうなったらもう、異世界を満喫するしかないでしょう。

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

異世界で目覚めたら、もふもふ騎士団に保護されてました ~ちびっ子だけど、獣人たちの平穏のためお世話係がんばります!!~

ありぽん
ファンタジー
神のミスで命を落とした芽依は、お詫びとして大好きな異世界へ転生させてもらえることに。だが転生の際、またしても神のミスで、森の奥地に幼女の姿で送られてしまい。転生の反動で眠っていた瞳は、気づかないうちに魔獣たちに囲まれてしまう。 しかしそんな危機的状況の中、森を巡回していた、獣人だけで構成された獣騎士団が駆け付けてくれ、芽依はどうにかこの窮地を切り抜けることができたのだった。 やがて目を覚ました芽依は、初めは混乱したものの、すぐに現状を受け入れ。またその後、同じ種族の人間側で保護する案も出たが、ある事情により、芽依はそのまま獣騎士団の宿舎で暮らすことに。 そこで芽依は、助けてくれた獣騎士たちに恩を返すため、そして日々厳しい任務に向かう獣人たちが少しでも平穏に過ごせるようにと、お世話係を買って出る。 そんな芽依に、当初は不安だった獣人たちだったが、元気で明るい瞳の存在は、次第に獣人たちの力となっていくのだった。 これはちびっ子転生者の芽依が、獣人や魔獣たちのために奮闘し、癒しとなっていく。そんな、ほっこりまったり? な物語。

辺境のスローライフを満喫したいのに、料理が絶品すぎて冷酷騎士団長に囲い込まれました

腐ったバナナ
恋愛
異世界に転移した元会社員のミサキは、現代の調味料と調理技術というチート能力を駆使し、辺境の森で誰にも邪魔されない静かなスローライフを送ることを目指していた。 しかし、彼女の作る絶品の料理の香りは、辺境を守る冷酷な「鉄血」騎士団長ガイウスを引き寄せてしまった。

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

処理中です...