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旅路〜イルツク〜
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「ほらほら!ねっ?」
「ほうほうほう・・・なんと不思議な。興味深い・・・。」
フライパンの中でポップコーンがポンポンと音を立てているのを領主アナスタシアとグラトニー商会イルツク支部長ロビンは楽しそうに見つめた。
「もうできますよ。」
イオリは、そう言うと蓋を開けフライパンいっぱいに出来上がったポップコーンを勢いよく混ぜ始めた。
「あんなに小さかった粒が花を開いた様ですな。」
ロビンが驚きながらも湯気の上がるポップコーンに魅入られているとアナスタシアは香りを吸い込み破顔した。
「そうです。
これです。
素晴らしい香り。」
「さぁ、どうぞ。
出来立ては熱いですからね。
気をつけて召し上がってください。」
イオリに差し出された皿をアナスタシアはロビンに薦めた。
「これより先、イルツクの街でポップコーンを扱いたいのです。
ロビン殿に感想をいただきたいの。」
領主の目となったアナスタシアにロビンは頷きポップコーンを1つ口に入れた。
「ほう・・・ふふふふ。
何とも楽しい食べ物ですな。
バターの香ばし匂いも堪りませんが、食感も見た目も実に楽しいものです。
これならば、老若男女に受け入れられるでしょう。」
「良かった・・・。
どんなに私が気に入っても、人々に受け入れられなければ意味がございませんもの。」
アナスタシアは安堵したように息を吐くと自身も1つ口に入れ微笑んだ。
「それでも、イオリ様・・・。
こうなって参りますと色々と疑問や問題点が出て参ります。」
「そうでしょうね。
ポップコーンの素である“爆裂種”はどうやって手に入れるのか?
商売としてフライパンで作るには効率が悪い。
人気になれば思った以上に簡単な為に真似する事が出来てしまうとか・・・ですかね?」
冷静であれど戸惑うロビンに対し、イオリは予想してたように頷いた。
「おっしゃる通りです。
それだけではありません。
イオリ様が考案したものであれば、ポーレットのホワイトキャビンを通さなくてはなりません。」
「えっ?
それは、どう言うことでしょう?」
今度はアナスタシアが目を見張った。
「現在、ポーレットにはグラトニー商会から派生したホワイトキャビンという商会が存在します。
私の甥であるバートが代表を務めておるのです。
ホワイトキャビンはイオリ様のお考えを管理し様々な形で商売として成り立たせています。
その売上は、全て公共事業に注ぎ込まれいるのです。」
「イオリ殿に利益は・・・。」
「入りません。」
「何と・・・。」
驚くようにイオリを見たアナスタシアにイオリは苦笑した。
「いや・・・俺、Sランク冒険者ですよ?
自分達の食い扶持は自分で稼げますよ。
俺の考えを現実にしてくれる人がいて、俺も自由に手にする事ができるなら、こんなに便利な事はないですよ。
それが、俺の報酬です。」
イオリの言葉にアナスタシアだけでなくロビンも口をポッカリと開けた。
「うふふふ。」
「はははは。」
2人は堪えきれなかったのか、肩を震わせ笑い出した。
「ポーレット公爵の専属冒険者殿は実に面白い御方です。」
「叔父上やバートが何故入れ込むのか理解しました。」
「いやいや、ポーレット公爵家からもバートさんからも自重をしろと怒られます。」
苦笑するイオリに2人は再び笑い出した。
ひとしきりすると、ロビンは満足したのか真剣な商人の顔となった。
「では、現実的なお話を進めましょう。」
イルツクに新しい商品が登場するのも近い現実のようだ。
「ほうほうほう・・・なんと不思議な。興味深い・・・。」
フライパンの中でポップコーンがポンポンと音を立てているのを領主アナスタシアとグラトニー商会イルツク支部長ロビンは楽しそうに見つめた。
「もうできますよ。」
イオリは、そう言うと蓋を開けフライパンいっぱいに出来上がったポップコーンを勢いよく混ぜ始めた。
「あんなに小さかった粒が花を開いた様ですな。」
ロビンが驚きながらも湯気の上がるポップコーンに魅入られているとアナスタシアは香りを吸い込み破顔した。
「そうです。
これです。
素晴らしい香り。」
「さぁ、どうぞ。
出来立ては熱いですからね。
気をつけて召し上がってください。」
イオリに差し出された皿をアナスタシアはロビンに薦めた。
「これより先、イルツクの街でポップコーンを扱いたいのです。
ロビン殿に感想をいただきたいの。」
領主の目となったアナスタシアにロビンは頷きポップコーンを1つ口に入れた。
「ほう・・・ふふふふ。
何とも楽しい食べ物ですな。
バターの香ばし匂いも堪りませんが、食感も見た目も実に楽しいものです。
これならば、老若男女に受け入れられるでしょう。」
「良かった・・・。
どんなに私が気に入っても、人々に受け入れられなければ意味がございませんもの。」
アナスタシアは安堵したように息を吐くと自身も1つ口に入れ微笑んだ。
「それでも、イオリ様・・・。
こうなって参りますと色々と疑問や問題点が出て参ります。」
「そうでしょうね。
ポップコーンの素である“爆裂種”はどうやって手に入れるのか?
商売としてフライパンで作るには効率が悪い。
人気になれば思った以上に簡単な為に真似する事が出来てしまうとか・・・ですかね?」
冷静であれど戸惑うロビンに対し、イオリは予想してたように頷いた。
「おっしゃる通りです。
それだけではありません。
イオリ様が考案したものであれば、ポーレットのホワイトキャビンを通さなくてはなりません。」
「えっ?
それは、どう言うことでしょう?」
今度はアナスタシアが目を見張った。
「現在、ポーレットにはグラトニー商会から派生したホワイトキャビンという商会が存在します。
私の甥であるバートが代表を務めておるのです。
ホワイトキャビンはイオリ様のお考えを管理し様々な形で商売として成り立たせています。
その売上は、全て公共事業に注ぎ込まれいるのです。」
「イオリ殿に利益は・・・。」
「入りません。」
「何と・・・。」
驚くようにイオリを見たアナスタシアにイオリは苦笑した。
「いや・・・俺、Sランク冒険者ですよ?
自分達の食い扶持は自分で稼げますよ。
俺の考えを現実にしてくれる人がいて、俺も自由に手にする事ができるなら、こんなに便利な事はないですよ。
それが、俺の報酬です。」
イオリの言葉にアナスタシアだけでなくロビンも口をポッカリと開けた。
「うふふふ。」
「はははは。」
2人は堪えきれなかったのか、肩を震わせ笑い出した。
「ポーレット公爵の専属冒険者殿は実に面白い御方です。」
「叔父上やバートが何故入れ込むのか理解しました。」
「いやいや、ポーレット公爵家からもバートさんからも自重をしろと怒られます。」
苦笑するイオリに2人は再び笑い出した。
ひとしきりすると、ロビンは満足したのか真剣な商人の顔となった。
「では、現実的なお話を進めましょう。」
イルツクに新しい商品が登場するのも近い現実のようだ。
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